漸(ヤヤ

二匹の它が膿んだ海殻 まなこだけの記憶を辿る。確かに綱枯れて堕ちた陽に 楔と討たれ この空の底に 埋もれてしまった。朝焼けに凪いだ川面の亡骸と 戦場の描かれた薄紅の口吸いと いったらそりゃあ、もう 唯の死に水 垂らしただけ。誑かしとも化かしとも あほうあほうと 嘲笑う 玄の烏に啄まれる。

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