防人娘の見る夢は〜戦後編〜
侑李
バカ騒ぎ
1946年 正月 東京
前アメリカ合衆国大統領エリザベス・ジョンストンこと井浦 沙羅は、帝国政府より便宜を図ってもらい購入した東京の新居で、懇意の憲兵井浦博文や彼と同じく事情を知る重光外相を呼んで、飲めや食えやで正月気分に浸りきっていた。
「ほらほら博さんもっと飲んで飲んで!」
「沙羅さん、アルハラですよ」
「にゃにをぅ!わたしのしゃけがのめにぇえってーのk・・・・・・」ポスッ
千鳥足で転びかける沙羅の体を重光が受け止める。
「井浦さん、あんた飲みすぎだって。それと井浦伍長、あるはらってなんだ?」
「未来の言葉で飲めない者に酒を強要したりする事だそうです。沙羅さんに教わりました」
「ほう、また前世とやらか。てか伍長はなんで名前で呼んでるんだ?」
「沙羅さんとは苗字も一緒ですし、下の名前の方が呼びやすいというか・・・・・・」
「はっはっ。てっきり私は君みたいな若者がこんなおばさんに懸想しておるのかと心配したぞ」
「重光しゃん、聞こえてましゅよぉ〜」
沙羅の裏拳が重光の顔面に炸裂する。そして二人とも倒れ、博文は悪戯で二人を同じ布団に寝かせ、起きてくるのを待った。
数時間後
「あーあたまいって・・・・・・」
沙羅が目を覚ますと、隣に人影がいるのに気づく。
「えっ・・・?」
「なっ・・・?」
その隣にいた者も目を覚まし、一瞬考えて博文の元に二人が駆け寄ってくる。
「井浦伍長!貴様、ふざけるな!」
「外相、顔真っ赤ですよw」
「う、うるさい!」
「ったく、博さんどういうつもりよ!こんなじいさんと同じ布団とかもう・・・・・・」
「じいさんとはなんだ!私だってあんたみたいなババアお断りだい!」
「なにぃ?!」
「やる気か?!」
その後、博文がまた面白がって相撲を取らせ、沙羅が圧勝したところで一旦落ち着き、これからの事についてである。
「ひとまず井浦さんには、これからも日本政府のオブザーバーとして働いてもらいます。それと井浦伍長、君は陸軍憲兵隊を辞めてもらう」
「は?何故ですか?!」
「君は井浦さんの事情をよく知っておる、一兵卒としては勿体ないくらいにな。そこで、彼女の秘書官となって彼女を支えてやって欲しい。憲兵隊には陸軍省から直に話を付けてあるそうだ」
「・・・・・・・・・分かりました」
この年の松の取れる頃、博文は憲兵隊を退官。沙羅の右腕として、彼女と日本を、世界を動かす立場になるのであった。
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