聖カと幼馴染
「こんにちは。今少しいい?」
「綺麗な人……」
「うふふ。どうも。私木葉咲夜っていうの。よろしくね」
「は、はい……こちらこそ……」
よし。よし。さすがは咲夜。美人なだけあって全く相手に警戒心を抱かせていない。これをもし僕がやっていようものならば逃げられるか警察に通報されるかの二択だったであろう。
僕たちは今、聖カタリーナ女学園の校門前にいる。それは偏にこの学校の生徒から星野さんに関する情報を聞くため。星野さんは良くも悪くも目立つ。だからこそ皆知っているはずだと僕は思い、咲夜とこうして出向いて情報を集めに来たというわけだ。
「それでちょっと聞きたいことがあるんだけど今大丈夫?」
「は、はい‼ なんでもお聞きください‼」
おい。あの女。ちょっと咲夜に近すぎないか? いくら女だからって咲夜に近づくのは許さないぞ? それにあの女が百合だという可能性も……いっその事始末でもするか……?
「え、ええと星野さんって少女を知っているかしら?」
「星野……申し訳ありません。名前だけでは……」
「ええと……確か写真が……あ、あった‼ これならどう?」
「この方は……あ‼ し、知ってます‼」
「本当‼」
「はい‼ 私初等部から通っているのですがこの方も確か同じ初等部出身で、クラスも何度か同じクラスになったことがあります‼」
おい。同じクラスになったんなら忘れてやるなよ。少なくとも僕なら全員覚えているぞ。特に小学校五年生の頃にクラスにいた由利ちゃんなんて今でもよく覚えているぞ。
「私実はこの子と友達で、その悩みを抱えているみたいなの。それでその悩みを解決してあげたいんだけど中々話してくれなくて……」
「そうなのですか!? お姉……木葉さんにそこまで思われているなんて羨ましいです‼」
おい。お前絶対レズだろう。だって今お姉さまって言おうとしたもん‼ というかなんでお姉さまなんだよ‼ お前見た感じ年齢一緒だろうが‼
奴は危険だ。ここは一旦咲夜を引かせるべきか? でもここで引いたら今後情報を手に入れなくなる可能性があるし……
「……」
咲夜のあの目……何もするなというのか!? さ、咲夜……やっぱりお前は最高だよぉ……世界一いい女だよぉ……
「そ、それで知っていることを話してもらえるかな?」
「え、ええ……それは構わないのですがその……」
「どうしたの? 何か言いづらいことでもあるの?」
「ええ……実はその星野さん? でしたっけ? 彼女の事について私が知っているのは本当にわずかでして……しかも……その……」
「よくない噂しかない……と?」
「はい……なんでも星野さんと関わった男は全てま、枕を共にしている……と」
な、なんだそれ!? 嘘もいいところじゃないか‼
「ほ、他にも関わると家庭が崩壊するとか夫婦仲が悪くなるとか……そう言った噂が多く……」
「ふ~ん。おおまかにいうとこの子と関わると男女関係が崩壊するといった噂が流れているのね」
「ええ。それで間違いないかと……」
「……そっか。情報提供ありがとう」
「いえ‼ そんな事は……む、むしろ今後とも仲良くしていただけたら……」
「う~ん。いいけど……私。自身にとって都合のいいお人形さんしか欲しくないの。だからゴメンね?」
咲夜も薄々相手が自身に対してそういった類の感情を抱いているのに気が付いているのだろう。だからこそのこの言葉。普通こんな言葉を聞けば誰だってドン引きする。お嬢さま学校と名高い聖カだ。いくら相手が百合でもこの言葉を聞けば引いて……
「むしろウェルカムですわ‼ お姉さまの奴隷……バッチコイですわ‼」
「え、ええと……」
コイツまじかよ……何? 聖カってあれなの? 変な女の子しかいないの? 世間一般の噂と違い過ぎない? やはり噂は噂だな。でもこれだけは言える。
「もうやだこの学校……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます