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 嬉しさのあまり、思わず叫んでしまって――ハッとする。しまった。ここは衆目がある場所だった。


 かぁっと顔を赤らめ、エリザベートの手を開放すると、彼女もまた恥ずかしそうにしながら、「あの……では、貴族専用のカフェテラスにご案内しますね……」と小さな声で言う。


「あ、ありがとう……。お願いいたしますわ」


 コホンと席をして頷くと、レティーツィアはあらためてカフェテラス内を見回した。


「では、みなさま。お騒がせして申し訳ありませんでした」


 胸に手を当てて優雅に一礼し、くるりと身を翻す。


 そのまま平静を装いながら、エリザベートのあとについて歩き出して――レティーツィアはスカートの陰でグッと拳を握った。


(私の目に狂いはない……! 絶対に、この子は!)


『推し』や『性癖』が一致しているかどうかはわからないけれど、少なくともヲタクと呼んで差しつかえない子であることは間違いない。なにせ、あれほどの高クオリティーな尊き方々のイメージアクセサリーを手作りして、こっそり身に着けているのだから。


(だって、あれは、尊き方々の外見と国のカラーを組み合わせて作ったなんていうレベルじゃないもの……!)


 間違いなく、本人の性格や趣味嗜好まで理解した上で作っている。でも、彼女は新興富裕層。尊き方々と実際にふれあう機会など、そうそうない。レティーツィアならばともかく、彼女は普通にしていたら、尊き方々の性格や趣味嗜好を詳しく知ることなどできないのだ。


(ってことは、調べたのよ。彼女にできる方法で)


 容易にふれあえる身分ではないからこそ、調べて、調べて、深く知って――そのイメージを形にして、身に着ける。


『推し』に少しでも近づきたくて。


『推し』といつでも一緒にいたくて。


 それはもう立派なヲタクだ。異論は認めない。


(確実に萌え語りはできる子だ! やった……!)


 ああ、休みの日に彼女が家に来たら、何から話そうか。


 レティーツィアはわくわくと胸を躍らせながら、先を行くエリザベートの後ろ姿を見つめた。




          ―*◆*―




「か……神はここにいたのね……」


「え……ええっ……!?」

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