会社員と海の子守唄(2)
ウルドからクルーンへと移動してきた俺とアスカ。
移動中には特にハプニングもなく、盗賊に襲われることもなく、海港都市クルーンへと着いた。
冒険者ギルドに行ってもいいし、宿屋を探してもいいな。どれくらい滞在するかも決めてないし。
人通りも多く、とても活気がある街だ。店も多いから色々と見て回るのもいいかもな。
「さてと……どうする……って言ってもあれだな。」
アスカの顔を見るとあれにしか目がないようだ。
「魚を食べよう!」
アスカは街の門番に魚がある場所を聞いていた。
「どっちにする? 魚市場か? おすすめの魚料理の食べれる店か?」
「う~んとねぇ、う~んとねぇ……」
アスカが頭を回しながら悩んでいる。とても真剣に悩むもんだから、少し可笑しくなってくる。
「何で笑うの!? 真剣に悩んでるんだよ!」
「あはは、アスカごめん。そんなに悩むなら明日もあるんだし、今日と明日で両方行けばいいんじゃない?」
「そうだけど! 今日の気分的に美味しいのはどっちか悩んでるの!」
……そっか……今日の気分でね……うん、俺には分からん。
「それで? どっちにする?」
「もう! ディーが話しかけたからまた迷いだしたじゃん!」
……えぇ……俺のせいかよ……
結局、それから30分くらいアスカは悩んで悩んで悩んで悩んで
近くの屋台で貝の串焼きを買って食べだした。
「何で?」
「だって美味しい匂いをさせてるんだもん!」
「お、嬢ちゃん嬉しいこと言ってくれるね。海から仕入れたばかりの貝だからね。鮮度と味は抜群だよ。」
確かに良い匂いを放っているけども。俺とアスカは二人とも一本ずつ購入して、屋台のおじさんに魚市場がいいかおすすめの店がいいか尋ねた。
「そうだなぁ……たくさん食べるなら魚市場だけどよ、さっき串焼き食ったからなぁ……今日はおすすめの店で名物料理を食べるのを勧めるぜ。ここクルーンに来たら一度は食べて欲しい料理だからな。」
「なら、おすすめの店にするか。」
「ほら、思った通り!」
……なにが? 何かよく分からないけど、計算通り! みたいな顔をしているアスカを連れておすすめの店に行ってみる。
「私が屋台を選ばなかったら、もっと時間がかかってたと思うの。だから、私の選択はナイスチョイス! な訳なの!」
そうか? いまいちアスカの言っている理論が分からないが、納得したフリをして頷く。
「あぁ! またディー適当に答えてるでしょ。」
膨れっ面になったアスカに指摘される。
……いや、アスカの言ってる意味分からんし。
「……ソンナコトナイヨ? ナイスチョイスだよね?」
それでも一応、ちゃんと聞いていたフリを続ける。
「ぜっったい、絶対適当に答えてたでしょ?」
「……あ、お店ついたよ。ここだよね? ちょっと空いてるか聞いて来ないとね。」
「……お店入って注文したらまた聞くから。」
おぉ。今回は上手いこと逃げれたと思ったのに。
美味しい食事を前に気が重たくなったが、アスカのことだ美味しい料理が目の前に出てきたら忘れてくれるだろう。
俺は楽観的に考えることにした。せっかくだから美味しい料理を楽しもう。多くのお客さんで賑わう店に俺とアスカは入っていった。
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