第12話『渡り廊下での邂逅』




その日の放課後、美住にとって予想外の出来事が起こってしまった。





放課後遅い時間、渡り廊下

美住と黒峰がお互い鉢合わせてしまったのだ。



しまった、油断した・・・



遮蔽物がない。

遅い時間だから他に誰も通らない。


今ここで引いたら逆に不自然





ドドドドッ・・・・





覚悟を決めろ

臆するな私、これは戦いだ。

黒峰君と私の戦いッ!





(前から歩いてくる女子、眼怖ッ)





黒峰君が・・・黒峰君が近い・・・




ドドドドドッ・・・




ちょっといい匂いするかも

そうじゃなくて


落ち着け私


こんなんじゃ気取られる、

いや、気取られ以前に、変な女子だと思われる。




私は・・



私は・・・・







「私、・・・あきらめないから・・・」




すれ違いざまに小さい声でつぶやく。

顔が熱い、自分の顔は多分真っ赤だ・・・




「?」




美住はダッシュでその場を走り去った。







$$$







翌日、コーヒーショップでの反省会

頼子は気だるそうに動揺する美住の話を聞く。




「変な風に伝わってたらどうしよう」



「・・・いや、確実に『変な風に』伝わってるよ?」


どうして そう伝わってないって思えるのか、逆に聞きたいわ




あーあーッ




「ほら明日、黒峰のとこ行って誤解を解いてこい」




・・・




「それができたら、こんなに『こじらせて』ないよッ!」



「一応自覚あんのな」





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