第109話 友誼はあれども、国益に配慮するのは当然
「む~、ちっとも分かってないなぁ、毎度のことだけど! 王都に帰ったら、イザナ様に… ううん、サリエルさんに報告だね」
「ッ、何やら聞き捨てならない
好き好んで隻眼の魔術師を怒らせ、城内の
動揺する俺を
「変に誤解されたら面倒だしさ、私も付き添ってあげるよ♪」
「… という事だが、構わないか?」
「ふふっ、条件付きの了承と伝えましょう。差し当たって問題があるようなら、また
樹々の合間に少女の黒髪が消えていくのを十数秒ほど
そのまま後追いしてきた赤毛の魔導士と歩幅を
ざっと内部を一瞥して、端側に寄せられていた衣類入り
「私の太腿、柔らかいよ」
「少なくても半刻は眠るつもりだか、良いのか?」
「うっ… だ、大丈夫、疲れたら
「あぁ、余り無理はしないでくれ」
ごろりと寝返りして、敷物の上に愛用のクッションも挟んで座るレヴィアの
(
などと
なお、取り敢えず果汁被害は受けなかったものの…… 夕食時に姿が見えなかったので、
そんな一幕もありながら降って湧いた機会を活かすべく、既に定めた方針の開示を主副団長の二人とも相談した上で、護衛役を引き連れて隣接するゼファルス領軍の陣地へ
騎士国の遠征隊よりも大所帯な野営地に足を踏み入れて早々、待機していた馴染みの騎士長アインストに案内されたのは自陣との境界に近しい天幕で、掛け布を捲って入れば簡易のテーブルや椅子が用意されており、卓上には
「いらっしゃい、二人とも」
「誘われた手前、遠慮なくお邪魔させて貰おう」
「私もご一緒させて頂きますね、ニーナ様」
「えぇ、
先に少々飲んでいた領主令嬢は
やや緊張気味なレヴィアも自国で一人前とされる十五歳の年齢は越えているため、続けてラズベリーを原材料にした果実酒など差し出される。
軽く掲げる形式の乾杯に応じて琥珀色の液体を喉へ流し込めば、女狐扱いされている御令嬢が酔っ払う前にと前置きして、僅かに勘ぐるような視線を投げてきた。
「廻りくどいのは嫌いだから、単刀直入に聞くわ。皇統派の要求は何?」
「唐突だな、どうしてその発想に至ったんだ」
「小都市近郊の戦闘から少し後、皇統派の一団がリグシアの中核都市を経由して、ゼファルス方面に向かったと密偵が報告してきたのに… 誰も来ないじゃない」
膨れっ面で香草酒を
諸々の事情などフィーネから聞かされている
「アルダベルト元老院議長か、また面倒な御仁を……」
「振り上げた拳の降ろし
「もうハイゼル卿に
物憂げなニーナには悪いが、泥沼のような展開に巻き込まれた挙句、追従して来てくれた兵達の
手を貸すのは
その考えが表情に出ていたのか、ドレスの胸元を強調しつつ妖艶な眼差しで見詰めてきた女狐殿が問い
「クロード殿は何処まで、私に付き合ってくれるの?」
「はい、そこまでッ、色仕掛けダメ絶対!!」
真面目な
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