矛盾
「本当に申し訳ございませんでしたっ!!」
シトリーと俺の暴走による闇鍋錬金術による爆心地に勇者と英雄と破壊神の渾身の土下座が炸裂する。
「そんな土下座になんの価値があるのかしら?」
ミスっ!
速やかに瓦礫を撤去した更地に明らかに不機嫌な顔をしたベロニアが仁王立ちしている。
頭や手足に巻かれた包帯が痛々しい。
くっ!こ、これならどうだ!
「これは俺達からの謝罪の気持ちです。」
スっ(オリハルコンがぎっしり詰まった袋)
「·····ま、まぁ?形ある物はいつかは壊れるんだけどさ·····。お、怒ってるわけではないないのよ?で、でも、私としても住む家や工房、店も全部吹っ飛んで明日からどうするかって話が――。」
勇者の会心の一撃!
「こんな物で謝罪になるかどうかは分からないが·····。」
スっ(数万ゴルドが詰まった金貨袋)
「こ、こんなに·····!?いや、うん!ま、まぁ良いのよ!私もちょっと言い過ぎた所あったし!破壊と創造は表裏一体って錬金術の基本にして秘奥だしね!しょうがないわ!!」
勇者の追撃!
やったぜ!
最近気づいたのだが、ゲームと違いこの世界では金貨もバグで増やせるのだ。
ふっふっふっ!暴力と財力が両方そなわり最強に見えるぜ·····!
「まぁ示談は成立って事でこんな茶番は終わりにして、本題はその剣ね。」
手のひらを返したベロニアが巻き付けた包帯を外しながら俺の腰の剣を見る。
あ、あれ?怪我は·····。
「べロニアの傷は私が治した。回復は得意。」
「傷はシトリーちゃんに治してもらったし、おじいちゃんの秘伝の錬金レシピは無事だったし、オリハルコンと金貨も大量に貰えたし、まぁ良しとしましょ!今度の家はもっと広く作ろうかしら?資金難で試せなかった錬金術も試せそうだわ!」
こ、こいつ、まさかの焼け太りだと――!?
ぐぎぎぎっ!!
「ま、まあまあシュウ殿。そうは言っても悪いのはこちらですし·····。」
って言うかお前蛮族スタイルの癖に、割と常識人だな!オルテガス!
まぁ良い。確かに問題は破壊神謹製のこの黒い剣である。
見た目はケーニッヒメタルの剣をより禍々しくした様な見た目だ。
遠目からは真っ黒な巨大な十字架の様にも見え、鍔や柄の尖り具合なんかどう見ても魔剣とか邪剣と言った風体だ。
そして、その切れ味は異常の一言である。
シトリーが積んでいた大木で試し斬りをした所、数本まとめてなんの感触もなく切れてしまった。
1本辺り俺の胴回りより太いんだがな·····。
試しに刃を下に石畳の上に落として見たら、石畳に突き刺さり、そのまま倒れながら石畳ごと地面を切ると言うぶっ壊れ性能を発揮しやがった。
「レシピ自体はおじいちゃんのレシピ何だろうけど、ベースにしているのがケーニッヒメタルの剣だからか、話に聞いていた勇者の剣より強いわ。でも今までの研究から言ってケーニッヒメタルの素材じゃあこんな風にオリハルコンと反応させれないはず。アンタが入れたって言う大きな魔石がブーストを掛けたと考えられるわね·····。これが真実なら鋼以上の素材はオリハルコンと反応相性が悪いのではなくて魔力不足が原因だと言えるわ。ねぇ!同じ魔石ってもっとないの?」
ベラベラと独り言の様に黒剣の所見を述べていくべロニア。え、え?話を聞いてなかった!魔石?
「え、あー。あの魔石は·····もうないな。小さいのなら幾らでもあるが?」
「恐らく駄目ね。欲しいのは瞬間的な魔力量。それも爆発するくらいの膨大な魔力がケーニッヒメタルの素材とオリハルコンが反応する条件のはず·····。うん。ないならさっさと取ってきて!」
「は、はぁ!?何でわざわざ·····」
「あいたたたたたた!!爆発の後遺症が·····!それにあの家には亡くなった家族との思い出の品もあったのに·····!」
「~~~!!あぁ、もう!分かったよ!行きゃあ良いんだろ!?行きゃあ!」
「初めからそう言いなさいよ。私は新しい錬金術のレシピを試せるし、アンタは強い武具が手に入る。ウィン・ウィンの関係じゃない!」
コイツ·····。
間違いない。コイツは錬金術の為なら手段を選ばない様な外道だ·····!
「――シュウ。私も手伝う。」
「うむ。あれ程の魔石ならば余程強力な魔物を倒す必要があるからな。世界の為でもあるし、私も手伝おう。あれ程の武器ならば必ず大魔王を倒す為の助けになるだろう!」
「·····はぁ。まぁ俺達3人なら出来るか·····。しょうがない。ちゃちゃっと終わらせよう。」
しかし、オルテガス。お前は1つ勘違いしている。
強力な魔物と言うか、あの魔石は大魔王のだぞ?
それに魔王のも。
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