第207話 おこめおこめ!
プラナに、蒸留器を途中まで作っておいてくれ、帰ってきたら二人で仕上げようと言ってたのだが、もうちょい残ることになったので、日本酒を仕込むついでに作ってしまおう。
麹菌がないのが、ホンットーに痛い。
が、あるものでなんとかする!
磨き五割の米をワームの消化液(強力な分解作用がある上に、消化液自体は無味無臭)に漬け込み、糖に分解。
もう一つが、玄米を発芽させ、自家分解。
これに乳酸菌や酵母を足して、発酵。
一発でうまくいくなんて思ってない。
けど、トライ&エラーで頑張ろう。
酒造りチームだけでなく、ソードも参加。
「なんか、不思議な香りだな」
「米の匂いはこういう感じだ」
独特の香りだよね。
合間に料理。
玄米と白米両方試そう。
日本食は白米で、洋食は玄米だな。
まずはシンプルに、炊く。
ベン君たちも、その土地で食べたようだが、
「うーん……。まぁ、まずくはないスけど、パンの方がいいかな」
「スープに入ってたのは、そこそこでした」
って感想だった。
脱穀して、精米。
もちろん魔術で。
出来たものを米と
「
女性たちを見てニヤリ。
「……これを虫の布で作った袋に入れて、身体や顔を擦ると、美肌になる」
即座にメイド嬢たちが回収した。
「で、これが米だ。今、魔術で研磨したのでこういった白さになったが、別に研磨しなくても良い。それはそれで味わいがあるので、料理に混ぜるには研磨しないのを使おう。研磨したものは、汁気がなくなるまで煮て蒸らす。アマト氏は懐かしいだろう、私は食べたことはないのだが、それが私とアマト氏のルーツの料理だ」
「やったーーー! ご飯ご飯ーーー!」
籾殻もらって飛んできたアマト氏、大喜び。
「おかずは何にしようか。んー……。そうだな、餃子にするか」
「マジでーーーー!?
いや、女子高生だったから、そこまで餃子ライスに食いつかないと思うよ?
アマト氏はもちろん箸が使えるが、ソードも使える。
私が使ってるのを見て問われ、器用じゃないとできないと言ったら負けん気を起こしてすぐに使えるようになった。
そして料理人も使える。
私が使ってるのを見て、便利だと思ったらしい。習得した。
使用人やメイドたちも、いつの間にやら使えるようになった。便利らしい。
――と、箸の使える人口が多いので、餃子ライスは皆、おいしく食べられるはず。
別にスプーンフォークナイフで食べても良いけどね。
餃子の仕込みをする。
機械より早いと思う。
あっという間に千個ばかり作った。
余ったら冷凍魔術かけて冷凍しちゃえばいいしね。
アマト氏も冷凍してあったら勝手に焼いて食べるだろ。
――アマト氏は、小腹が減ると料理人に頼らず自分で調理場の一角を借りて作っちゃう強者で、さらにそれを見ていた使用人たちにねだられて作り続ける羽目になるお人よしでもある。
さて、餃子がメインとして、スープは
マイルドにしてお好みで酢と
あとはシンプルな青菜
だが白いご飯に合うような濃い味付けにして、ニンニク系ハーブを多めに入れた。
餃子のたれも多種類用意して、ご飯を大釜で炊き上げる。
何せ私は大魔術師! 自分で言っちゃう! うはは。
ご飯をおいしく炊き上げられる火加減を自由自在に操れるのだ!
「ふはははは!」
意味不明のテンションで高笑いしつつご飯を炊いてたら、料理人チームだけでなく、ソード、そしてアマト氏が現れた。
「うわー、懐かしい匂いがするー」
「……なんつーか、珍妙な匂いだな」
私と同じくテンションの高いアマト氏に対して、ソードのテンションが低い。
「まぁ、アマト氏や私のテンションと同じ期待をしないでくれ。何度も言うが、料理には
ソードが困ったような顔になる。
「いや……」
「えー、俺はインドラ様の料理は全部うまいって思うけどな?」
ってアマト氏が言ってくれた。
ソードが、首の筋を違えるぞって勢いでアマト氏を見たぞ。
「ん? そうか? それはありがたいな……。私は、うまいと思って食べてもらえると、本当にうれしい」
「つーか、うまいって! 俺、社畜ではあったけど、たまの休みはあっちこっち出かけてたから。うまい料理屋とか評判の店に行ったこともあるけどさー、インドラ様の料理も負けないくらいうまいって思うもん。しかもさ、アッチと違って調味料から作らなきゃ、ってスタートで、このうまさって、すげーと思うよ?」
そっかー。
うんうん、そう言われるとうれしいな。
ソードはパクパクと口を動かした後、消えた。
……ん?
ソードはご飯が苦手な人かな?
「……参ったな。ソードは〝ご飯〟が苦手らしいな」
「え! マジで!?」
アマト氏、そんな人間がいるなんて信じらんない的な顔をしてる。
「うーむ、この匂いが苦手なのか。……炊きたて以外は匂いが飛んで食べやすくなるだろうし、加工した方がいいのだろうか」
「あ! 知ってる! 〝冷や飯〟派だ! 俺、断然〝炊きたて〟派!」
そんな派閥があるのか。
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