下手人の踊り~辞めてからが本番です

暇の三

第1話辞めてからが本番です


「解、放,感」


ーーー麻の布に、穴をあけただけの服、それに縄を通したものを着ながら、

幼馴染おさなじみは、「不敵」に笑う


ーーなにせ、これでーーきつい「労働」から解放されたのだ、とにもかくにも


先の見えない苦労からの解放は、彼にとってもいいものだった


ーーー下手人とは、一言でいえば「下っ端」であり、主に使えるものでもある


(まぁっても、ここにいるメンツのほとんどがーー親の代も、そのまた親の代も

「下手人」だったメンツだからな)

下手人として、主に使える以外の人生を考えてこなかった奴らである


ーー時は、炎猿えんしょう11年


ーー鎌倉から江戸時代にかけて存在した職業の「復活」から200年


「あぞん島」の住人は、二つに分かれたーーそのうちの一つであり、「負け犬」

とやゆされるのが、彼らである


(--俺も買って「下手人」だったからな)

11年前ーー炎猿えんしょう元年、晴れてーー下っ端を卒業した


ーーそして、「文官」になった

ーーーここへはひいおじいさまとともに、昔仕事できたことがある


その時、「姫」がーー車の中から出てきた

「こんにちは、「下手人」の皆さん、「あなたの望みは何ですか?」

それをかなえることがひょっとしたらできるかもしれませんよ?

ぶの悪い賭けですが乗りますか?」

ーーかって、俺も「姫」にそう言われて「辞めたんだっけ」



姫は「笑顔」で、見定める(やはり乗ってきませんか)

その時、すっと手が上がったーーだれよりも早く、手が上がる

その人間は、「無性」であり、生まれつき「身体」の性別のないものだ

心だって、「中性」である

「身分をわきまえぬ、大望がありますーーいかせてください」


「お、おいいいのか」「ちょ、なにをぬけがけ」とみんなが言っている

ーー「だが、そこの男の言うとおりだ、」


「姫」の不興を買う恐れがあるが告げる

「ーー俺も昔、「下手人」をしていたからわかる

理不尽な主、先の見えない生活ーー子供にも、受け継がれる「負の遺産」

ーーーそして、わかっているはずだ、もう限界ぎりぎりだと」


下手人たちは、最下層の、家に住んでいる

ーーそして、食べるものも満足に与えられず、医療だって十分にもらうことはできない

ネズミが出る、死者のお世辞にもいいとは言えない体臭が、ごわんと積み上げられた山が、家の近くにある


「--大病を患っても、大けがをしてようと休みことはできず、働けといわれる

ーーこの中には、それが原因で、身内をなくした者もおろう

ーーもしも、「運命」を変えたいのなら、今が好機だ、今が好機なのだ

ーー決めろ、進むか、それとも「運命」に屈しーー次の主を待つのか、

「腐った金持ち」はごまんといるーーー、、、再びあの人生に戻るのか」


一瞬の沈黙ーー湧き上がる、怒号、怨嗟の声

それは紛れもなく、自らの運命に、扱いに、納得がいかないもののたけり狂った声だった

「--では、みんな「ついてくるか」覚悟はいいな?」「おう」

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