あの日のように☆

遠野 彬

第1話 水面に写る彼女

さきほどから…彼女の膝小僧が眩しくてしょうがない。


♡ ♡ ♡


普通カップルで池のボートに乗ったら、

漕ぐのは男と決まっているだろう…☆



しかし、今日の彼女ときたら…

「私にボート漕がせてね☆」

と言われたので、

【まあ…良いか。】

と思って彼女に漕いでもらっているわけ…。



まあ…

男が必ず漕がないとイケナイという訳じゃ無いだろうから…

良いんだけどね…。



さっきから、他のボートのカップルから

やたら指を指されているようだ。


「莉央(りお)ちゃん…そろそろボート漕ぐの代わろうか?」 

俺はそう言ったのだが…


彼女ときたらマジで隣のボートに競争心を抱いてしまったみたいで…。 


やたらムキになってボートを漕いでいる。 

身体をのけ反らしてダッシュを掛けているし…。 

もはや…俺の声は届いていないのだ。



彼女は

「私の足を掴んでいて!そのほうが力が入るの!」と言った。


俺は彼女の言う通りにした。


……………………………………………………………………


そういえば…3年前に以前付き合っていた彼女との事を思い出した。


その頃は二人とも16才で恋に恋しているような

ウブでロマンチックな二人だった。


ある日のデートで、

不意に顔と顔が近づいた。


当然二人はキスを予感したのだと思う。


「◯◯ちゃん…好きだ☆」

そう言って唇を近づけたが、

彼女はイヤイヤをした。


まだ気持ちの整理が付いていないのだと思った。


その頃 彼女には他に好きな男子が居たみたいだ。


………………………………………………………………………


ガタン!

そう、音がして何かが壊れた。


余りに力一杯オールを漕いだので、

オールを固定してある金具が破損してしまったようだ。


俺は、とっさに「大丈夫!直ぐ直るさ。」

と言って器用にオールを固定してある金具を

元通りに直した。


「ただ完全じゃ無いから漕ぐのにコツがいるんだ。」

そう言ってオールを漕ぐ権限を勝ち取った。


彼女は

「あ~あ☆つまんない!」

と言ってボートに寝転がった。


丁度、他のボートからは高い草で見えない繁みの場所で…

イケナイ彼女は僕にスカートを捲って見せて挑発している。


据え膳食わぬは男の恥…

とは誰が言ったか知らないが、

こういう時に使うのだろうと思った。


俺は彼女を抱き寄せると唇を重ねた。


それだけじゃあ、彼女は満足しないと思って、

服の上から彼女の身体を揉んでみる。


いろいろ試した結果…幾つかのスイートスポットを探し当てた。


少し夢中になっていたから…

ボートが少し流されて…

目隠しになっていた繁みから出てしまった…。


彼女は何事も無かったように…

身仕度を整えてオールを漕ぎ出した。


こういう時には何もする事が無いことは不幸に思えた。 

他のボートから注目されている事が分かったから…。


ボートを降りる時にボートを管理する おじさんに

「ボートはマナーとエチケットを守って乗ってくれよ…。」

と意味深な言葉を掛けられた。

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