2話:金持ちの話

よく金持ちの方が「金を持つ程孤独になる」

と言いますが...

今回はその金持ちの話で。



メンミクでコンタクトを取ってきた30近くの人のプロフィール欄や顔写真を見て、私は直感的に「金持ちの匂いがする」

と思い売春関係無しに会う事にしました。


鼻が効くのか、(尤もこの時は脳挫傷の後遺症で嗅覚が無くなっていましたが)

私の直感通りお会いした人は平日の昼間っからセントレジスホテルの敷地内にある喫茶店でゴールデンレトリバーを飼って紅茶だか飲んでいる金持ち、

色々と話をしていると、彼は最近失恋して代わりにゴールデンレトリバーを飼い始めた事や、新しい恋人を探している事、このセントレジスを定宿にしているとのこと。


正直気が合ったとは言い難いのですが、彼も失恋から立ち直る為、新しい恋人を探す事に必死だったのでしょう、後日またお会いする運びとなりました。

(しかし金持ちというより小金持ちの方はこの方含めてゴールデンレトリバーを飼っているのはなんなんだろう?

私の義理の兄も仕事が成功し小金持ちで今や東京の高層マンションに住んでいるらしいのですが、その方もゴールデンレトリバーを飼っていた。)



何度かお会いする内に梅田のなんだか分からない小洒落たバーに連れて行ってもらい、シャンパンをボトルで飲んだり、彼は酒に弱いらしく「ゲイバー行くの今度にしよう」

と言い帰りました。

(ちゃっかり実家までのタクシー代は貰いましたが...)


他にも「一緒に海外旅行行こうよ、パスポート取ってさ」

と言われたり、夜中一人寂しく茶屋町の居酒屋で湯葉をつまみに飲んでいた時の事、「これから一緒にゲイバー行かない?」

と彼からLINEが来たので、私は二つ返事で了承しました。


堂山のゲイバーの帰り、セントレジスまでタクシーで送って貰い、「今日泊まって行かない?」

と言われた当時の私は「さあここだ!」

と、玉の輿に乗る勢いで了承しました。



ここからセックスとなるのですが、私はさほど酔っていないものの、酒に弱いこの方は私がフェラしてる間に寝やがったのです!


セックス中に寝るという事について。

これは男と女の感覚なのでしょうか?

私が基本ウケ側ですから、女側ですから、相手が先に寝られると「そんなに俺とのセックスに興味無いのか」

と腹が立つ。


しかし今回の1話でのE氏とでのセックスでは、私が目が覚めた時は必ずパソコンの前で仕事しているE氏の背中が見えて、その背中姿にE氏の父性的なものすら感じていたのでした。

だから正直に言っちゃえば、

「私は相手に寝られるのは腹が立つが、自分が寝るのは許してくれ」

となってしまう。それは私の女側としての我がままなのでしょうか?


金持ちの彼が起きた時、私はいつもの少年らしさを演出しようとベッドの布団に包まっていかにも恥ずかしいと言った演技、コケティッシュをしましたが、

彼にはそれが気に入らなかったらしい。

そもそも彼は少年愛者では無いし、ゴールデンレトリバーを失恋した恋人代わりに飼うような人ですから、当然と言えば当然ですが...

「金を持つ程孤独になる」じゃ無いですが、彼は少年やコケティッシュと言った”性欲を満たす相手“、セフレを探しているのでは無く、

純粋に失恋から立ち直れる恋人を探していたのでしょう。



勿論、売春においてお客とのセックス中に寝る事は許されない。

2、3年程飛んで某名古屋のウリセンにいた頃、一日に7件くらい相手させられ寝る暇も無かった私は、お客とのセックス中に寝てしまって「今寝てたでしょ?」

と随分問い詰められた事がある。

これに関しては申し訳ない気持ちは有るのですが、こと売春でないセックスとなると、どうしても甘えてしまう。

(某名古屋のウリセンに関してもノンケの振りしたり、可愛がられたものの入店初日で客の名前が思い出せなくて咄嗟に「たこ八郎!」と言って裏で会長に怒られたりと色々有るのですが、今は割愛します。)



さて、メンミクでリーガロイヤルホテルにて別の金持ちと有っていた時の事です。(この別の金持ちの人はリーガロイヤルを定宿にしていて、大阪のは壁が薄いなどと文句を垂れていましたがそれはともかく、お会いしたきっかけは、

メンミクで同い年、16歳の美少年の人に紹介されたのですが...長くなるしこの先結局なんの進展も無かったので割愛します。)


私は勧められるがままシャンパンなんぞ飲んでいましたが、何の因果か...この時に初めのゴールデンレトリバーの金持ちからLINEがきました。

「新しい恋人が出来たから...ごめんね」

確かこう言った内容のLINEだったと思います。酒で酔っていて詳しくは覚えていませんが、大体そんな感じのLINE。

私は酒を飲んだ状態でしたし、ラインにて

「ああそうですか!金持ちには団地住まいで両親共働きで売春する俺みたいな貧乏人の気持ちは分からないでしょうからなあ!」などなど....

色々と酷い事を言った記憶があります。

(これは裏を返せば、当時の私が折角捕まえた金持ちに振られたという、玉の輿に乗れなかったという悔しさからでしょうが....)


「もしも心が全てなら 愛しいお金は何になる?」


(「金持ちには貧乏人の辛さが分からないよ」

当たり前だ、「貧乏人だって金持ちの辛さが分からないんだから」

というジョークが有りますが...)



ああ、因みに、リーガロイヤルで会っていた金持ちはフェラしてくれだどうのと抜かしてましたが、初めの金持ちからのLINEにイライラしていた私は、放っておいて「じゃあ帰りますから」

と捨て台詞を残しとっととリーガロイヤルを出ました。



当時の私の行動からくる根底を流れていたのはなんだったのか?貧乏からくる劣等感?金持ちの相手への(SEX中に眠った事に象徴される)嫉妬? それとも....

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