ラジオドラマ『幼馴染という名の侵略者』

吉田クリスティーヌ一輝

幼馴染という名の侵略者

【登場人物】

太一(16歳)高校2年。

鈴花(16歳)高校2年。太一の幼馴染。隣の家に住んでいる


 SE 調理風景


太一「母さんってば、また調味料の順番変えたな。あぁもう、ふるいはここじゃないし! ホワジャオはえーっとどこよ」

鈴花「お邪魔しま〜す! 」

太一「いくら幼馴染だからって勝手に家あがるなよ」

鈴花「ようブラザー。美味そうな匂いがプンプンしてたもんで、お宅の玄関ピッキングいたしやした」

太一「うち警官の家! 」

鈴花「ウソウソ、サプライズしにきたの。それでおばさんに鍵借りて。……サプラ〜イズ!」

太一「ヘタクソか」

鈴花「今日タイちゃんお誕生日なのに、みんな出かけてひとりなんでしょ? だからこれ、怨念たっぷり特製ケーキ」

太一「めでたい日に呪うな!」

鈴花「そこは……本音を察してよ。バカ」

太一「ちょっと味見な……悪くないじゃん」

鈴花「つまり美味いんだな」

太一「晩飯食ってけよ」

鈴花「え! つまりそれって」

太一「晩飯以上の意味はそこにねぇよ!」

鈴花「ならばその麻婆豆腐を仕上げてくだされ。使い終わった道具、私しまうから」

太一「ダメ。調味料の順番とかしまう場所とかグチャグチャにするから」

鈴花「意味深な忠告の真意は……」

太一「母さんにケーキ習ってここで作ったでしょ。痕跡が鈴花だもん」

鈴花「やっぱり、私たち以心伝心だね!」

太一「うるせぇ、行方不明のホワジャオ買ってこい!」

鈴花「ホワァジャオッ!」

太一「……母さん、外堀を埋めるのはやめてください」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ラジオドラマ『幼馴染という名の侵略者』 吉田クリスティーヌ一輝 @y_Chris_kazuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ