第9章「集わぬ参加者」その14
水曜日、新田の言う完成期限までは今日を含めて残り三日になったが、
放課後の教室には、全体の半数程度しかいないようだった。
一昨日から比べると、みんなの動きにキレというか、やる気が感じられない。
作業的にはまだ半分程度といったところで、この調子で人数が減っていき、
作業スピードも下がれば、おそらく金曜日までには終わらないだろうな。
「いい加減にしてよ!」
荻島が、昨日以上の怒号で、遊んでいる男子たちを注意した。
なぜ二軍の長である荻島がここまで権威を笠に着ているのは、
新田や西山は当然のこと、その他の一軍連中は、部活やら用事で帰ったので、
荻島をなだめられる者はここには存在しないようだ。
注意された男子たちも昨日は納得していたようだが、
今日は口では謝っていたが、真剣に作業に加わる気はないように見えた。
下げた机や椅子が今にも崩れるんじゃないか、そう思うほど、
教室の空気はピリピリしていた。
全体の半数程度しかいないクラスメイトが、さらに半数に二分化されたようだった。
結局、このクラスは西山や新田にしかついていく意志がない。
カリスマ性の意味はわからないが、僕も今の荻原の味方したいとは思えない。
別に間違ったことを言っているわけではない、むしろ正しいことだ。
それでも、僕らはこの体育祭の準備はボランティアでやっているわけで、
他クラスは何も手伝わず、自由に帰ることができている。
つまり、僕らが放課後残っているのは、善意であり、仕方がなくなのだ。
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