第17章「罪の罰」その13


もしかして、西山は僕のことが好きなんじゃないか、そう思う。


いやうぬぼれだとはわかっている。


でもこれだけの言葉を聞いたら、やっぱり期待してしまう。


スクールカーストの頂点、誰もが認める一軍の美少女に好きになられたら、


僕の命にも何かの意味があったんじゃないかと思える。



誰かに求められるために生きているわけじゃない。


僕はこれから、レールを作っていかなくてはいけない。


僕が歩んでいくレールを、魂が求める方向へ。


それから、しばらくして僕と西山は部室棟についた。


初めはどこの部屋か迷ったけど、東海あずみの声が聞こえたので、その扉の前まで歩いた。


扉を開くと、平木と東海が会話を止めて、こちらを凝視ぎょうしした。


「どうも、えっとそちらの方は?」


僕が来ることはあまり驚いていないようで、東海は西山の方をいぶかしげにじっと見ている。


「三組の学級委員の西山だ」


「一年五組、東の海に子の月、東海あずみ 子月ねづきなのです」


東海は歓迎ムードだったが、西山はあまりいい顔をしていない。


しかし、西山の倍以上の殺気がこもった顔をした人がいた。


「なぜ羽塚くんが西山さんを連れているの?」


説明しようと言葉を探しても、にらまれるとつい目をそらしてしまう。


そこまで怒ることなのか、そちらの方が気になった。


「おっ、修羅場なのですか?」





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