第974話 順調なLv上げ


 それから間欠泉の真下になる広場で狩りを続けていって、もうすぐ17時になるというところである。2個目の『経験値の結晶』の効果ももう少しなので、この1戦が最後! この1戦の開始時点で敵の数が4体に減ったから、そろそろここでは限界っぽい。

 そして残る敵は、赤い空中を泳ぐタイが2体! なんか知らないけど、同じ種類が2体残った。タイだから元々赤いけど、そういう赤さじゃなくて、こうもっと濃い赤!


 グラナータ灼熱洞の地下の深い場所は海の生物だらけではあったし、木の代わりに魔法吸収を使うワカメとかコンブが出てきたけど、基本的には戦い方は一緒でいけた。

 ただ、こっちの方が弱らせた時に逃げられやすくなっているのが大きな違いかもしれない。


「ハーレ、そろそろかな!」

「了解です!」


 もうここでの戦闘では定番と化した手順での戦闘の大詰めだね。ヨッシさんが同族統率の生成個体で誘き出し、アルと俺でウォーターフォールを発動。それと同時にアルのクジラでの応用スキルの連続突撃と俺の水流の操作で逃亡を封じる。

 海藻系の敵にも普通に毒は有効だったから、ヨッシさんに威力の減少になる前にサクッと倒してもらい、その間はサヤとハーレさんはチャージをしながら連撃や通常攻撃で対応。そしてチャージを終えた段階でそこまで攻撃で生き残ったのを殲滅である。


「サヤ、ハーレさん! 今回も最後は任せた!」

「はーい!」

「行くかな!」


 そうして、チャージを終えて銀光を放つサヤの爪とハーレさんの投擲が2体のタイに直撃して、どちらのHPも全て無くなりポリゴンになって砕け散っていった。


<ケイがLv28に上がりました。各種ステータスが上昇します>

<Lvアップにより、増強進化ポイント2、融合進化ポイント2、生存進化ポイント2獲得しました>

<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました><未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>


<ケイ2ndがLv28に上がりました。各種ステータスが上昇します>

<Lvアップにより、増強進化ポイント2、融合進化ポイント2、生存進化ポイント2獲得しました>

<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました><未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>


 よし、Lv28には予定時間のギリギリで達成! ふー、今だと経験値の取得量の制限は外れてるし、経験値2倍の効果も大きくてサクサクとLvが上がった。

 さっきのタイの片方は残滓だったっぽいけど、まぁそこは気にしなくていいか。残滓とはいえ、かなり経験値は良かったしね。


「みんなLv28、達成なのさー!」

「いけるかもって思ってたけど、本当にいけたね」

「あはは、経験値2倍の効果は大きいかな!」

「だろうな。それにしても、こりゃ夜からのボーナス次第では今日中にLv30もいけるんじゃねぇか?」

「おっ、確かにそうかも? そうなってくれると俺らとしてはありがたいとこだな」


 流石にまだ何日かはかかるような気はしてたんだけど、このペースなら冗談抜きで今日中に上限Lvの達成も見えてきた。


「あ、そういえばさっき竜の小型化がLv3になったかな!」

「おー! それなら竜のサイズは大きくならずに進化出来そうなのです!」

「うん、まだ内容は確認出来てないけど、竜の新しい進化先も出たみたいだから大丈夫そうかな」

「すぐに共生進化に出来そうで良かったね。……こうなると、私はどうしよう? 3rdの解放ボーナスは部位合成の種を使う方が早い?」


 あー、ヨッシさんの支配進化にした上で、ウニに伸縮する何かを足して振り回して使う計画か。重要度が高くなってきそうなタイミングで、空白の称号とどっちかを選ばないといけないのは痛いよなぁ……。


「もしくはウニを進化の輝石の樹か草と合成進化をするかだな。ヨッシさんなら火に弱いのは変わらんし、問題はないだろ」

「アルさん、その場合って海水への適正はどうなるの?」

「ウニが基本になるから、問題はないはずだ。纏樹か纏草で擬似的に実験は出来るから、それで試してみるのもありだな。……ただ、この手段だと安定して狙った種類の木や草になるかが分からないのが欠点か」

「……草なら用途的には蔓系がベストだよね。木だと余分な部分が増えそうなのがネック?」

「だろうな。……合成進化の際にその辺の選択が出来るかまでは知らんから、試す前に先に調べておいたほうがいいか」

「うん、無理にこれからすぐにやる必要はないし、そこは間でまとめを見て調べておくね」


 あー、木の根だけを合成出来るかどうかって話か。うーん、羽だけの合成が出来たりするんだから木の根だけでも出来そうだけど、そこら辺は要確認だね。


「ヨッシ、ダメ元でヤナギさんを探しに行くのです! 運が良ければ、それでなんとかなるのさー!」

「うん、それも並行してやってみようっと。運頼りにはなるけど、そこで手に入れば一番問題はないしね」

「だなー。そういやヨッシさん、トーナメント戦には出てみないのか? アルが報酬の中に部位合成の種はあるって言ってたけどさ」

「……あはは、正直に言えば勝ち残る自信がないんだよね。状態異常が上手く決まれば勝てるかもだけど、それがダメだったら勝ち抜ける気がしなくてさ……」

「……なるほど」


 ヨッシさんも相当強いとは思うんだけどねー。それこそ、いか焼きさんがレナさんや弥生さんにも通用するほどに状態異常は強い。

 だけど、それが通じない相手が出てくれば途端に取れる手段が無くなってくる。1戦だけの模擬戦ならともかく、何戦も勝ち抜いていかなければならないトーナメント戦では通用しない事も考えられるか……。


「ヨッシ、そこで勝ち抜けるかどうかは確かに運に左右はされるかな! でも、出ないと絶対に無理なのも事実だよ?」

「……うん、それはそうだよね。アルさん、3rdの解放ボーナスってすぐに選ばないといけないの?」

「いや、長々と放置はしないでくれとは言われたが、特に期限は決まってねぇぞ。あぁ、ちなみに貰うのはログイン場面でだ」

「そっか、それならそっちは最終手段に残しておけるね。……うん、決めた。新エリアの移動が可能になる段階までは色々チャレンジしてみるけど、それでダメなら3rdのボーナスを使うね」

「ヨッシがそう決めたなら、それで良いのさー!」

「ヨッシ、応援してるかな!」

「ヨッシさん、頑張れ!」

「必要な事があれば手伝うからな」

「うん、みんなありがとね」


 どの手段で上手くいくかはまだ分からないけど、ヨッシさんは明確に方針を決めたね。3rdを合成素材としてパワーレベリングをする選択肢は除外してるみたいだけど、どうしても時間がかかるからだろうなー。

 ん? 3rd? あれ、待てよ? 今思いついた可能性ではあるけど、これって可能なのか?


「さて、そろそろ森林深部に戻って、コンテストの――」

「……アル、ちょっと確認したい事があるんだけど……後にした方がいい?」

「あー、多分混むだろうから、どこかで場所確保はしておきたいから先に移動はしておきたいが……」

「……もう混んでる気もするかな?」

「私もそう思います!」

「……あはは、私も同感」

「……それもそうだな。ま、ミズキの森林辺りで混んでない場所を探しながら聞くぜ」

「まぁ聞きたいのは急ぎでもないから、それでいいか」


 どっちにしても俺が聞きたい内容は、あくまで確認に過ぎないしね。スクショのコンテストの結果を確認した後は、磯場に向けても移動していかなきゃいけない。

 聞いた結果によっては、開催されるのを待つか、開催してもらえるように働きかけるか、その辺の行動も変わってくる。……食いつきそうな気はするし、思いついてる人もいる気はするけどね、これ。


「おし、小型化解除! みんな乗った状態で森林深部に戻って、その後にミズキの森林に移動するぞ。そこで適度に空いてる場所でスクショのコンテストの確認だ」

「その時についでにヤナギさんを探すのさー!」

「「「おー!」」」


 という事で、元のサイズに戻ったアルのクジラの背に乗って帰還の実を使用! ふー、グラナータ灼熱洞でのLv上げは3rdを育成する時まで、もう無いかもなー。

 次に今のキャラでここに来る時があるとしたら、フェニックスを討伐する時な気がする。……まぁいつになるか分からんけど。


<『グラナータ灼熱洞』から『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』に移動しました>

<『特性の実:マグマ適応』は使用不可になり、廃棄されました>


 そして、戻ってきました、森林深部! 今のグラナータ灼熱洞は場所の交代をするほどの混雑ではなくなってるという事で、普通にそのまま戻ってきた。


 それにしても今のここは、昼に見た時よりも遥かに人が多い! 普段混雑して時くらいは混雑してる! うん、これでこそ群集拠点種って感じがするよ。


「2ndや3rdのパワーレベリングPT募集中だー! 育成係は交代制だから、そこは要注意だ! 寄生は許さん!」

「18時から灰のサファリ同盟の本部で成熟体に関連した情報の説明会を行います! まとまった情報や注意点が知りたいって方はどうぞー!」

「フィールドボスの連戦、Lv26前後! 交代要員、5人募集だ!」

「あ、灰のサファリ同盟で説明会してくれるのか」

「説明会があるなら、そっちで聞こうっと」

「そのフィールドボスの連戦、PTでの参加はいけるか?」

「5人までならいけるぞ。って、4人PTなら、問題ないな」

「おし、それじゃ頼む!」

「あ、それ、私も混ぜてー!」

「どっか、パワーレベリングしてくれるとこねぇ!?」

「さっき、募集があったぞ」

「お、マジか! 探してくる、サンキュー!」


 他にも色々な募集の呼びかけや、それへと参加している人達がいる。はぁー、2ndや3rd用のパワーレベリングのPTとか、そんなのが出来てるんだな。


「わっはっはっは! これが成熟体の火龍だ! いくぜ、『フレイムランス』!」


 そして、少し離れた空中で飛んでいて一際目立っている大きな赤い西洋系のドラゴンの人が、空を見上げた状態で口元に火の球を溜めて……そこから炎の槍を生み出し、上空へと飛ばしていった。それと同時に周囲から歓声が上がっている。


「あれ、紅焔さんか。目立ってるなー!」

「今日もやってるのか、紅焔さん」

「……今日も?」

「俺も含めて成熟体への進化は控えてる奴が多いけど、進化したくない訳じゃねぇんだよ。だから、進化後の姿やスキルってのは気になって、あんな感じに見せてくれって頼まれてたりしてな? レナさんやベスタ辺りは拒否する事も多いんだが、紅焔さんはノリノリで引き受けてるぜ」

「あー、なるほど」


 そりゃあの火のドラゴンの拘りを持ってた紅焔さんだし、今の様子を見た限りではそれこそ目指していた所に辿り着いたと言える姿にはなってるもんな。

 サイズ的にはアルのクジラに匹敵するくらい? いや、クジラよりちょい小さいくらいだな。次の完全体への進化ではもっと大きくはなるだろうけど、それでも火のドラゴンと胸を張って言える姿にはなっている。てか、普通にカッコいいし。


「私の竜も、普通に進化させたらあの位のサイズにはなるのかな?」

「……どうなんだろ? でも、大型化させた時くらいにはなりそうだよね」

「最低でもそれくらいにはなりそうな気はするのです!」

「とりあえずクマよりは大きくなりそうだよな」

「……それだと動きにくそうではあるな」

「あはは、確かにそれはそうかな。まぁそれは進化してからのお楽しみだね」

「それもそうだな。さてと、それじゃミズキの森林まで転移していくぞ」

「「「「おー!」」」」


 色々と気になるエンの周囲ではあるけど、思いっきり混雑してたしね。スクショのコンテストの結果発表はこのメンバーだけで確認したいって、戦闘と戦闘の間の休憩中に話になったんだよな。


 発表されてすぐに確認しなきゃいけない訳じゃないけど、ハーレさんが特に確認したがっていたからね。それになんだかんだで俺ら全員が何らかのスクショで事前審査を通っているから、みんなも気になっていたのもある。

 とはいえ、いくらなんでも全部が全部通るとは思えないって事で、一喜一憂する様子は他の人達には見られたくないという結論になった。ただ、戦闘の可能性がある場所じゃ落ち着かないからミズキの森林への移動って事になったけどね。


 さてと、今ちょうど17時になったところ。スクショのコンテストの結果発表の確認にはそれほど時間はかからないだろうけど、結果発表を見るのは緊張してきた。

 とはいえ見ない訳にもいかないし、そこは覚悟を決めていこう! ついでに、どっか落ち着ける場所を探す際にヤナギさんを見つけられたらいいんだけど、この辺は運次第だからなー。ま、とりあえずミズキの森林まで転移開始だね!




【ステータス】


 名前:ケイ

 種族:同調強魔ゴケ

 所属:灰の群集


 レベル 27 → 28

 進化階位:未成体・同調強魔種

 属性:水、土

 特性:複合適応、同調、魔力強化


 群体数 563/7950 → 563/8100

 魔力値 0/228 → 0/230

 行動値 61/84 → 61/85


 攻撃 86 → 87

 防御 147 → 150

 俊敏 107 → 109

 知識 224 → 229

 器用 251 → 257

 魔力 331 → 339



 名前:ケイ2nd

 種族:同調打撃ロブスター

 所属:灰の群集


 レベル 27 → 28

 進化階位:未成体・同調打撃種

 属性:なし

 特性:打撃、斬撃、堅牢、同調


 HP 8743/9450 → 8743/9650

 魔力値 107/107 → 107/108

 行動値 74/74 → 74/75


 攻撃 330 → 338

 防御 300 → 307

 俊敏 250 → 256

 知識 81 → 82

 器用 102 → 104

 魔力 53 → 54

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