屋敷を手に入れた!
「だ、旦那ぁ。もう勘弁してくだせぇ·····。」
「もう何度飛ばされた事か·····。」
「何の拷問っすか。魔鳥の翼が勿体ねぇ·····。」
この村で1番大きな建物の主賓室で、俺とミレーヌは豪華なソファーで優雅に寛いでいた。
しかし、俺達の足元でへたり込む3人の厳ついマッチョが目障りだ。
ソファーの横のサイドテーブルには綺麗な水やら果実水、それに軽食にサンドイッチやらが所狭しと並べられている。
うん。修行の後の飯は美味いな。
やっている事は魔鳥の翼でロンフー達を吹っ飛ばして魔物から逃げる事しかしていないが。
ちなみに今食べている食料は自前だ。
細々と農業をしたり狩りをしている様だが、生産量と消費量を考えるとギリギリもいい所なので、献上される食料には手を付けず、むしろ俺の食料を村の連中に分け与えている。
食料はバグ技で増やせるので実質無尽蔵である。
ビバ!バグ技!
あの私闘の結果は当然、俺たちの勝利で終わった。
その結果、弱肉強食の掟に従い、この村で1番大きなロンフーの屋敷を手に入れる事となった。
今は休憩中だが、ロンフー達を使って絶賛ミレーヌの修行祭りを開催中だ。
「うるさい。むしろ修行に付き合わせるくらいで許してるんだからかなり寛大だろうが。いきなり喧嘩を売ってきやがって。うちの娘が怪我したらどうする気だったんだ!」
「確かに見せしめのつもりで喧嘩は売りましたが、その喧嘩を買って俺達をワンパンで吹っ飛ばしたのはその娘さんじゃないっすか·····。」
確かゲームでは荒くれと武闘家と言うそのまんまな名前?を付けられていたロンフーの取り巻き2人がボヤく。
うむ。ミレーヌも強くなったものである。
デモクエ7ではこの辺だと、適正レベル14、5くらいだろうか?
元々レベル31でオリハルコンのナイフ装備のミレーヌにはこいつらは逆立ちしても勝てない。
今は幸福の靴と魔鳥の翼を使ったレベルアップバクを使いメキメキとレベルを上げている。
もうロンフーすらも勝てないだろう。
本来は負けイベントなんだが、リアルならこんなもんだ。
「この村の掟は弱肉強食なんだろ?ロンフー。お前もこの屋敷を無理矢理奪い取ったと聞いているぞ?」
「そ、そりゃあそうですが·····。」
「大丈夫だよ。ロンフーさん。私達あんまり長居する気はないから。」
「本当ですかい!?お嬢!」
心底嬉しそうに顔を上げるロンフー。
一応、コイツはこれでもこの村のトップの実力者何だが·····。
「うん。私達、法の神殿を解放するつもりなの。」
ミレーヌがさらりと告げた一言に狼狽えるロンフー。
「お、お嬢!そいつはいけねぇ。いくら旦那とお嬢が強くても多勢に無勢だ。それにこの村は山と海に囲まれた孤立した土地だ。助けを呼ぶ事も出来やしねぇ。」
「人手ならいるだろ?確か、法の神殿を守護する連中がいたろ?」
そう。法の神殿には守護騎士団なる連中がいる。
大部分は魔物が占拠した際にやられたらしいが、1部は生き残り再起しようと日夜励んでいる。
「あの連中は使えねぇ。所詮は敗残兵だし、山の中腹の村で監視されているらしいですぜ?何か期待する方が難しいってもんでさぁ。」
その辺は原作通りだな。
山の中腹の村には本来、法の神殿の大神官を初め、神官長やら沢山の神官と騎士団の生き残りがいる。
「この村にも1人騎士団の生き残りが居ますが、魔物がうろつくダンジョンを超えて中腹の村にも行けない始末。あまり無茶はしない方が·····。」
何やら普通に心配してくれるロンフー。
結構良い奴である。
「まぁまぁ。その辺は何とかするつもりだ。」
ソファのサイドテーブルに置いたロンフーから取り上げた、もとい、寄贈された『力の種』と『守りの種』、『素早さの種』を見つめ、『魔鳥の翼』を手にしてニヤリと笑みを浮かべる。
「さ。そろそろ修行を再開しよう。ロンフー。お前もついでにレベルアップしておくか?」
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