第三章 渦中

Loop3 5/16(月) ??:??【????】

 2022年 5/16 (月) ??:??『瀬戸ノ夢学園』


 ——あーだる、学校だる。正しく言えば授業がだるい。あいつらもうちょっと面白い授業出来ねぇのか? 分かりやすくする努力をしろっつぅの。あっやべ、今日小テストじゃん……。学校行ってるのに家でも勉強しろってか? もっと学校だけで完結するようなシステムにしてくんねぇかなー? どうせ分からねぇし、とりあえず寝るか。


 と思ってた俺がさっきまでいたぜ。うっひょぉ満点! 何年ぶりだ、小学校以来か!? あー最高。ついに俺も天才の仲間入りだな、うん。なんとなくボーッとしてても分かるってマジで天才じゃん。俺最高。


 やべぇよ、授業の内容すらすら頭に入ってきやがる。分かりすぎて眠いぐらいだ。あーけど寝たらまた怪獣の夢か? 朝すっげぇ汗だったもんなぁ……


 ——君と私、線で繋いで浮かび上がるは恋もよう……ん? この曲なんだっけ? ラブソング? 俺あんな恥ずかしい曲聞かねえけどなぁ……


「おいこらちょっと待てよ」


 うわ、またバカゴリラかよ。あれ、バカゴリラ? こいつ浜高のやつらだよな? 会うの初めてなんだけど——


「おいこら、シカトしてんじゃねーぞチビ!!」


 ……まあいいか。


 俺様パンチにバカゴリラが吹っ飛んだ。倒れて動かない、なんだよデカイ癖にタフネスがねえなタフネスが。それを見て周りの取り巻きが一斉に向かって来る。


「悪いな。今日の俺、調子良いんだよ——」


 知ってるか? この地球はもうダメなんだってさ。地球は暑くなり続けるし、戦争はなくならない。政治家は金をむしり取っていくし、貧乏人は飢え死ぬだけ。年金はもらえないし、就職はできない。けど、そんなことはどうでもよかった。今この瞬間、全てを忘れて衝動に身を任せられたらそれでいい。


 あーあ、もっと倒しがいがある奴いねぇかな? 例えば怪獣とか。俺は地面に突っ伏した取り巻きを眺めながら、そんな空想を描いていた。

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