第317話だって寒いんだし

 冬のコンビニで飲み物を買う。


 部活が終わった帰り道のことだった。


 僕はスポーツバッグを手に、木枯らしの吹く自動ドアをくぐる。


 店内はあったかい。


 ジュースを買う予定だったけど、ホットの紅茶にした。


 だって外は寒いんだし。


 少しお腹も空いた。


 なにか食べる物もほしい。


 おにぎりを買う予定だったけど、あったかい肉まんにした。


 だって外は寒いんだし。


 となりのレジを見ると君がいた。


 なにやらサイフを探している。


 きっと学校に忘れたのだろう。


 見ぬふりをして帰る予定だったけど、お金を貸してあげた。


 君はお礼を言って、僕のスポーツバッグを持ってくれる。


 ついでに自分の首に巻いている長いマフラーの片方を、僕の首に巻き付けた。


 なにしてるの?


 と尋ねたら。


 からだを揺らしながら、はにかんで言う。


 だって外は寒いんだし。

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