3話:シャネルズ店と売春と
シャネルズ店(仮名、以下H店)
へ行くと、開口一番E経営者から「ああ君かあ、君最近堂山で噂になってるよ」
言われてみれば心あたりがある。大有り。
H店は肝心の日曜日に店が休みだったのでなかなか行く機会が有りませんでしたが、行った途端E経営者(以下E氏)に惚れてしまいました。
それはE氏の顔が良いとか性格が優しいとかでは無く、(むしろ真逆なのですが、)
話す内に惚れるのも当然、他の客もみんなE氏目当てに来ているんですから。
(因みにH店はゲイバー兼ボーイの売春も行っており、悪い噂などは随分聞いてました。)
H店はボーイが入れ替わり立ち代わりで直ぐ辞めるもんですから、(辞める理由は16にこのバーへ入店した際なるほどと分かりましたが...)
ここへくる客なんか適当なもんで「Eちゃんいるー?いない?じゃあまた来るわ、」
E氏の人望というか...殆どこの店はE氏の趣味みたいなもんでした。
(ちなみにE氏は朝まで鏡月飲んでそのまま飲酒運転したり、店のボーイに手を出したりとやりたい放題でしたが、あまり言うと素性がバレるのでやめておきます。
なんせ堂山界隈は狭い為すぐバレるので...)
ある日E氏と話をしていると、「俺にとってセックスはスポーツなんだよ」
と言われた事が有りました。
私はその言葉の意味について18くらいまでずっと考えていましたが、分かったのは
E氏にとってセックスがスポーツだと言うのは、つまりセックスを商品として扱っている、売春させる側の発想であり、そこにはどんな愛も恋も関わってこない場所だという事です。
ビジネスライク、商品化。
(これは余談ですがE氏に別のゲイバーへ連れて行って貰った時の事です、
私は吸っていたタバコを自分の手の甲に当て「見てみて、根性焼き!」
E氏は「お前はそういう事をしなくて良いんだよ」
と言いました。
この話は後々ひっくり返りますが、その顛末については今のところ割愛します。)
そう言えばH店で知り合ったお客に60後半のHT氏がおりました。
某落語家が「勃たない状態になっても性欲は有るんじゃないか」
と言ってましたが、HT氏との売春は全くその通りで、
ラブホでHT氏は私のオナニーを見ながら、自分もオナニーするだけで満足なのです。
精子が出たか否かは知りませんが、覚えている限りHT氏は勃起もしないふにゃちんを私のオナニーに合わせて弄るだけで満足という人でした。
土方巽だか誰だか忘れましたが、
暗黒舞踏で役者と観客が集団オナニーした話があります、HT氏の性行為を例えるならそう言う事でしょう。
カラオケで歌っている人とオナニーしてる人の顔が似るように、
集団的陶酔、この場合はHT氏と私が相互にオナニーを見せ合う事によって、HT氏と私がオナニーを通じ精神的に結合、交歓したのでは?
(それにしてもHTは1万5000円しかくれなかった。
ゲイバーでは自称某マスコミの社長の息子だとか芸能界入る前の成宮某を抱いた事があるとか言ってたがどうも胡散臭い。
そういやこの人は今更名刺を作ったとかでゲイバーで会う人会う人に名刺を渡していたが、パソコンの授業で初めて名刺を作った小学生のようなはしゃぎっぷりだった。
やっぱりどうにも胡散臭い。)
私がE氏とHT氏に個人で今売春している事を明かすと、
「じゃあ日曜日店開けてやるよ」
とE氏。
HT氏は「コネが有るから」と金や権力を持っている少年愛者を紹介してくれるとの事でした。
何故私はこんな好条件を断ったのだろう?自分に自信が無いから?傷つくのを恐れて?
ただ言えるのは今回の1話と同じく、不安から、傷つく事から逃げたという事だけは事実です。
しかし15歳のガキの為に採算度外視して日曜に店を開け売春斡旋をしてくれると言うのは、E氏もあながち
「セックスを品物として扱っている売春させる側」だけのクズでは無かったのかも知れない。
この人格、そこに私も他のお客もE氏に惚れたのでしょう。
(そう言えば私が売春を始める、憧れるきっかけになったのも映画「日曜はダメよ」に影響されたからだっけ...)
これは自惚れですが、私の自暴自棄というかメンヘラというか自由奔放というか、
私なら絶対近付きたくないような人間に惚れて好きだと、尽くしてくれた客が谷さん始め私のせいでクビになった某バスの運転手にしろ某ITのアレにしろ居たのは、結局E氏じゃないが私の人格に惚れたのでは無いでしょうか?
でなけりゃ誰がこんな面倒くさい奴に対して八万も払ったり返ってこない金を数十万も貸したり箱根だ水明館だ蟹だフグだと方々旅行連れていったりとそこまで尽くす?
身体目当てなら金払ってセックスしてその後帰れば済む話じゃ有りませんか?
私はもう一度言いたいのです、売春は愛だと。
人間関係をも変える愛だと。
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