第14話 瞑想(6)

教主?

『銀の舟』の教主?

一体どんなヤツなんや?

わいの調査でも何もわからんかった。

FBIに捕まったのは司祭やった…な。

結局、あの時もあの後もわからずじまいだった。

教主も、教団がバーンを必要とした理由も目的も。

そういや、もうひとつじじいが言っとった『抹殺』。

こっちも油断せぇへんようにせな。

バチカンが…か。

穏やかやないなぁ。

世界最古のかつ世界一の闘争宗教やからあたりまえっちゃあたりまえやな。

自分の宗徒以外は守るべき人間じゃないってか。

ったく。

宗教戦争やな。

???

宗教戦争?

十字軍の遠征のようにか!?)

頭の中で何かが引っかかった。

今まで気づけなかったことに気がついた。

何か重要なことを見落としている気がした。

直感的にそう思った。

(何でこの日本で三つの宗教が入り乱れて、しかもバーンを中心に同じポジションでいるんやろ?)

バーンをかくまっている密教界の重鎮たる國充じじい

本業の仕事を紹介してくれる神道を使うリリス。

今働いているこの学校を主催しているローマカトリック。

どの宗教もバーンにつかず離れずの位置をキープしている。

バーンの『存在』を知らないはずがない。

バーンの『力』を知らないはずがない。

バーンの『特殊性』を知らないはずがない。

(なんで今まで、この事に気がつかへんかったんや?

今度、碓氷さんあたりにカマかけたほうがええんかな。

ローマ法王がどう考えて、バーンあいつをここに置いとるのか。

そこらあたりから、じじいが言うとった話につながるのかもしれんが。

それにしても…な。

何かがおかしい。

何かがズレとる。

………

どんな理由があるにせよ、どんなことをされようとこれで最後にしたる。

わいが止める。

何が起ころうと、どんな犠牲を払おうと。

わいがバーンを護る。)

再び目を開けて、床に水滴のように広がり消えかかったロウソクの火を見ながら、そう思った。

どこからともなく入ってきた風が炎を揺らした。

弱々しかった炎はふっと消えてしまった。

(なあ、ラティ。

今のわいにそれだけの『力』があるんか?

教えてくれ……。)

その闇の中で、臣人は身動きすらせずにそんなことを思っていた。


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