第三回:売春のきっかけ 前半:反撃の開始
いつものゲイ向け出会い系掲示板を見ていた時です。
掲示板には普通の募集場所と、顔写真付きの募集場所と二つ有るのですが、
顔写真付き募集場所に万札の札束画像で逆サポ募集をかけている人を見つけました。
募集内容は「値段は顔写真を送ってくれれば判断します。顔によって要相談」
当時の私は元々15歳や16歳の同年代のゲイが1万でサポ(売春の隠語)するのは勿体無い、自分の価値をもっと自覚するべきだと思っていました。
大体15歳なんてのは社会に出ておらず、金銭感覚が分かっていない、だから同年代の高校生が1万なんて金で身体を売るのだと。
勿論、当時の私も社会に出ていませんでしたが、そう考えたのは当時JKの円光が3万や5万で身体を売っているという事をニュースなどで見ていたからです。
「何故男女差別されなければならない?
何故ゲイというだけで足下を見られなければならない?」
これは今のウリセン(ゲイの風俗店)にも言えますが、今は割愛します。
ところで、この美学を説明する為に、第一回で「あなただけ今晩は」や「日曜はダメよ」
の逞しい売春婦に影響を受けゲイ向け出会い系掲示板を開いた事を思い出して欲しいのです。
そもそものきっかけ自体が、
「月を眺めて目に涙」式の売春婦への反感を訴える文章だった事を。
そんな事を当時考えていた私は、札束画像の人にコンタクトを取りました。
(今考えれば、どこから拾ってきた分からない札束画像を載せている自体で十分に怪しいのですが、当時は半分怪しいと思いつつも、正直に言えば金に目が眩んだのです。)
メールでのやり取りは掲示板とは打って変わって攻撃的な人物で、特に
「金払ってやるんだから文句言うな」と言わんばかりの態度に腹が立った私は、しばし口論したのち、
「もう良いです」とメールを返し決裂しました。
いくら金を積まれようが、売春婦に対して対等の立場をもとうとしない、見下しているのは、私には我慢ならなかったのです。
(しかし、「ダイヤモンドに目が眩み〜」では無いですが、これは正直完全に私の欲深さが発端の自業自得です。)
数時間後、急に大量のメールが届き始めました。
「掲示板見ました。足と場所あり、どうのこうの....」
こんなメールが何通も何通も、通知が鳴り止まないのです。
おかしく思った私は掲示板を開き、顔写真付き場所を見ると、そこには私の顔写真とメールアドレスと共に、「1万でサポします」
と書かれ募集されているではありませんか!
「してやられた!」
と咄嗟に私が思ったのは、数時間前に掲示板でやり取りし、口論の末決裂したのは例の札束画像の男だけだったからです。
「あいつがやりやがったに違いない!」
なんとか掲載を止めたいのですが、当時の掲示板には管理人への報告フォームも無ければ、こっち側から削除も出来ない。
また、仮に報告フォームが有ったとしても、未成年が平然とサポ募集している掲示板には何も期待出来なかった事でしょう。
掲載を止められない以上、私は逆にこれを利用してやろうと思いました。
ただし、15歳の私の身体をたかが1万で売るつもりなどありません。それは当時の私の美学に反する。
「これが女なら3万や5万でやり取りされるだろうに、男というだけでたかだか1万?安売りされてなるものか!」
この決断には今思い返すと、元々売春への憧れもあったのでしょうが、
主に例の逆恨みしてきた札束男、この騒動の張本人、卑怯な復讐男への敵愾心が大きな理由だったと思います。
「大体現実でもこれまで散々虐められてきたのだ、その上ネット上でも虐められてたまるものか!!!」
(今考えると別の復讐方法も有りそうなものですが、札束男はGoogleのメールアドレスを使用していた為に、当時復讐方法を思い付かなかったのでしょう。
もっと言えば、売春するきっかけ、チャンスを、無意識に待っていたのかもしれません。)
私は送られてきた殆どのメールに対して「3万なら良いですよ」と返しました。
詳しくはよく覚えていませんが、3万を提示した途端、「それなら辞めます」
と言った人や、「もう少し安くならない?」
と値引き交渉をし始めた人が8割方いたと思います。
しかし、実際に何人かにお会いし3万を貰った覚えが有りますから、2割はいたのでしょう。
私はこれをきっかけに、本格的に売春を始めようと思いました。
しかし、と考えます。
掲示板ではダメだろう、一時的だし顔写真を全体公開するのはリスクが高すぎる。
かと言って、顔写真無しでいちいちメールのやり取りから顔写真を交換しあうのは手間がかかりすぎる。
それに相手が可視化されていない以上、また札束男みたい奴が現れないとは限らない。
大体、他の15や16のゲイ達が1万でサポ募集している中、初めから3万を提示して募集かけていたら浮くだろう、と。
そんな頃です、ゲイの友人からメンミクの存在を教えて貰ったのは。
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