第25話 私的な土地が欲しいのです
クロエがシャーロットの名を貰い、セレナやクララについても僕への嫁入り話が進む。
ハーレム形成に向けて色々と進行していってる―――のだけれど……
「(うーん、少ない……)」
自室でくつろぎ中、抱っこしたエイミーを左手で撫でまわしながら、右手で指折り数えてみる。
どんなに数え直してみても、全部で
「……殿下? いかが致しましたか??」
愛でられてまどろんでいたエイミーが、心配そうに僕の顔色を除きこんでくる。
「大丈夫です、ちょっとだけ考えごとをしていました」
人材としてはそれなりに幅広くあるとは思う。けれど僕が思い描くところまではまだ全然だ。
「(最低でも10人……ううん、15人は欲しいなあ)」
別にエッチな気持ちでお嫁さんがいっぱい欲しいわけじゃない。僕の周りを人材として固める上で、色々な事態や状況を考えていくと、そのくらいはどうしても必要になってしまうという結論にいきついちゃうんだ。
「(最悪、お嫁さんじゃなくてもいい。けど……可能な限り僕の近くにいられる身分ってなると、お嫁さんが最強のポジションだし)」
お嫁さんに次いで身近なポジションはメイドさんだ。けど、メイドさんの多くは後ろにそれぞれの家がある。僕との会話なんかのやりとりを情報として漏らされる危険があるから、むやみに周囲に置くメイドさんを増やしたくない。
僕はエイミーに視線を落とした。
ペットを可愛がるように頭や身体を撫でまわして愛でている僕の手を、顔を赤らめながら受け入れてる彼女。
頭の上の耳が、気持ちよさそうにピクピクしてる。可愛い。
プニュン
「ふぁっン!!? で、でんか…ぁ、あっ、そ…そこは…ふ、ふにゃああぁんん!」
「エイミーのここ、大きくなりましたね」
メイド服の上から僕が触れているのは彼女の胸。
そうは言ってもアイリーンやセレナと比べられるほどのモノはない。
ただ、手を乗せた感触や指を曲げて揉んでみて返ってくる感覚が、ちょうど僕の手に心地よくって、なんというか手の置きどころとしてすごく良いんだ。
「そ、そんにゃこと…ぁ、あっ、あ…りま…んにゅうんんーーーーっ!!」
・
・
・
エイミーは癒しだ。愛でると気持ちが凄くほっこりする。
なのでついやりすぎて、彼女の歩く足取りがおぼつかなくなるまで構ってしまった。
「(すごく敏感で反応も面白いんだもん―――僕ってやっぱりSなのかな?)」
結局、ずっと服の上から胸をソフトにまさぐり続けただけなのだけど、それだけであれほどまでの反応を示してくれるんだ。
つい夢中になったってしょうがないよね?
「エイミーのことも進めていかなくっちゃ」
実はエイミーの故郷を手に入れることは、彼女の身分を回復する意味だけにとどまらない。あの地を僕の基盤にする狙いもあるんだ。
一番上の兄上様が王様になった。このお城の
僕がハーレムを築いていくとなると、今のままだと増えていくお嫁さん達がこのお城にひしめくことになっちゃう。
なので、たくさんのお嫁さん達を抱えながら生きていける、十分な土地と環境をお城の外に手に入れておきたい。
「土地は個人の財産になるし、領地内の
国内領有に関係する国法の書物をなぞり読みながら、僕は計画が可能かどうか再確認する。
「(エイミーの故郷は位置的にもいいところだし王都からも近い。これなら軍事的に考えても、王都への脅威を食い止める立地の一つになるから、防衛の重要地として、王弟の僕が領有するのも理にかなってるはず)」
当たり前のことだけど、王様からしたら国の重要な場所は自分の息のかかった人材や、それこそ身内に固めてもらいたいもの。
そうでない人間に任せてしまうと、悪い事考えたり反目されたりした時に、大問題になってしまうからだ。
今は他の貴族が掴んでる状態だけど、エイミーの復権を目指すことで、彼女の故郷を取り戻す大義名分も十分。
「(一番スムーズなのは、先にエイミーと公に婚約してしまうことだよね、やっぱり)」
王弟の婚約者。
あくまでも今はメイドに過ぎないエイミーがそうなった場合、格を整えなくちゃいけないという話になって、エイミーの身分を戻すハードルが下がる。
そしてエイミーが貴族家の令嬢として復権を果たしたなら、あの土地の正当な継承権を持つのは彼女だ。
正式に
「(兄上様達もエイミーを娶ること、それに伴って彼女の復権の話も了承してくれてるから大丈夫だと思うけど……問題は領民たちだよね)」
愚かなことをした過去から、出自差別を今なお受けているかの地の領民の肩身はとっても狭い。
そこに自分達が迫害したエイミーが帰ってきたら、彼らはどう思うだろう?
過去の仕打ちに対する報復への恐れ。更なる処罰。重課税などをはじめとした民に厳しい治政……
「(そうなったとしても因果応報なわけだけど……かといって領民が逃げてゼロになった土地とかも困るし)」
エイミーにしたって領民たちへの恨みは消えないはずだ。何せ家族を殺されているんだから。
僕は何かいい方法はないものかと考える。けど妙案は簡単には浮かばなかった。
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