三兄弟と命を拾われた女子高生、異世界に行く

大根の煮物

第1話


「おーい朝だぞ〜起きろ〜」




俺の朝は日課である弟達を起こすところから始まる。


呼びかけに応じてムクリと体を起こすやつが1人。


カーテンの隙間から射し込む光を眩しそうにしながら目をこすっているのは、三男の直樹。


「しょーにぃおはよ〜(~o~)」




「おう、おはよう」


まだ完璧には覚醒していないのか、おぼろげながらも返事をしてくる。


「ほら、着替え出してあるから着替えてこい」


リビングに置いてある着替えに目線を送る。


「はーい」


まだまだ眠そうにしながらも素直にリビングに行き、着替え始める。 


直樹が着替え始めるのを確認したら俺は今のやり取りの間に、起きなかったやつを起こす。


「おーい、朝だぞー」




「………………モゾモゾ」


おそらく、たぬき寝入りしているであろうもう1人の弟、菊に声をかける。


「寝たフリしてるなら今日の朝食トマト4つ食わすぞ」




「………………シ−ン」




「お前、今日の朝トマト8つな」


さっきの2倍の数を提示する。




「それはやめて!!」




さっきの寝たフリが嘘のように、飛び起きてくる菊。


「翔兄ィィ〜ちゃんと起きたからトマトなしか、せめて2つにしてよー(;_;)」




「おう、わかった4つな(・∀・)」




「…………(´・ω・`)」


露骨にしょんぼりとした菊に声をかける。


「冗談だ、2つで良いから早く着替えてこい」




「さっすが!翔兄、話が分かるぅぅ〜、なんで彼女できないんだろうね!(*゜∀゜)」




「やっぱりお前、トマト4つな」


ほとんど毎日やるこの茶番も終わったところで直樹に続き、菊もリビングに着替えに行く。




着替えをしている2人を横目に年季の入ったオーブンで食パンを4つ焼く。


それぞれの好物が乗ったトースト。


直樹はハムとチーズ、菊はバターとあんこ、俺はチーズにトマトケチャップという至って普通の朝食だ。




着替え終わって座って待っていた2人にそれぞれトーストの乗った皿を差し出す。(もちろん、菊の皿にはトマトが4つ乗っている。)




「よし、食べるぞ」


2人に声をかける。




3人 『いただきます!』




〜食後〜




「いってきまーす!!」




「はいよー」




「きくにぃー行ってらっしゃい」


俺と直樹に見送られて元気な声と共に、菊は小学校に行った。


菊が背負っているランドセルには一番小さい学年である証明として、交通安全カバーがしてある。




「さてと、直樹。俺らも行くぞ」


「うん、しょーにぃ」




直樹と共に玄関を出る。年少さんになったばかりの直樹を保育園に連れていくためだ。


玄関を出てすぐのところに駐輪してあるママチャリに、直樹を後ろに乗っけて乗り込む。




「しっかりシートベルトしたか?」


もしもがあると怖いので後ろにいる直樹に声をかける。


「うん、ちゃんとしたよ〜」


菊と違って、とても素直で真面目な直樹。




「じゃあ、出発するぞー。しっかり捕まっとけよ。」


「は〜い」

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