マズ飯
みし
とある街にて
それは、とあるイベントに参加したときの話である。そのイベントは予定では全日拘束されるので主催からは昼食はランチボックスが至急される事になっていた。ここではっきり書いておくと弁当ではなくランチボックスである。決して弁当を格好良くランチボックスと書いている訳ではない。BentoではなくLunch Boxの事である。
イベントは退屈であまり面白い事も無くそのまま昼の時間になったのでそのランチボックスを取り出して野外で昼食としゃれ込む事にした。
ひしゃげた安っぽい袋を開けるとこれまた安っぽいバスケットが出てくる。K○Cでフライドチキンを買ったときフライドチキンを収める容器があるがそれを十倍以上安っぽく雑に作ったような感じのバスケットだった。それだけでも俺の食欲は下がる一方なのだが、バスケットを開けると更に驚愕な中身が姿を現すのである。
バスケットの中にはサンドイッチと副菜が入っており、副菜は溶けそうな弱い紙の容器の中に盛られているのは細切れに切り刻んだ細いパスタの残骸の様な者に得体の知れない何かを混ぜ込んだようなものだった。サンドイッチはコッペパンをべちゃべちゃにした様なパンに煮込みすぎて出がらしになった様な肉とカサカサしている薄いレタスだった何かをはさんだものであった。ソースらしきものは一切掛かって折らず素材の味を存分に活かした様な面構えをしている。サンドイッチから食べたら腹を壊しそうな匂いを感じるのだがどうやら火だけはしっかり通してある感じ。これでも一応人の食い物らしい。パッケージをひっくり返して書いてある文字を片っ端から追っかけていみるが何処にも
サンドイッチと副菜のどちらを先に食べよう考えた末、副菜の方を先に手を付けることにした。添えられたプラスチック製の安っぽいフォークで細切れにしたパスタを巻こうとするが粉砕しすぎたそいつはフォークに刺さらずそのままこぼれ落ちてしまう。その時ぬちゃっとした何とも言えない感覚が脳髄まで響き渡る。何度やってもこぼれ落ちるのでフォークをスプーンの様に持ち替えすくって一口の中に放り込んだ。
口内をぬちゃっとしたぬめり突くような感触が這いずりまわり身体がぶるっと震えて得たいの知れない寒気を感じた。口の中にいれたその残骸は幾ら噛んでも味と言うものが無く二時間噛み続けたガムを一回外に出してから、もう一度口の中に入れて再び噛んでいるようなそんな奇妙な感覚を覚えた。これはコーラで流し込むしかないと思いコーラのボトルを口に流し込むが喉が飲み込むを拒否してくる。そこをぐっとこらえてパスタの残骸を強引に飲み込んだ。
——さすがにこれは人の食い物ではない。いや生きとし生けるものに対する冒涜ではないかと思いながら今度はサンドイッチをつかんで口に入れてみる。
先程の副菜に比べれば多少マシであるがパンの吸い込んだ湿気が生っぽさを引き出して居るにも関わらず食感がパサパサしているのである。そして具にも味は一切ない。塩とか胡椒の味すらせず苦さすら抜けてしまった食感のないレタスと肉の様な何かをパサパサなパンと一緒に食べているだけである。こいつをコーラと一緒に飲み込んだとしてもコーラの方が先になくなってしまうのは確実。もったいないがこいつはゴミ箱に捨てて近くのファーストフードで何か食べようと思ったのであった。
マズ飯 みし @mi-si
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます