第41話 再会
兜を深く被り、玉座の間にゆっくりと入る。
「──お邪魔します」
一斉にこちらへ視線が向く。
「何者だ!」
衛兵が私達を囲む。
「──フッ」
歩きながら、魔力を込めた一閃を薙ぐ。
「が、はぁっ」
剣圧は鎧を上から切り裂き、衛兵は血を吹き出して倒れる。
「言わないとわかりませんか……?」
「かかれ!相手は──」
「触れさせん」
続く衛兵は獣の拳に弾き飛ばされ沈黙する。
「囲め!人数で──」
「それは悪手であるの」
アトラの糸が衛兵達を絡めとり拘束する。
「つちのけんのうをみせよう」
肩に乗った毛玉の魔術で、四方八方に岩が高速で放たれ、残った衛兵も掃討される。
「──随分と勝手にやってくれる」
瞬間、玉座の隣に控えていた壮年の騎士が私の目の前に踏み込み、剣を振り下ろす。
「主人よ──」
「大丈夫です」
いつかの日々に何度も見た一撃だ。
半歩だけ下がり躱す。
「……お前は……生きていたのか」
掠った剣は兜を綺麗に二つに割る。
「お久しぶりです、クララ・アメストリス・ハシュヤーラ。ここに舞い戻って参りました」
剣を真っ直ぐ、玉座へ突きつける。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「い、生きていたのかっ!?」
玉座に座っていた金髪の男性は、驚愕に目を見開く。
「これはこれは。お久しぶりですね、偽聖女様、ごきげんよう」
アリアは、剣を向けた私に余裕の笑みを浮かべる。
かつて法廷で出会った時の少女然とした何も変わらない姿形だった。
「そちらもお変わりなく、お元気でしたか?──お祖母様」
「お祖母様……?なんの話ですか?」
何か下らない話を聞くように流すアリア。
「私は獣達に聞き、玩具修理者から体を若返らせられる事を聞きました!アリア!貴女の正体はお祖母様だ!」
「……ひ、きひひ、なんか勘違いしてるんじゃあ、ありませんかぁ?"死んだ人間は生き返らない、生き返らせようとしてはならない"魔術を嗜む人間が一番最初に知る事でしょう?」
さぞ面白そうに笑う。
「死んでいなかったのでしょう!」
「これは荒唐無稽な事を。この世はお伽話ではないのですよぉ?ましてや、救世主のように死を乗り越える事などあり得るわけがない」
妙な身振り手振りをしながら、へらへらと笑う。
「ならば貴女は何なんだ!どうして当たり前のように、私の席に立ち、私が得るはずだったもの、私の全てを奪い取れるんだ!」
「そりゃぁ──貴女が"偽物"だからですよ」
「私は偽聖女ではない!与えられた名ではあったが、先代聖女の正当なる継承者だ!」
「だ、か、ら。それが違うって言ってるんですよぉー。最初から偽物なんです。──クララ・アメストリス・ハシュヤーラ、貴女は祖母を蘇生しようとして失敗して出来た、私の偽物なんですから」
「──は?」
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