閑話 VR課(2)

「いたか?」


「いや、いないね。」


「こっちであってるよな?」


「川を上流に向かって遡ってるんだから、間違いないよ。」


「レイっち死んだ?」


「それもないね。死んだら彼の機械が開くはずだからね。それにバイタルも問題なかったよ。」


「なら、もう少し上流ですかね?」


「…そうだね。日帰りの範囲内で行うはずだから、もう少しだと思うけどね。」


……


「…なぁ。」


「そうだね、異常だね。」


「異常ですか?」


「何が異常?」


「水スライムの数だよ。僕らにしたら、気にもならない数だけど、新人には無理だ。」


「そうなの?」


「あぁ。もう少し速度上げるよ。急ごう。」




「…何あれ?キモイ。」


「…大量の…水スライムみたいだね。何かに群がっているように見えるけど…」


「プリン、頼んだ。」


「えぇ~!?」


「お前なら一撃だろ?」


「そうだけどさ~。」


「プリンちゃん。お願い。」


「メイさん…も~!仕方ないなぁ。」


ダダダ…


ドギャァァァア!!


「おぉ!すごいぶっ飛んでいったね。」


「さすがプリンちゃん!」


「へへぇん!…あれ?」


「おい…あれ…ダンジョンか!?」


「あんなところに…ダンジョンが出来ていたなんて…」


「だから水スライムが多かったのでしょうか?」


「きっとそうだね。そして、レイ君もこの中にいるんじゃないかな。」


「1ミリがここに?」


「レイっちがここに?入る?」


「1ミリメガネさんがダンジョンに入るでしょうか?1人なので入らないんじゃ…」


「ここまで街から来て、すれ違わないなんてあり得る?」


「それは…。」


「それに、クエストを受けてたなら何処かの街へ行くだろう。そこでクエストの報告をすればいい。その報告が無いとギルドで言ってるのであれば…」


「ダンジョンってことか…」


「そうなるね。とりあえず、パーティーを分ける。このダンジョンを報告する人、この周辺を捜索する人、ダンジョンに入る人。どれがいい?」


「私は捜索が向いてますので、この周辺で形跡を探します。」


「ありがとうメイさん。」


「ダンジョンが呼んでる。」

「…俺もダンジョンしかないな。」


「プリンちゃんとリッちゃんがダンジョンだね。頼んだ。僕がギルドに報告してくるよ。戻り次第、メイさんと合流してダンジョンの2人を追いかけるよ。」


「「「了解。」」」


「じゃあ、ハーベスト行動開始!」


プリンちゃんとリッちゃんがダンジョンへと消えていく。


メイさんも音もなく消えていた。


「…待っててねレイ君。必ず助け出すからね。」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る