半分人間ボッコちゃん

売春している内に、私は性行為に恥じらいを感じなくなっている事に気が付き始めました。

と言うのも、初めの頃はラブホで服を脱ぐのでさえ恥ずかしさから勃起していたのに、勃起もしなけりゃ何とも思わなくなっていたからです。



一昨日の深夜、この回をどうまとめようかと考えていたら変に目が冴えて酒飲んで寝たんですが、案の定悪夢を見ちゃって、

高層マンションで何か頼み事されたんですが良く覚えていない。

男と女と少年とスライム(ドラクエのパーティーみたいな)がいて、7人か12人かそれくらいいたと思いますが、彼らがローラーで轢かれちゃう。

ただ血が出てこなくてフィギュアみたいにバラバラになるだけ。

彼らは「売春婦は裸にならなくちゃいけない!」みたいな事を言って自主的にローラーで轢かれる事を望んでいるんですが、私はそれが嫌でしょうがない、という夢。


私がこれを悪夢として覚えているのは、よっぽど彼らがローラーで粉々の塵になるのが嫌でしょうがなかったんでしょう。

(そもそも血が出ていないんですから彼らに命が有るのかどうかも知りませんが)



脱ぐどころじゃない、次第に他の恥じらいも薄れてしまって、

一番の馴染みのお客の前などでは、精飲した時に喉に精子が絡む為、よく爺さんが喉をゴロゴロ鳴らして痰を吐くように、喉に絡まった精子をティッシュに吐き出してました。

お客は隣で笑って見ていましたが、そんな馴れ合いが良いんでしょうか?良く分からない。



前にも書いた通りこの恥じらいが無くなる状態を世間では売春婦のプロと言うらしいですが...



二年ほど飛びますが某ウリセン店へ入店した時の事です、

お客が来てボーイ達を写真ではなくこの目で見たいからと暇しているボーイ達を集めたらしく、

その時外で歩いていた私も店から電話で収集をかけられ、何を思ったのか道端で咲いていた雑草みたいな花を摘んでから客に顔見せしに行きました。

工場作業よろしくボーイ達が入れ替わり客に顔見せしていく中、私は自己紹介代わりに客に道端の花を手渡し、

「良ければ僕と遊んでくれませんか?」

と言い残し待機室へと向かったのです。

勿論、店長からは余計な事をするなと裏で散々怒られましたが....

暇をしていたボーイは7、8人くらいいたでしょうか、全てのボーイの顔見せが終わったところで、私が指名されました。

私は(裏で怒られた件もあったからか)店長に当てつけがましく、「きっと指名されたのはあの花のおかげですよ」


これなんです、ウリセンの何が嫌だってのは。

何故お客の為に”余計な事“をしてはいけないのか?

人間?がローラーに轢かれ粉々の塵になり地面のアスファルトと同一化してしまうように、ウリセン店ではボーイは商品として画一化されてしまう。



風俗嬢が全員画一化されプロとして脱ぐ事やセックスに対して恥じも何も無いと、ま◯こやケツに突っ込めりゃそれで良いんだと、

そうなったら一番つまらないのはお客だとこれ読んでるあなた方(特に男性)そう思いません?


「挿入から射精までお願いしまーす!バイアグラ飲んで勃たせてきたんで!」

「はい!セックス1丁あがりー!」


てなもんでしょう、ヤってる事は食事や糞や睡眠と同じ人間の自然な生理現象になってしまう。

つまりセックスじゃないんですね、挿入してピストン運動して射精するってだけのただの生理運動。

そこには性に対する恥じらいも何も有ったもんじゃないでしょう、自然なんですから。

(食事していて恥だと思いますか?呼吸していてよそ様に恥だと?大抵は「これが自然体なんだから良いじゃないか」と思うでしょう)



ただ、そうなっても風俗嬢とお客の間で馴れ合いの関係は残るかも知れません。

精子を痰のように吐く風俗嬢を隣で笑って見ているお客。半分人間のボッコちゃん。

それでエレクトするのかどうかは知らないですよ、

しかし少なくとも私はエレクトしない。だから否定する。画一化も恥じらいの無さも売春婦のプロも否定する。否定している。18歳でウリセンに入った時から今まで、ずっと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る