第553話 スクショの撮影へ
予定と少し変わったけども、とりあえず無事にフィールドボス撃破は完了っと。今の段階でサヤの爪刃双閃舞やハーレさんの爆散投擲などのLv3の応用スキルは相当強力なのがよく分かった。スキル強化の種を使う対象としてはかなり良かったのかもね。
それにしてもフィールドボスでも同じLvくらいならそれほど苦戦はしないね。でもまぁ結構な大技連発しまくってるし、あれで仕留めきれない相手となれば苦戦もしそうではあるけども……。改めて考えると昨日のワニはハメ殺し出来てなきゃ危険だったのかもしれないね。
「サヤ、ナイス!」
「ナイスだよ、サヤ!」
「ヨッシもハーレもナイスかな!」
そして女性陣は無事に勝利した事を健闘し合っている。仲良き事はいい事だ。それに意外と早く片付いたので、まだ待ち合わせまで15分はある。あ、そういえば肝心な事を確認しとかないと。
「アル、『風属性強化Ⅰ』は取れたか?」
「おう、問題なく取れたぞ。ヨッシさんとハーレさんも『簡略指示』は取れてるよな?」
「もちろんですさー!」
「取れたのはフィールドボス戦の前だったけどね」
「まぁ、その辺は気にしないって事で! とにかく目標達成だな」
元々のフィールドボスを誕生させる最大の目的がそれらだったんだから、無事に取れてくれないと困るもんな。まぁちょっと予定は狂ったけど、許容範囲というかむしろお得だったか。
さてとこれでとりあえず目標は達成。9時からはレナさん達と色々と演出を施したスクショの撮影だし、トラブルもなく進んで良かったよ。
「それじゃちょっと早いけど、草原エリアまで行きますか」
「それが良さそうかな。直接草原エリアへの帰還の実を使って戻る?」
「あー、悪い。地味に俺、あそこの帰還の実を持ってねぇから森林深部を経由で良いか?」
「あ、アルが持ってないなら仕方ないかな」
「そだねー! それじゃ森林深部に戻ってから草原エリアに出発だー!」
「うん、賛成」
「俺もそれで賛成っと」
「悪いな。地味に貰い忘れててな」
「間抜けだなー、アルは! 俺だってしっかりと――」
……あれ? 俺って草原エリアへの帰還の実って持ってたっけ? フィールドボスの検証実験の時に行った時以外に草原エリアに行った覚えはないような気が……。あの時は風雷コンビに遭遇して、帰還の実を貰い忘れた気がする!? インベントリの中身を慌てて確認したけど、やっぱりない!?
「ケイ、しっかりとなんだって……?」
「あー、いやー、何でもない……ぞ?」
「……よし、誤魔化そうとするケイに良い事を教えてやろう。思いっきり声に出てたからな?」
「自分の事を棚上げして、すみませんでしたー!」
いつもの癖で声に出ていた以上は、誤魔化そうとするだけ無駄だったようである。くっ、迂闊な発言が盛大なブーメランになって返ってきた……。
「あはは、まぁそういう事もあるよ」
「そうともさー! ところで転移の種の場所の更新はどうするのー?」
「あー、それはどうするか……」
転移の種の今の登録場所はここの平原の川の横だけど、今の場所はそこから少し南東に行った林の手前の平地である。昨日行ったとこより少し先に進んではいるけど、成長体を探しながら割とゆっくり移動していたからそれほど距離は遠くはない。
「そうだな、思ったほど離れてもないし更新しなくても良いだろ」
「もっと距離が離れてたら更新したほうが良いと思うけど、この距離ならそれでいいよね」
「ま、ぶっちゃけ川も普通に見えてるもんな」
「それもそうでした! まぁ、一応言ってみただけです!」
「確かに確認は大事かな?」
「とりあえずそういう事で、一旦森林深部に戻ってから草原エリアに転移だな」
「「「「おー!」」」」
まずは森林深部に行って、その後に草原エリアへと転移……今度は両方で帰還の実をちゃんともらっておかないとね。ま、とりあえず戻りますか。
「とりあえずみんな、俺に乗ってくか?」
「あ、それもそうだな」
「賛成です!」
「そうだね、そうしよっか」
「移動はアルにお任せかな」
という事でみんなはアルのクジラの上に乗っていく事になった。その方が逸れなくていいしね。さて、それならもう飛行鎧は必要ないな。
<『移動操作制御Ⅰ』の発動を解除したため、行動値上限が元に戻ります> 行動値 66/66 → 66/72(上限値使用:1)
これで飛行鎧は解除完了っと。まだ他の群集に見せたい手段ではないから、初期エリアに戻る前に解除しておいた方が良いだろう。青の群集ではジェイさんが似たような使い方をしていたけども、赤の群集はどうかは分からないしね。
そういう意味ではまだ隠しておきたい手段ではある。……既に赤の群集でも誰かやってそうな気がするけど。
とにかく水のカーペットも飛行鎧も必要になった時に再発動すれば良い。よし、移動準備はこれで完了だから、転移していこうっと。
<『名も無き平原』から『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』に移動しました>
さて、森林深部のエンの所にやってきた。忘れないうちに新しい帰還の実を貰っておかないとね。まぁここはただの経由地点なので、次の転移先を選択してっと。
改めて言わなくてもみんな分かっているのでサクッと済ませよう。ちょっと混雑気味みたいだしね。
<『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』から『始まりの草原・灰の群集エリア3』に移動しました>
これで集合場所である草原エリアへと辿り着いた。こっちでも忘れないように帰還の実を貰っておこう。……よし、草原エリアの帰還の実をゲット。
最低限すべき事を終えたので周囲を見回してみると結構な人が集まってるね。うーん、森林深部では見かける事のあまりないライオン、ヒョウ、キリン、ゾウ、ウマ、ハリネズミ、コアラなど、色々な種族がいるなー。
基本的にそれほど高くはない草花に覆われていて、不動種っぽい木の人と、一般生物っぽい木が点在してるくらいか。ま、これは前にチラッとだけ来た時と大差はないな。
「奇抜なのじゃなくて、リアルにありそうなスクショを撮るけど、参加したいやついるかー?」
「リアルにありそうなのって、どんな?」
「肉食系が草食系を狩る感じのやつ」
「あー、確かにそりゃリアルにありそうだ」
「それならまだ幼生体のヒョウで一般生物を狙うのもあり?」
「ありじゃね?」
「おーい、この後すぐに草原エリアで色々演出を加えたスクショを撮るらしいぜ! 見物可だとよ」
「え、ほんと!?」
「おう、マジだ、マジ! 風雷コンビも参加するんだとよ」
「え、あの2人ってこういうの興味ないと思ってた」
「いやいや、レナさんと『ビックリ情報箱』の共同撮影って話だぜ?」
「……あれ? 『ビックリ情報箱』ってさっき転移して来てなかった?」
「あー、待ち合わせか?」
「詰め寄って迷惑かけんなよー! レナさんを敵に回すと怖いぞ?」
「おぉ、そりゃおっかない」
なんだか色々と聞こえて来るし、少し注目を浴びてる気もする……。でもレナさんの名前が抑止力になってるっぽいね。……まぁあのレナさんの顔の広さに対して、悪印象を持たれるというのは相当危険な行為ではあるもんな。
「……とりあえず、さっさと移動するか?」
「そうだな。つっても、どこに行けば良いんだ?」
「草原エリアとは聞いていたけど、その中のどことまでは聞いてないね。多分、誰かが迎えに来るとは思うんだけど……」
「あ、あれじゃないかな?」
「レナさんとダイクさんだー!」
少し離れたところから水のカーペットに乗って、俺達のとこに近付いてくるリスと大根の姿があった。まぁこれは間違いなくレナさんとダイクさんだな。
そうして少し待てば、アルの横まで飛んできた。この感じだと迎えに来てくれた感じかな?
「おっす、レナさん、ダイクさん」
「ケイさん、こんばんはー! みんなもねー! とりあえず迎えに来たねー!」
「今日はよろしくな。他の人は少し離れたとこで集まってるから、着いてきてくれるか?」
「あぁ、分かった」
「んじゃ、行くぜ!」
「おう!」
そうしてダイクさんと隣り合った状態でアルが空中を泳いでいく。地面の方を見てみれば、見物をするつもりの人達が着いてきている。まぁ邪魔をしてくるような事もないだろうし、気にする必要はないかな。
「あ、そうだ! ヨッシ、サヤ、『異常回復Ⅰ』はいつ取るー!?」
「……流石にこれからは無理かな?」
「やるならスクショを撮り終えてから……?」
「あ、それもそうだよねー! レナさん、どのくらい時間かかりますか!?」
「んー、どうだろね? 色んなスキルのタイミングが早い段階でピッタリ合えばすぐにでも終わるし、そうでなければ何回か撮り直す事になるからねー」
「あぅ……、言われてみればそうだった」
ま、確かに色んな人が同時にやる訳だから、うまく演出を重ねられるかが重要になってくる。所要時間が正確に把握できないというのもある意味当然ではあるか。
「あ、そうそう。アルさん以外で電気魔法を持ってる人って何人いる?」
「俺はロブスターで持ってるな」
「私も持ってるかな」
「私もだね。何かする事があったりするの?」
「うん、ちょっとね。この際だから電気魔法持ちで電気の球を浮かせまくろうかと思ってさ。操作が得意な人は小規模な感じで放電演出もね?」
「あー、なるほどね。雷の演出に加えて、そういう演出も入れるのか」
「あ、でもケイさんはサンダークラウドの発動で水の昇華を使ってもらうからねー?」
「俺の出番はそこか」
ちょうど今は曇りのようだし、とことん纏瘴の桜花さんとアルの禍々しい対決の演出をしていく訳か。アルは主役だし、サヤもヨッシさんも電気魔法と電気の操作は使用出来る。俺も誰か電気の昇華持ちの人……多分レナさんが声をかけるって言ってた人だろうね。その人と昇華魔法なんだな。
あれ? でも、ハーレさんのする事がないような気が……?
「はい! 私のする事がありません!」
「あ、大丈夫、大丈夫。ハーレには任せたい事があるんだよね」
「あ、出番あったー! それで何をすればいいですか!?」
「えっと、わたしが側面からのスクショを撮るんだけど、ハーレは上空からスクショを撮ってくれない? 雷雲の中に突っ込む可能性もあるんだけど、ダメージはないからさ」
「ダメージが無いならそれでも問題なしです! でも、出来るだけ突っ込まない様に気をつけます!」
「お、ありがとねー。ちなみに落雷については風雷コンビが昇華魔法のサンダーボルトでやるからねー!」
「おー!? 落雷もあるんだー!?」
「あはは、風雷コンビが半ば強引に参加してきた事で出来るようになったんだよねー」
どうやらハーレさんには俺らの演出以上に重要な役割があったようである。ふむふむ、別方向からのスクショっていうのもありなんだな。それにしても2種類の昇華魔法を使うって豪快な事になりそうだ。
「なぁ、レナさん。団体部門って、参加者の登録ってどうなってんの?」
「えっとね、それはエントリーに出すときに代表者の管理画面から関わったプレイヤーの一覧が表示されるんだよー。自動判定だから抜けがある時もあるんだけど、そこは手動で追加だねー。今回の場合はハーレを追加登録しておく必要があるかなー?」
「おー、そうなんだー!? それなら私もレナさんを登録しておいた方が良いんだね!?」
「うん、そうなるねー。構図が全く違うなら同じシーンでも問題はないっていったんに確認は取ってるし、そういう場合には構図違いのスクショを撮った人を協力者に入れても良いとは言ってたよー」
ほうほう、撮る方向の違う構図違いなら何度か同じ演出を繰り返すか、撮影を複数人でやるしかないもんな。団体部門も色々と楽しめるようになっているんだね。ふむふむ、違った角度から見る同じシーンというのも確かに興味はある。
「へぇ、そういう仕様になってんのか。って事は、全員で撮って全員が代表者として別々にエントリーするのもありか?」
「あ、アルさん、それは駄目だって。こういう場合は際限がなくなるから、大丈夫な判定は3〜4人くらいまでだってさー。具体的にどういう扱いになるかは教えてくれなかったけどね」
「……流石にそう甘くはないか」
「ま、そうだよなー。……具体的に教えてくれなかったって事だけど、事前審査で問答無用で落選とかありそうな気がする」
「あ、確かにそれはありそうかな!」
「ありそうな可能性だよね」
「折角撮ったのがそんな理由で落選は嫌ー!?」
問答無用の落選については俺の単なる推測ではあるけども、実際にあり得そうではあるんだよな。そういうズルに近い行為を簡単に見逃してくれる運営だとも思えないしね。
それにいったんの胴体部分の文字で既に大量のスクショで大変みたいな内容はあったもんな。数を減らす為にそういうのは一律排除という可能性は高い気がする。
「あ、そういやレナさん、風雷コンビも来るって言ってたな。……それと前に言ってた電気の昇華持ちで声をかけるって言ってた人は?」
「その人ならもう待ってるから、集合場所に着いたら紹介するよー!」
「って言ってるところで悪いんだが、もう到着するぞ」
「お、マジで!」
「あー、あの桜……というか桜花さんが集合場所か」
ダイクさんが目的地に近いと伝えてくれたので、アルの頭の上から地面の方を覗いてみた。そこには数は多くはないけども所々に木が生えていて、一面に広がる草原が広がっている。
その中に一際目立つ大きな桜の木の桜花さんと、ライオンの迅雷さんと、ヒョウの疾風さん、そしてキジっぽい鳥の人……いや、キジか? それにしてはどうも尾羽が長い気がする。まぁとにかくそんな人達が揃っていた。
その周囲を取り囲む様にギャラリーらしき人達も結構集まっている。……ギャラリーの方は一定の距離は保っているようなので、あのキジっぽい人がレナさんの言ってた電気の昇華持ちの人か。確かに風雷コンビと同じように黄色っぽくて、表面に薄っすらと電気が走ってるもんな。
「みんな、お待たせー!」
そんなレナさんの声を聞いて、集まっている人達が俺らの方を向いてきた。さて、予定通りにスクショの撮影を開始だ!
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