第24話 占いは、エンド・ユーザーを不安にさせてこそ真価を発揮する。
みんさん、占いって信じます?
かくいう私も、1万円ほど支払って、運命鑑定家に運勢を占ってもらったことがあります。
なにせ、私の人生の裏側までキレイに読み解いてしまう鑑定家だったので、鑑定結果を聞いたときには正直、びびりました。
5年後に親が死に、そこからとてつもない苦労が始まるとか、人生の大殺界にまもなく突入するとか、それはもう私を不安にさせることばかりでした。
占星術師というのは、占いを希望する人を不安に陥れて、それを回避するためには、大理石の多宝塔を購入すべきだとか、朝鮮人参を買えとか、厄をはねのけるブレスレットを買えとか、最終的には物を買わせるのがセットになっているようです。
占いは、ユーザーを不安に陥れてこそ成り立ち、パンピーが不安になれば不安になるほど、占いの効果は絶大で、利用者の心の闇に深く入り込む現象を生む。
その昔、ご多分に漏れず、私も占い師を頼ったことがあった。
不幸が続いたこともあるし、その占い師の助言がよくあたることから、1回1万円の鑑定料金を支払い、私の人生を占うことにした。
5年以内に、父親が不慮の死を遂げ、それからとてつもない不幸続きの人生を歩むだろう。
コンピューターで打ち出したA3サイズの大きな紙には、これでもかというくらい、私が不幸に見舞われることが書かれていた。
父親が大病をして入院した後だったので、占いは恐怖でしかなかった。
この大殺界を抜け出すには、大理石の多宝塔を買うか、1つ5万円するブレスレットを購入するしかないと、占い師に強く言われました。
占い師の言葉は深く私の心の闇に刺さりましたが、残念なことに不幸をはねのけるための、ブレスレットを買う余剰資金がなかった。
そのとき、失業していたこともあり、私は恐怖に震える日々を送った。
一般的に占星術師というのは、ユーザーを不安にさせ、心を粉々に打ち砕いた状態で、未来を予言する。
このよく当たる占い師は、私に大理石の多宝塔を余程買わせたかったのか、しきりに厄除けの多宝塔購入を勧めた。
3ヶ月くらいして、私は、占い師から貰った、占いが事細やかに記された鑑定一覧を机の前に広げ、これから起こるべき不測の事態に備えようと思った。
そして不吉なことばかり書かれていたその紙に、生年月日が1年ずれて書き込まれていることを知った。
私の運勢は、かなりの確率で真実味を帯びていたモノの、そのとき、一瞬にして、我に返った。
それからというもの、私は占いというものを信用しなくなった。
1999年、ノストラダムスが【1999年7の月に恐怖の大王が来るだろう】と予言した内容についても、私は否定的で、核兵器や彗星の衝突で地球が滅ぶ前に、全財産を使い切ってしまおうという投資家を冷ややかな目で見た。
賛美歌を聴き、夫婦で1枚の毛布にくるまりながら、1999年の7月、毎夜、深夜12時を祈るようにして迎えた老夫婦は、何も不吉なことが起きないことに安堵すると共に、一文無しの2000年を迎えることになった。
彼らは、どうせこの世の終わりなら、財産を持っていても意味がないだろうということで、全財産を一夜にして消費してしまったので、1999年の7月以降、今までとは、ひと味違った人生を歩むことになった。
占いというのものは、人を不幸にさせてなんぼだ。
北朝鮮が核兵器を日本に撃ち込むぞ、撃ち込むぞと国民の意識を煽り、国民から注意をそらすのと似ている。
これらは日本を一致団結させる手法に用いられたり、政治家の危機的な局面、話題のすりかえに重宝されている。
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