やはりハワイにいたしましょう


 長谷川倫子はここでその真価を発揮します。


「パシフィック・ナーキッド領域管理官として、その管理官府を、ハワイに置こうと思います」

「クェゼリン環礁ではないの?」

 と、セレスティアが聞きますと、

「クェゼリンは私個人の思い出にすぎません、あそこには飛行艇の基地としては重要ですが、統治するには人が少ない」


「クェゼリンには出先を置けばいいでしょう、やはり偏っているとは考えますが、人口の多いところがベストと考えます」


「ハワイのどこに管理官府を置くつもりですか?」

「オアフ島が良いのでしょうが、ニイハウ島とします」

「あそこは基本的にはロビンソン一族の個人所有の島、なんとか穏便に買い取ることも可能ではありませんか」


「調べてみなければ分からないけど、条件次第では可能でしょうね」


「統治方法は北米方式でよろしいかと考えます、ただどうしても、高等女学校を一校設立していただきたい」

「規模は小さくて構いません、場所はオアフ、つまりオアフ高女です」


「つまりハワイを二級市民国家と認定するのですね、でもそれならニイハウ島に管理官府を置く必要がないのでは?」

「ハワイをヨーロッパのようにしたくないのです、うっかりすると、白人勢力がミコ様に対して、叛旗を翻しかねません」

 さすがにこの一言は、忍も予想していません。


「叛旗!そう考える根拠は!」

「ハワイは元々アメリカの州、そして良きアメリカはマルスに去った、残っているのは第四帝国みたいなものでしょう?」


「なるほど……可能性としてはありますね」

「しかしハワイを二級とし、パシフィックの中心としなければ、繁栄はないような気がします、一級への昇格はあり得ませんから」


「いわれればハワイしかないですね、他の二級と同じ水準にあるのは」

「ニイハウ島に管理官府を置けば、ハワイへのエネルギー供給はここからすることになり、ナーキッドとの交流を断てばどうなるか、誰にでも分かることになるでしょう、軍事的ににらみもきかせられますしね」


「しかし軍用の飛行艇の基地をどうしますか、もし反乱となれば、ないではまずいのでは?」


「ニイハウ島には、レアフという小さい付属の島があり、小さい湾を三日月状に囲んでいますので、飛行艇基地は可能と考えていますが」

「新しく作ることになるわけですね」


「ぜひに実現してください、レフア、ニイハウ、カウアイには、連絡用の通路を作っていただければ、なお助かります」

「たしか端島には、似たようなものがあるはずです、カウアイ島とは二十七キロありますので、多少大規模になりますけどね」


「簡単に言うわよね……」


「さらに言えば、北西ハワイ諸島は無人島です、その中のレイサン島には中央にレイサン湖という天然の湖があり温泉も湧いています」

「カムチャッカからデヴォン島につながっているシャトルを、レイサン島経由でニイハウ島につないで頂ければ、なお良しです」


「えらいことを要求しますね……誰がこれをネットワークにいうのでしょうかね……」


 セレスティアが、

「尻馬に乗るのは恐縮ですが、マニトゥーリン島にもシャトルをお願いします、香港にはあるのですから」


 忍は思わずため息をついた。

「また『湯舟の嘆願』をするしかないですね、事が大きいのでまた叱られますよ……」

 セレスティアが、

「私は構わないわよ、ミコ様が喜ばれるなら、三日の下痢ぐらいね、私たちオムツ奴隷ですもの」

 

 倫子が、

「そのお話は聞いております、私も淫乱女になりました、恥ずかしい姿をお見せすると思うと興奮します、オムツ奴隷の仲間に喜んでなりましょう」


 さらに忍はため息をついた。

「タガの外れた未亡人ってこんなものですよ、抱かれる為ならなんでもするものです」

 この言葉を長谷川倫子が云ったのです。

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