不思議で可笑しな座敷童子

蠍ト鷹

第1話

―チュンチュン…チュンチュン…


雀の鳴き声が、聞こえます。

重たい瞼を開けると、目に眩しい光が、飛び込んできました。


「もう…朝ですか…」


私はまだ眠たいと訴える頭を揺すりながら、行動に移します。

まずは私が寝ていたお布団の整理です、晴れていますし干しましょうか。

小さな体で布団を外の物干し竿に、運んで干しました。

私は『妖怪族 : 座敷童子 の【刻茶こくちゃ】』です。

妖怪族にはたくさんの派生種族が居ます。それらをまとめて呼ぶ種族名が妖怪族なのです。

座敷童子はそのままです、知らない人は調べれば出てきます。

刻茶は名前です。

私が水子として生まれた時に、この名を授かりました。

とても良い人でした。

死んだ私に対して謝り続けていました。

そんな事をおぼろげに憶えています。


「よし、完成」


今日の朝食は、味噌汁に秋刀魚の塩焼き、切った野菜にドレッシング、後は白いほかほかのお米です。


「いただきます」


モグモグと出来た朝食を、私は食べ始めました。

妖怪ですから、別に人間の食べ物は食べなくてもいいのですが、一度食べるとやめられないんですよね。

人間を食べていた同族ようかいも、人間の飯を食べた結果人間食べなくても良くなったらしいですし…モグモグ、ゴクン


「ごちそうさまでした」


食べ終えたので食器を洗いましょう、最近は食器洗浄機にまかせています。

本当に楽でいいです。

やる事終えたので今から自由行動です。

と言ってもやる事は決まっています、昨日は川周辺がうるさかったですからね。あそこは今の時期になると、人間がキャンプをしにやってくる隠れスポットです。

まぁマナーが悪ければ、ご近所さんに殺されますけどね。

昨日の騒ぎはきっとご近所さんの仕業でしょう、一体何したんでしょうかね。


「おっとこれは急いだ方がよさそうですね」


この森には私自ら結界を張っています、人間がこの森に入ってきたかどうかを、知るための結界です。

今三名の人間を結界で感じとれました、行先は騒ぎがあったであろう川でしょう。見られたら面倒です、急いで片づけに行きましょう。


「…そこまで荒れていないと良いのですが…」


私は木の上を軽い身のこなしで、高速移動します。

件の川に到着すれば、テントの残骸や散らばったキャンプに来た人間の荷物が、散らばっていました。幸いにも血溜りは無いようです。

私はこの光景を見て式神符を2枚取り出しました、私特製です。


「『纏威てんい』『魚奉ぎょほう』この物を我が家へ」


私は短く早口で呪を唱え、前方に式符を投げます。

1つ目の式神符『纏威』と書かれた式符は、鬼の一本角を生やした鬼熊と言う種の姿に、もう片方の式神符『魚奉』と書かれた式符は、無を泳ぐ幽魚と言う種の姿に変えました。


「「御意に」」


姿を変えた2式が返事をすると、さっそく仕事に取り掛かります。

纏威がその巨体に似合わない速さで散らばる残骸や荷物を拾い、魚奉が纏威から拾った物を食べています。

魚奉のその身体の中どうなっているのでしょうかね。考えても仕方が無い気がしますけど…っと考えている内に終わりましたね。

そのまま式は私の家に行きました。


「ふぅこれで大丈夫でしょう、とりあえずは私も戻りましょうか」


私は身体をひるがえして、森へと入ります。

人間がその場へ着いたのは、直後でした…セーフ

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