第97話 決着、小都市ベグニッツ近郊の戦い
『傍観するしか無いのが口惜しい、せめて一太刀と思わなくもない』
『もうベルちゃんが限界だからね。勝手に
若干、引き気味なレヴィアの指摘に騎体へ意識を移すとフィードバックにより、凝固状態にある魔力液の
言われてみれば微細な速度であっても回復現象だと認識できるあたり、双子
『古代エルフ族が編み出した制御技術は凄いな』
『ん~、
その動作を受けて
『陛下、私はまだ一度も搭載魔法 “ストーンヘンジ” を使っておりませんので、仮にさっきの騎体が補給を受けて有視界戦闘の圏内に戻ってきても、皆が
『リゼルの団長騎が
『ははッ、適材適所ってことだな』
まさに常在戦場を体現しているのか、普段と変わらず
レインとザックスが駆る近接戦闘に特化したスヴェルF型の二騎を露払いにして、
衝撃を
『やるなッ、だが!!』
まともに喰らえば最愛の妹魔導士を道連れに即死、長剣で受ければ圧し折れる一撃も初動から先読みしていたのか、銀髪碧眼の騎士は悠々とベガルタを後方へ跳躍させて躱した。
『ッ、噂通りの
『… 貴方も
もし、人違いなら恥ずかしいなと逡巡して掛けた言葉に応じるかの
『兄様ッ!!』
短い会話で意識を
その切っ先は直線的な緩い弧を描く手投げ榴弾の片方に
『ッ、これも
他兵科への使用を前提にして、“如何に効率よく殺傷するか” という概念に基づいた武器ならば直撃しない限り、
細めた瞳で両手持ちした得物を振り上げる新型騎など捉え、
『騎体で
『戦争に綺麗事なんて若いわね、御嬢さん』
背筋を寒からしめたエレイアに対して、リグシアの魔導士フィアナが
その直後に力を緩め、刹那の早業で左脇の外へ受け流して、無防備になった新型騎の腹部へ右手の長剣を一閃させて切り裂いた。
『がはッ、済まな…い…フィア……』
『しょう、が……ないわ、ね』
打突の間際に回避を
何か思うところがあったのか、勝利した側の妹魔導士がぼそりと呟く。
『… 万一があっても、私には謝らないでくださいね』
『あぁ、代わりに感謝でもするよ』
果たして落命の最中に可能なのかは棚上げしておき、
主副の指揮官を討ち取られ、数でも劣勢となっていたリグシア領軍の残党は攻撃の手を徐々に止めていき、ゼファルス領軍の騎士達も意図を
先程までの喧噪は何処へやら、双方ともに決定権を持つ者が撃破されているため、微妙な沈黙が一分以上も続いてしまう。
もはや敵味方関係なく、自然と各騎の視線はこの場で一番偉いと思われる騎士王の乗騎ベルフェゴールに集中していった。
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