第16章「作られた囲い」その1




「私が推測するに盗まれたものは全てしりとりのような関係になっている気がするのです」


東海あずみは不気味な笑みを浮かべながら、メモを渡してきた。


「どういうこと?」


「五組は『悪魔』のカード、六組は枕、一組はライトノベル、四組はルアー、七組は『赤』のボールペン、二組はカッパ、そして美術部はパレット、ほらすごいでしょ!」


何だかずいぶん強引な気がしてならないが。


「ちょっと待ってくれよ。三組が入っていないじゃないか」


「三組はものすごい長蛇の列だったので無理だったんですよ」


うちのクラスのたこ焼きはそんなに売れているのか。


そういえば、出し物の売り上げはどうなるんだろうなぁ。


「まあ、仮にしりとり的な関係にあったとして、それは犯人につながるヒントになるのか?」


「えっと…、犯人がしりとり好きなのかもしれませんね」


ダメだ、こいつ。あんなカッコいいこと言っておいて。


行動力は認めるが、推理の方はダメだな。


問い詰めると、東海はぶう垂れて机を下に頭を伏せた。


まあこんな情報だけで犯人なんて分からないよな。


ボーっとメモを見ていると、何かが引っかかった。


「でも何で五組はお化け屋敷の方じゃなくて、君たちの占いの方を盗まれたんだろうなぁ」


「え?」


「だっておかしいと思わないか?普通なら公式に発表された「お化け屋敷」の方から盗むだろ?


実質、占いをするって知ってたのは、おそらく五組の連中と六組の委員長くらいだろ」


「つまり、犯人はその中にいる可能性が高いと?」


「いや、もっとしぼれると思うぞ。自分のクラスなら簡単に盗めるから候補に入れなかったか、


盗んだ後にその場所に滞在していなきゃならないとすれば、犯人は罪悪感を抱いたまま文化祭を過ごすことになる。


だから自分のクラスの出し物を盗むのを無意識に嫌ったんじゃないか?」


「つまり、犯人は五組の誰かということですね!?」


「いや、まあおそらくだけど」




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