ネトゲ廃人がARにハマったらこうなった
川崎俊介
第1話 ニート生活からの脱出
かつての俺は、いわゆるクソニートだった。
昼間は惰眠をむさぼり、夕方起きて翌日の朝まで十一時間ネトゲをプレイする。
昼夜逆転した、規則正しいという形容からは程遠い生活。そんな生活を始めたのは高校一年のときからだ。学校にも行かず、バイトもせず、ただただ引きこもってネトゲをプレイしていた。
いじめに遭ったとか、クラスにうまく馴染めなかったとか、特別な理由があったわけではない。ただ、「なんとなくめんどくさいから」引きこもっていた。
コミュニケーションをとること全てが面倒なので、ネトゲ内でも基本はソロプレイ。誰ともチャットしたことはなかった。
だが、そんな俺の人生は、ある日を境に変わることとなる。
AR(拡張現実)ゲーム【モルト・ヴィヴァーチェ】が発売されたのだ。
ARゲームなので、実際に外に出て、自分の身体を動かして仮想のモンスターを狩る。そうしなければ経験値も金も手に入らないので、いやがおうにも外に出るしかない。
そのゲームのハードとソフトを買った俺は、外に出るため、まずまともな服を買った。
そして、ゲームイベントに参加すべく新宿の歩行者天国に向かった。
のだが、身体が全くついてこなかった。
ゴーグル上に表示される仮想のモンスターは、動きを目で追うことだけはできたが、攻撃を当てることなど、身体がなまりきった当時の俺には到底できなかった。
だが、俺は幼少の頃より、一度始めたゲームは全てのステータスがカンストするまで止めないと決めている。
このゲームにおいて、その信念を貫き通すには、身体を鍛えるしかない。
そう感じた。
だからそれから毎日、走り込みと筋トレを始めた。初めは筋肉痛で一歩も動けなくなるはどだったが、徐々に慣れてきた。
そうして、週に一度程度歩行者天国で開催されるイベントでも少しずつ動けるようになっていった。
初めてモンスターを一体狩り殺せたのは、トレーニングを始めて3週間後だった。それほどに俺の身体能力は衰えていたのだ。
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