第五回:初めてのゲイバー体験 1話:ゲイバー仮入店の話
当時15歳の私がゲイバーで働こうと思ったのは、
「新たな出会いがあるかも」
が半分、残りの半分は好奇心から、
ネットでHPを調べピーチボーイズ(仮名、以下PB略)へ面接を受けに行きました。
PBのママは上方舞踊や歌謡曲が好きだという事もあり面接に受かったのかもしれません。
もしくは同情か。
(前にも説明した通り当時の私は厨二病で時代遅れの歌謡曲なんかを聞いていましたから...)
取り敢えず仮入店...と言っても3日程で終わる事になるのですが、一人面白い先輩がいました。
歳は27だか8だか忘れましたが、普通に大学を出て普通の会社へ入り出来が良かったのか異例の速さで部長クラスへと昇進したというのです。
(尤も、他人の話しですからどこまで本当か分かりませんが....)
しかし20代後半になり急に「自分の人生このままで良いのだろうか」
などと馬鹿な事を思い、「自分がやりたい事をしよう」
と、会社を辞めPBで店子として働く事になったとのことでした。
(注釈:ゲイバーでは雇われているボーイの事を店子と呼ぶ風習が有ります。)
仮入店で3日程度しかいなかったので正直あまり記憶に残っていないのですが、日本刀にハマっているお客や、
次話にも出てきますが某C店の17歳の店子と3Pした話などを酒によった私はお客にして随分ママから怒られた思い出があります。
ところで店を辞めた、いや、クビになった理由はお客との口論です。
ろくにサービスもせず、酒に酔っては自分の好きな事を喋り、とにかく無愛想だった私はお客に怒られ、説教されましたがやり返し....
正直喧嘩の内容は酒もあり覚えていませんが、昔の不良漫画よろしく喧嘩した後仲直りした覚えがあります。
しかし仲直りしたからと言ってお客と喧嘩した奴を雇っておくわけにはいかない、
どういう経緯だかその夜の内にクビになりました。
ところで辞める際にそのお客の鏡月をロックでがぶ飲みしましたが、
これは今思うとやけ酒という奴なのでしょう。
「まあまあ良いじゃないか」とそのお客の一言で許してくれました。
まあ...普通に考えてまともなお客じゃないのでネタバラシすると、そのお客はヤクザの方です。
辞める際何故か例のヤクザが別のゲイバーに連れて行ってくれる事になったのですが、
店を出る時にPBのママが追いかけてきて、エレベーター前で「給料を受け取ってくれ」
と時給を私に払おうとしたのです。
私は「冗談じゃねえ、こんな事しといて受け取れる訳ねえだろ」
と突き返しましたが、それでもママは私のポッケにお札を強引にねじ込んできました。
ヤクザからも「ちゃんと受け取れ」
と言われ、結局受け取りました。
これは今思うに、給料を渡す事でママは私と手を切りたかった、割り切りたかったのでしょう。
ビジネスライクというか合理主義というか、なあなあの関係が嫌だったのでしょう。
簡単に言えば手切れ金だ、「この店と貴方とは従業員としての関係しかもっていないのだから、もう二度と関わらないでくれ」
その後どこのバーをどうほっつき歩いたかよく覚えていませんが、
(そう言えばヤクザに連れ回されてる際どっかのゲイバーで酒を飲んで泣いたのを書いていて思い出しました。)
明け方コンビニに立ち寄った際、ヤクザが電話番号を書いた紙を私に渡しこう言いました。
「お前みたいな奴ばっかり不思議と俺のとこへ集まるんだよ、酔いが覚めたら電話かけてこい、ヤクザになりたいんだったら事務所紹介してやるから」
と。
酔いが覚めた翌日、家でしばらくその紙と睨めっこしていましたが、結局電話をかける程の勇気はありませんでした。
「いやあ、だってヤクザとか怖いし。」
というのは半分真実で半分嘘です。
私は売春やゲイバーと言ったアウトローな仕事しか出来ないだろう事を知っていましたが、ヤクザという厳しい上下関係に耐えられないだろうと思って逃げたのです。
それは高校や社会から逃げるように。
...例の先輩のように普通に大学を出て普通に会社勤めをし上下関係に耐え昇級するなんて私には到底無理だろうと。
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