第55話底のないカーブミラーに映る

底のないカーブミラー

映る梅雨の世界は

何処迄行っても晴れている

闇雲に霞む運転手は君で

僕は身を寄せたままだ

何の役にも立てず蝶も花も

肥大した永遠の緋が

あの陽を循環する臓腑を

梳かすような甘い綿雲に乗り

混濁した青い接吻を苦し紛れと、

血も肉も抱き絞めた種子よ

臨床にいっそ沈んで咲け。

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