第9話
単純な彼女らの善意が痛々しく感じた。
嗚咽が止まらない
昼食をとっていたらきっとまた戻してしまっていただろう。
ぼくだって
君らみたいな
人間風情になりたかった
僕らだって
その低俗を許されたかった。
何がおかしいのか?何もおかしくない?そんなわけないだろ、こんなに苦しいんだ。
止まらない唾液と冷や汗
見開いた目と両手で持った袋
下を向いて息を切らしている僕
1回、2回、3回、
4回、5回、6回と嗚咽が止まらないのだ
「お゛え゛」と漏れる声ですらない何か
自業自得だ
なぜだか分かっていた
言えなかった
言えないから僕の怠慢が原因だと言われる。
違う、違うんだと
言いたい、言えない。
「ぼくのせいじゃない」なんて。
益々たまるストレスフラストレーションに
増す吐き気。
なんで分からないんだと、声を大にして言いたいが。
これがよくない、
分かるわけがないだろう?
私は何も言っていないのだから。
待ってても無意味だ。
生き物としての種類が違う。
常識も違う。
姿かたちがそっくりでも
常識が違えばもうそれは
同じ生き物の基準ですらなくなる
彼らが難なくやってのけて
子供の頃から学んでいる、生き方、人間という生き物の言語も歩き方も、例えば食事なんかだったり、息の仕方すら
いつ習ったわけでもなく知っている
そこがもうズレている
私には息の仕方が分からない
食事がとれない。
全て吐く?
音すらもう、彼らが平然としていられるのが分からない。
耳鳴りもやまない、自分以外の人間の声が聞こえるだけで吐き気がする
友人が欲しいなんて言ってはいるが
もしかしたら最初から人間と仲良くなんて出来なかったのかもしれない。
ぐちゃぐちゃの
茶色とも橙色とも言い難いそれをみて
ひきつった笑顔をしている僕は
既に何者なのか、みえない。
くるしいなぁ。
にんげんになりたいね
人肉でも食えば人間になれるの?
君の血を飲めば僕も人間になれる?
じゃあ、
僕の血を君に飲ませたら君も僕と同じになるの????
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