終章 星を見る人

最終章人物紹介①

階段都市クルケアン最終章「星を見る人」登場人物


バルアダン

 若くしてクルケアンの旅団長を務めていたが、フェルネス討伐の際に天と地の境目(ドゥル・アン・キ)に落下、四百年前の世界で王となり、歴史の真実を直接に目の当たりにする。副官のサリーヌと結婚し、養子のロトと実子のアドニバルと幸せな家庭を持つ。ラシャプ、モレク、ダゴンら神と抗争の中、現世へと帰還し神との決着と魔獣化されたハドルメの人々の解放を目指す。


サリーヌ

 バルアダンの妻にして女王。命を削ってバルアダンを現世へ帰還させた後、ハドルメ、天文台、クルケアンの有志を率いてラシャプらと戦った。ラシャプによる魔獣化の呪いが世界を覆う寸前、残りわずかな命を差し出して、魔獣化する人の魂に故郷の風景を刻みつけ、救済を現世の夫へと託す。死後は月にある死者の国で幸せな夢を見ながら眠りについている。また、彼女の夢の中で魔獣となったハドルメの人々は魂を休めている。


アナト

 サリーヌの実の兄であるダレト。神官でありながら神殿の暗部を暴こうと活動していたが、バルアダンとの出会いによってすさんだ状況から這い上がっていく。死んだはずの妹と再会し、喜ぶものの、彼女を生かすために魔人アサグと相打ちになり消息を絶つ。記憶をなくしたまま、神殿に操られるようにアナトと名乗り、神獣騎士団の連隊長の一人としてバルアダンと対立する。妹と思い込んでいるニーナを副官として様々な戦役を経験するうちにバルアダンと意気投合、友人となった。四百年の世界へ赴くバルアダンに同行し、大神官として王となったバルアダンを補佐する。ダレトとしての記憶が戻り、現世を救うために先んじて帰還するが、サリーヌの死を知って憔悴していた。しかし魂だけで死の国へ向かい、妹の幸せな夢を見て、再び戦うための意志を取り戻す。


フェルネス

 四百年前に魔獣化したハドルメ人。魂を掛け合わせる魔人となることで現世に復活し、クルケアンの飛竜騎士団隊長として活動しながらハドルメを滅亡させたクルケアンへの復讐の機会を狙っていた。バルアダンの上司であったが、強くなるバルアダンに対抗し、トゥグラト率いる神殿の神獣騎士団へ加入する。バルアダンに天と地の境目(ドゥル・アン・キ)で挑むも相打ちに終わり、以後は神殿と距離を取り時勢をうかがう。親友のイグアルとタファトに諭され、また四百年前からもどってきた神官のアナトに父と母の思いを告げられ、以後は新しい時代をつくるために剣を振るうと誓う。

四百年前の名前はロト。ハドルメ最強と謳われた実父ヤバル、そして養父であるバルアダンの背中を超え、最強を目指すために訓練を続けていた。


オシール

 四百年前に魔獣化したハドルメ人。王の帰還後はハドルメの将軍として女王を支え続けた。弟のシャマールと共に女王を母のように慕っていた。四百年後に魔人となり現世に復活した後でもそのおぼろげな温かい記憶を貴重なものと思っている。ハドルメの復活のために魔獣の魂を掛け合わせてハドルメ騎士団を復活、クルケアンに挑む。多くの魔獣は魔獣石としてクルケアンの建材になっており、王の帰還後に彼らが人に戻れることを願っている。魔人となった自分達は人に戻れないことを悟っており、王と共に死の国の王妃に会いに行こうと考えている。


シャマール

 四百年前に魔獣化したハドルメ人。兄と同じく魔人となって現世に復活をした。過去に生き別れた恋人のシルリと再会し、ハドルメとクルケアンの和平を願い、兄とは別の道を選択する。



ラシャプ

 獣の時代に主神によって争いを止めるため神に引き上げられた獅子の王。戦いこそが生きがいであったが、主神の「王の祝福」により種族全体を左右する戦いができなくなる。本人はこれを神の呪いと称し不満を持っていた。主神がその魂を魔獣に分け与え人とすることで消え去り、祝福の力が弱まると、バァルやナンナといった月の広寒宮を支配する神々と抗争を開始、敗北して肉体と魂を失い地上に縫い留められる。

 その後は人の体をのっとり、クルケアンを裏から支配し続けた。世界全てを征服せんと、月にある広寒宮に戻る方法を画策し、人の魂を建材に天へ上ることのできる階段都市建設を推進していく。階段都市の発想そのものは同じく地上に降りたイルモート神が天上の想い人であるエルシード神の精神を殺し、人として共に生きていくために天の階段を作るものを継承した。やがてイルモートの転生体である神殿長トゥグラトの体をのっとり、為政者として表でもクルケアンを支配し続ける。

 四百年前にみずからの前に立ちはだかったサリーヌの姿が忘れられず、月に攻め登った後には彼女の魂を我が物にしようと考えている。人の姿の時はトゥグラトと名乗る。



モレク

 主神によって神に引き上げられた蛇の王。蛇の姿の自分を醜いものとして忌避していたが、それを戦うための余分をそぎ落とした美しいものと評してくれたラシャプを兄と慕う。

 現世において幼いサリーヌをラシャプが気にすることに嫉妬するが、兄を想うサリーヌの気持ちを自分と重ね、以後は陰ながら見守るようになる。ハドルメ、アスタルトの家ら神殿の対抗勢力を減じるため、彼らをそそのかし神殿地下の天と地の境目(ドゥル・アン・キ)から別の時代へと赴かせ配下の神獣騎士団と共に襲撃をかけるも敗退、タダイの裏切りもあり致命傷を負う。命が尽きる前に兄の戦いを見届けようと現世に帰還した。人の姿の時はアサグと名乗る。


ダゴン

 主神によって神に引き上げられた首長竜の王。四百年前にバルアダンとヤバルに敗北し、復讐を誓っている。ラシャプとモレクがバルアダンと戦っている隙に、地下に封じ込められたイルモートの肉体を我が物にすべく別行動をとる。なお、貴族の若き指導者であるザハグリムの体を憑代としている。


メルカルト

 主神によって神に引き上げられた翼なき竜の王。四百年前にハドルメの英雄ヤバルを憑代にするものの、人の力を見極めようと支配せず精神の内から見守っている。バルアダンとヤバルの戦いでは神の力を分け与えるものの敗北、しかしつづくヤバルとダゴンの戦闘で妻と子を想うヤバルが勝利したことから自らにない力を持つ人に惹かれていく。ヤバルの願いもあり、魔障により死ぬ運命の赤子のロトを憑代とし、現在は名を変えたフェルネスの精神の内から人の歴史を見続けている。人の力を理解し飛竜の王であるバァル、人であるバルアダンとの戦いに勝利することを望んでいる。

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