TURN.16「スターズ・オンステージ(その2)」


「あっ、よろしくお願いしまーす!」

「世話になるでござるよ!」

 時間が経つと、そこへ別のパーティも入ってきた。

 ギルド名は【異端者達[マニアクス]】。

「さーてと! 派手にぶちかましてやるか~?」

 片方は大量の重火器を持ち運んだコマンダーというジョブに属するリーゼントの男【マッキー】。もう一人はちょっと変わった口調が特徴的、アニメキャラを意識した恰好をするアサシンの男・【シノ】。

「ふっふっふ……ここが宴の場所か」

「楽しみね。姉さん」

 その後ろからやってきたのは変なポーズをとってキメセリフを吐く黒魔術師の少女【ヒナ】。もう一人は白魔術師の少女【キク】。

 ギルド名。そしてアニメキャラを意識したような面々。

 間違いない、このメンツは……“RED EYESスカーレッド・アイズとは違う傾向の中二病軍団”だとすぐに理解できた。

 レベルはそれなりに高く戦力としては期待できるが、コミュニケーションの方向では不安要素の強い面々が入ってきたわけである。軽く挨拶を終え、ギルド・マニアクスの面々もスタンバイに入る。

「さて、最後は誰が来るかね?」

 JACKが独り言を吐いてると同時。

「お! みなさーん! この方達が今回のパーティーみたいですね~!!」

 最後の面々はすぐさま飛空艇の中に現れる。

『……ん?』 

 エイラはその面々を見て固まる。

『んん!?』

 見覚えのある面々なのか、驚いたように立ち上がった。


「【武本ロビンソン】です! よろしくお願いします!」

 胴着とハチマキ。見た目からして格闘家の男がメンバー全員に挨拶を交わす。

『武本ロビンソンだぁあああ!?』

 エイラはその人物を前に発狂しだしたではないか。

「「は!? マジ!?」」

「本物でございますか!?」

 彼女だけじゃない。

 その人物、そしてそのパーティの登場に困惑と驚愕の声を上げ始めている。暗日とアンジェリカ、暗日でさえもビックリのあまり硬直する。

「おいおいマジか!?」

「うおおおっ……こりゃあすげぇや。宝くじにあたった気分……」

 普段から落ち着いた感じの叉月やヴィラー・ルーも驚きのあまり背筋を伸ばして固まっている。らしくない雰囲気だった。


「……誰?」

 メグは首をかしげている。この人は誰なのかと。

「有名プレイヤーだよ! ギューチューブの有名な実況プレイヤーでM.V.P.s公式応援アドバイサーの武本ロビンソン!! 知らないの!?」

「うぉおおおお……本物なのかぁああ……!?」

 ホッパーとユーキはその人物を知っていたようで目を輝かせている。

 武本ロビンソン。皆が言うにはチャンネル登録者数十万人を記録している有名な実況プレイヤーらしく、アプリゲームなどの企業会社をスポンサーに持つなど、最早一種の芸能人ともいえるような立場の有名人。

 そしてその背後にいるメンバーの数人も有名な実況プレイヤーの面々であるというのだ。

「あ、えっとすみません! 今、生放送中なんですけどっ……映っても大丈夫だったりします?」

「「どうぞどうぞ!!」」

 駅で歩いていたら偶然芸能人と出くわしたようなテンションだった。リーダーであるスノーハイトとアンジェリカは恐縮そうに許可を出していた。

 二人のあの態度を見て凄い人物だということは分かった。失礼のないようにしようとメグはそっと胸をなでおろした。同時に緊張も高まってきた。


「……なんか、凄い面々になったね」

 スター・ライダー以外のメンツ。

 まずは『属しているサーバー内にて指名手配に記録されているだけに飽き足らず、プレイヤーバトルの成績も上位』であるRED EYESスカーレッド・アイズの面々。


 そして特徴多すぎな中二病軍団マニアクス

 そしてトドメに武本ロビンソン率いる超有名実況プレイヤー軍団。

 想像以上に凄いメンバーが揃ってしまったことにスノーハイトは苦笑いする。一体どうなってしまうのだろうかと変に嫌な汗が流れるようになってしまった。

「ん?」

 六組のパーティの登録が完了。募集打ち切り。

 その瞬間……異変が起きた。

「なになに?」

 飛空艇の中が急に真っ暗になった。

「おっと! どうやら……!!」

 場の状況を一同が確認しようとしたその時だった。


「「始まったようだね!!」」


 爆発エフェクト。飛空艇が爆散し、一同は外へ放り出される。

 真下を見ると途端に火の海。真下には見たことのないステージが待ち構えている。


「きゃぁああーーーーー!?」

「いざっ!」

「出撃だーーーーーッ!!」

 炎が晴れたその瞬間。

 ホッパー達は炎渦巻く森へ向かって墜落していった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る