第9話 キャラメルポップコーンな村長

ライラさんの提案で妖精族の中でも一番長生きな村長さんを訪ねることにした。

もしかしたら僕らのほかにこの世界にやってきた人たちがいるかもしれない、その人達だって帰り方をきっと探したはずだ。


レンガの道のわきにそこかしこに植えられている木々には見たこともない実がたわわと実っている。あまーい匂い。


果樹園なのかな?


「ここが妖精族の村ですよ、素敵でしょ?」道案内をしてくれているのは黒い小さな

猫だ。妖精の村に行くにはこの猫の道案内が必ず必要らしくノーチェが頼んでおいてくれたんだ。


「どうして猫ちゃんの案内がないといけないの?」


彩菜が質問するとクロムが答えた。


「こやつは案内役というか、鍵なのだ。鍵がなければ妖精族の村には入れないようになっている。」


「鍵?」


「あぁ、妖精族以外は基本入ることはできないんだ」


父さんと母さんは見たこともない果物に目を輝かせている。


「斗真さん、見て、美味しそうね!この世界の果物が手に入ればレシピの幅がまた広がるわ~」


「奈々はスイーツ作りに最近はまっていたもんな、3丁目の田中さんなんかいつも楽しみに・・・」言葉を言い終わらないうちに父さんは口をつぐんだ。


「斗真さん、この世界で新しいレシピをじゃんじゃん作ってまた喜んでもらいましょうね」

母さん、今日もポジティブ。正直救われる。


「もうすぐ村長の家につきますよ。耳が若干遠いので大きな声で話してあげてくださいね」黒猫は可愛らしい声で言った。


黒猫が話そうがもう驚かないぞ・・・。


村長の家はログハウスのような可愛らしい木の家だった。庭には沢山の花や実の付いた背の低い木、うちの女子軍が大好きな感じ。


母さんも彩菜もキャッキャしている。


カリカリ・・・ノックの代わりに黒猫が爪をたてた「そんちょーお客様だよ~」


しーーーーん


居ないのかな?


「そーーーんーーーちょおぉぉぉぉお」黒猫ちゃん渾身の声


ガチャ


扉を開けて出てきたのはまるでサンタクロースのようなおじいさんだった。


「そーーんな大声出さんでもきこえるわい」


村長と呼ばれたサンタクロースはニカっと笑い「お~これはまた珍しいお客さんを連れてきたのぉ~」と僕らの方に目を向けた。


「妖精族の村エファメラルへようこそ」

ふぉっふぉっふぉとなんだかやっぱり聞き覚えのある笑い方で笑った。


「さあさ、中にお入りなさい。よく来たよく来た。」


家の中は何だか甘い匂い、フルーツとは違う・・・あ、映画館の匂いだ!キャラメルポップコーン!


「美味しそうな甘い匂いだね」


彩菜が言った。


クロムがくすりと笑ってそっといった。


「これは妖精の匂いだ。妖精にもいろんなタイプがいるがだいたい甘い匂いがするのさ」


キャラメルポップコーンなサンタクロースは僕たちにふかふかのソファーを進めてくれた。


「村長よ、久しいな。お主の好きな蜂蜜酒を持ってきたぞ」


「おぉぉ~覚えておったかぁ、わしはこれにめがないんじゃ。して、そっちの人間族は?」


「あぁ、この者たちは異世界の迷い子だ」


村長の目が丸くなった。


「ほぉ~~、久しぶりにお目にかかったわい。そうかそうか、おぬしらはこちらの世界に落とされたかぁ、何百年ぶりかのぉ~」


ガタ


父さんが勢いよくソファーから立ち上がった


「あ・・・あなたは僕らのほかに異世界人にあったのですか?!その人たちがその後どうなったか・・・元の世界に帰れたか知っていますか??」


「あぁ、よーーっく知っとるよ。」


村長はどこか遠い目をして、寂しいような優しい声で言った。









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