第350話そして、寝る

 わたしは寒がりだ。


 だから外に出るのがつらい。


 こたつの中で蛹みたいに固まって、このまま冬を過ごしたい。


 ぶるぶる。


 あー寒い。


 こたつ神。


 もうぜったい出ないし。


《ピンポーン》


 玄関でチャイムが鳴った。


 誰だよこんなときに。


 宅配サービス? 訪問販売?


 いいや、寒いから無視しよう。


 ……でも、学校の友達だったらどうしよう?


 仕方ない、蛹みたいなわたしでも幼虫みたいに這うことはできる。


「どちらさま~?」


 玄関の扉を開けると、となりのクラスのあなたが立っていた。


「これからみんなで遊びに行くけど、一緒にどう?」


 と言われた。


 わたしは「また今度」と言って静かに扉を閉める。


 再びこたつに潜り込むと、顔だけ出して外の庭木を眺めた。


 わたしが蝶になる日は遠い。


 でも、こたつは神だから、夢の中で羽を広げるよ。

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