第50話ランクアップ(俺ではないよ)
それから一日はあっという間に過ぎていった。何もせずにダラダラと過ごすのとはまた違った速さである。
隅々まで見る訳でもないので船や停泊してる付近の巡回もさっさと終わったので、俺は案内してくれた面々に労いの言葉をかけると共に今後とも地域の安全を守るよう勤めてくれと励ましの言葉もかけた。
王や国家の為とは言わずあえて地域限定にしたのは、その辺りは守る価値が一日ごとに下落してるという俺の考えに基づいて自然と出てしまったもの。
揚げ足取り大好きな奴なら今の発言問題にするだろうな。もしくは王や貴族が何よりも上というの疑わないような思考の持ち主。
幸いにもこの場の連中は特に問題と思っていないのか連日の疲労を滲ませつつも生真面目そのものな表情で返礼してきたのだった。
海軍の者らに見送られて停留所スペースから離れようとした直後に俺と共に視察へ赴く予定だった役人らがようやく到着した。
無駄足踏ませて少し悪いなと思いつつ、俺は彼らに視察をたった今終えた事を告げてこのままヴァイゼさんの所へ行く旨も告げた。
大汗掻きながらここまで来たのにもう終わった挙句にそのまま休みなく移動ということでデスクワーク側な役人らは泣き言言いそうな顔を浮かべたが、そこは役人根性と言うべきかそれ以上の反応は見せず黙ってついてきてくれた。
気持ちは分かる。ただそこから先は座り仕事になるだろうから勘弁してもらいたい。
こうして昼になる直前に十数人に膨れ上がった節令使一行をヴァイゼさんが迎えてくれた。
あちらの漁業関係でここ数日対応に追われてただろうにそれを感じさせない立ち振る舞いを見せてくれた。
「休暇は楽しめましたかな?終わった直後でなんですが、今日の残りもある意味休暇みたいなものと思ってやってくださればよろしいですので」
そう言いつつ案内された先はブラオ邸の庭の一角にある集会場みたいな小屋。
中に入ると食べ物や酒が並べられて敷物や椅子も置かれており酒宴でも始まろうとする雰囲気である。
「男爵これは」
「これから何名かご紹介したい者らがおりましてな。皆、節令使様にお目通り願いたいと申しておりまして」
「まぁ一度に顔を会わすにはもってこいとはいえ日も高い内から酒宴とは」
「休暇だからこそ出来る大人の楽しみ!というのもありますが、真面目な面で言いますと付き合い次第ではそういう機会も割とあるものですよ」
ヴァイゼさんがそう言って何名かの名前を挙げた。全員地元で商いをする商人だったり交易に携わる者だったりする。
州都でもやってた地元有力者との会合なのだが、休暇がてらという体裁ということで酒宴の席での交流となっていた。
とは言うものの開始当初は挨拶や簡単に今後のやりとりはやらんといかんだろう。酔いの勢いでお互い後日頭悩ます事言い出すのは避けたいだろうし。
こうして招かれた俺達はこの日夜更けまで集会所に留まることとなった。
細部のやりとりは随行してきた役人らに任せるとして、今日この場において俺は盃片手に外面良くして頷くだけである。
我関せずとばかりに黙々と飲食に勤しむマシロとクロエを隣に置きつつ俺はこの港町における最後の仕事をこなしていく。
翌日の朝、俺は気が付くと集会場の上座で薄い掛布団にくるまって寝ていた。
回りには役人や商人ら、それにヴァイゼさんらブラオ家の面々が酒瓶などと共に転がってるのが見える。どうも痛飲の挙句酔いつぶれたらしい俺含めて全員。
首を左右に軽く振りつつマシロとクロエの姿を求めて周囲を見渡していると、集会場の出入り口から二人がちょうど顔を出してきた。
「おはよー。今日ここ出ていくけど調子どうー?二日酔いとかしてないー?」
「んっ、あぁ幸いにもそれはないな。ただまぁアルコール残ってる所為かまだ眠いわ」
そう言いつつ俺は近くにあった水差しを手に取ってコップに水を注いだ。
渇きを癒しつつ昨晩どうしたのか二人に訊ねると、日付変わる前に勝手に出て行った後、奥方が俺用に用意してた部屋に入り込んで寝たということだ。
おまけに先程湯あみ等の身支度整えて朝食までご馳走になってきたというから図々しいというか要領いいというか。
まぁクラーケン退治したヒーローで時期Aランク冒険者な身の上だから家の人らも心穏やかに応じてくれたのだろうな。
水を三度飲み干した俺は座から立ち上がり大きく伸びをしつつ周りに声をかけていく。
そこからは慌ただしく周りが動き出していき、あれよあれよという間に出立準備が進められていく。
このぐらいから一時休暇を命じていた私兵部隊の面々や兵士らが男爵邸へ終結し始めて門前が賑やかになってきた。
起床から二時間後には俺は馬上の人となり、ヴァイゼさんらから見送られようとしていた。
「また近いうちに州都へ赴きますので、その際は改めてよろしくお願い致しますレーワン伯」
「こちらこそ短い滞在でしたが充実したひと時過ごせたことを感謝致しますぞ。また州都にてお会いしましょう」
近日中の再会を誓い合いつつ、ヴァイゼさんらに見送られて俺ら節令使一行は邸宅を後にする。
ここからまた二日ぐらいかけて炎天下の中で州都へ戻るのだが、兵らも休息とれたのか足取りが軽やかに見受けられる。これなら少し足早でも行けそうな気がするな。
一週間程の滞在であったが俺も休暇らしい休暇もとれた。短すぎる夏休みとはいえ悪くはなかったな。
また来年も来たいものだ。今度仕事や巻き込まれとかなく純粋に休む為にね。
俺のメイリデ・ポルト滞在はこのようにして終わったのだった。
それから二日後の昼下がり。俺達は州都へ帰還した。
英気を養ったとはいえ炎天下で歩き続けるというのはやはり疲れるから結局行きと同じぐらい時間かかってしまったわ。
人々の迎える呼びかけに応えつつ州都庁前まで到着してから今回同行してきた面子に解散を告げて分かれる。
護衛してきた冒険者や兵士、事務担当した役人らは全ては後日の事ということで各々の所へ帰っていくのを見届け、マシロとクロエはバイクと共に自宅へ先に戻っていったので俺は単身都庁内へ足を踏み入れた。
手続きなどに足を運んでる住民や対応してる役人らが俺が現れた事に驚いてるのを無視してさっさと上の階へ上がっていくと、そこには暇そうにフロア警備してたターロンら残留組が居た。
「おや坊ちゃんおかえりなさいませ。ご様子からして他の者は門前で解散させたのですかな?せめて私らが迎えにきてからされた方がよろしかったような」
「……」
ごめん、普通にうっかりだわ。門前までは誰か居たから入った後の単身は確かに不用心だわ。
ターロンの最もな意見に俺は頷きつつも口では別の事を訊ねた。
「俺が不在の間は何かあったか?早馬も来てないようだから特になかったんだろうが」
「そうですな。決済してもらいたい書類はそこそこ溜まってますが急を要する事もなければ事件も特になく平和な毎日でしたな」
「それはなによりだ。今後ともそうあって欲しいものだよ」
「あぁでもそうだ。昨日王都からギルドの人間が来たという知らせを受けまして。今はギルドマスターの家におられるそうですぞ」
「そうか。まぁ会うのは明日だ明日。今日は幾つか書類や案件決済したら休むぞ」
「それでも幾つか仕事やろうとするあたり坊ちゃん相変わらず仕事熱心ですなぁ」
感心と呆れを混じらせてターロンがそう言うのを聞き流しつつ、俺は他の者に階下に居る役人らに優先度高めの案件を自室へ持ってくるよう命じて部屋へと入った。
とりあえずまず旅装を解いて濡らしたタオルで汗を拭きとり、軽く食事してから少し仕事して、それも終わったら風呂入って寝たい。
欲求の赴くままにするなら色々すっとばしてベッドに倒れ込みたいとこだが流石にそれは自制だろ立場的に考えて。
それにしてもだ、もう王都からギルドの人間来てるとは。
恐らく大分前から今回の件を見越して事前に王都へ連絡いれてたのだろう。それこそランクアップも絡んでるから更に上の方へ問い合わせしてる可能性もあるわけで。
依頼時の必死さの原因の一つも既に討伐成功を前提にして呼び寄せてたから反故にされたらマズイというのあったんだろうな。
得る物あるとはいえ割と綱渡りしてますなあの男爵夫人。と苦笑しつつ俺は旅装を解いて日常生活へ戻る準備をするのであった。
戻ってきてそうそう我ながら忙しないもんだね。
州都に帰還した翌日俺はマシロとクロエに連れられて冒険者ギルドへとやってきた。
正確には連れてこられてか。
冒険者の用事なんだから別に俺が同行せんでもいいし何より不在の間に溜まった仕事を消化させたいんだけど。
などと不平を鳴らしてみたものの結局は二人にごり押しされる形でこうして都庁から抜け出してきてるわけで。こうなったからにはさっさと終わらせて戻らんとな。
ギルドの受付で来訪を告げると受付係の一人が慌てふためいて二階の方へ駆けあがっていく。
待つ事数分。上がっていった職員が足早に戻ってくる。
「ギルドマスターがただいま邸宅におられる王都の職員を連れてまいりますので、節令使様方を先に解体部屋へご案内致します」
そう言われて俺達は受付係に案内されて一旦建物の外へ出ていき、様々な小屋が立ち並んでる庭へとやってきた。
幾つかある小屋の一つへ連れてこられる。看板には「解体部屋(大)」と大きく書かれていた。
「こちらの部屋は大型の魔物用に用意された部屋でして。今日は稀に見る大物ということで貸し切りとさせて頂いてます」
係の者がそう説明しながら鍵を開けて扉を開いた。大型専用の部屋だけあって扉も通常のものの三倍ぐらいの大きさなのでバイクもなんとか入り込めた。
足を踏み入れると獲物を乗せる為であろう分厚い木材で設えた長机が数個立ち並んでいる。壁には解体用の様々な器具がかけられており、床から立ち込める血の匂いと相まってそれらしい雰囲気を醸し出していた。
俺達が部屋を見渡してる間に他の職員が十名程やってきて机を隅にどかしはじたり窓を開けて換気を良くしようと右往左往しだす。
それも済ませて半数が部屋を出ていき残りがが俺のご機嫌伺いをしてくるのを適当にあしらったりしてると、背後から複数の足音が聞こえてきた。
来訪から三十分も経過してないというのにお早い到着なことだ。
そんな事を考えつつ肩越しに振り向くと、そこにはや息を荒げつつ肩で息をしているヒュプシュさんらが立っていた。
「おやお久しぶりです男爵夫人」
「お、お久しぶりですわレーワン伯……」
とりあえず一言挨拶交わして、続きはあちらの息が整ってからだ。こんな暑い中でもロングスカートの貴婦人スタイルで走ってきたのだからそりゃしんどいわ。
同行してきた職員や王都の職員と思わしき者も一様にして似たり寄ったりの有様。俺は肩を竦めつつ傍にいた職員らに水をもってくるよう指示だけしといた。
ローザ男爵がこの場にいないのは、妻であるギルドマスター不在故に執務室に居残ってるという。流石に大事な用件とはいえマスター副マスター共に不在はイカンよね運営的に。
しばらく待ってるとようやく落ち着いたのかヒュプシュさんが改めて俺に頭を軽く下げてきた。
「お見苦しいとこをお見せしまして申し訳ありませんでした。改めまして本日は御足労頂きまして誠にありがとうございますレーワン伯」
「本来なら私なぞ居なくともそこの二人と勝手にやってもらいたいとこですが、連れてこられた以上は立ち会わせて頂きますよギルドマスター殿」
「えぇお手数おかけしますがよろしくお願いいたしますわ。それでは早速なのですが……」
王都の貴族ならそこからダラダラと過剰な語彙並べ立てた時候のやりとりが行われるとこだが、そこは地方の貴族で現場で働く人というとこかこの割り切りっぷり。
俺もそっちのが気が楽なので否やはない。当事者なのに露骨に退屈そうにしてる二人に声をかけてクラーケンを出してもらうことにした。
クロエが自分のバイクの前に立って手を宙へ数度空振りさせるとそこに小さな穴が現れた。そこから無造作にクラーケンが引きずり出されて先日の確認のときのように地響きたてて床に落ちる。
瞬間、場がどよめきと息を呑む声に占められた。
二〇m近くある巨体、この部屋のほぼ半分は占拠してる高ランクの魔物は死してなお人々を気圧す迫力があった。
感応してないのはマシロとクロエを除けば、感覚麻痺してて「やっぱでけぇなこれ」と心の中で呟くに留めた俺ぐらいだろう。
「……これが報告にあったものですか。聞きしに勝る魔物ですわね」
職業柄それなりの数の魔物を見てきたであろうヒュプシュさんが顔と声を強張らせつつ嘆息した。他の者らは声も出せずただ頷くのみだ。
しかし動揺してもいられない。夏真っ盛りであり、ボックスのお陰で腐敗速度が鈍いものとはいえ一週間は経過してる生ものだから一刻も早く解体して防腐処理を施さないといけないと、ヒュプシュさんらはそう考えて気を取り直していた。
うちんとこのアイテムボックスは鈍くなるどころか入れた瞬間停止してるので鮮度殆ど変化なしなんですよ。
とは言えない。知られたらくっそ面倒だから可能な限り詳細ばらさないぞ。さっきのあれだってクロエに事前に言い含めてやってもらったんだ。
なのでヒュプシュさんらはクロエが普通のより大きめのアイテムボックス持ちと誤認してるだろう。というか誤認してください頼むから。
俺の不安はポーカーフェイスのお陰で漏れてはいない。更に言うならアイテムボックスの事より眼前に転がるクラーケンに意識向いてるなあれ。
ヒュプシュさんが大声あげて外に控えてる人らを室内へ招き寄せていた。二〇数名程の血で汚れた手袋やエプロンした男らが緊張した面持ちで入ってくる。
「彼らはここに勤める解体専門の職員ですわ。その中の何人かは王都のギルドから起こし頂きましたの」
これだけデカい相手を短時間で尚且つ慎重に解体せねばならないのだから人数はあればあるだけ越したことはない。それだけの価値がクラーケンというかA以上に分類される魔物にはある。
けれども通常業務もあるので解体要員全員こちらへ回す訳にはいかないという、なので王都から任命立ち合いの者以外に借りてきた。というまったくもってその通りなお話である。
解体の人らは一分も惜しいのか俺に軽く会釈をして通り過ぎていき、すぐさま自分の得物片手にあーだこーだ同僚と話し合いながら作業に入り出した。
どんな風に捌いていくのか少し興味はあるけど、俺も休暇終わって暇人でなくなったので用件さっさと済ませていきたいところ。
解体と防腐それから買取価格の査定となるそうで時間がかかるのは目に見えてる。そういうことなので俺達は現場の人間に任せてマスターの執務室へと移動することとなった。
俺ら三人が席に座ると、続けてヒュプシュさんと王都からやってきたギルド職員が向かい側の席に座り、他は背後に控えるように直立不動の姿勢をとった。
入れ替わりにローザ男爵が俺に挨拶をして部屋を出ていく。なんでも今から武器を卸してる商人らと打ち合わせしにいくそうな。
本来その仕事はマスターがメインで副マスターはデスクワークなのだが、当のギルドマスターが今日はこちらの件で手一杯故にというのが少しばかり申し訳ないような気もする。
「私の体調はお気になさらずレーワン伯。ランクアップと査定のお話、後で妻から聞くのを楽しみにしてますよ」
そう言って笑って出て行った男爵を見送ってから話が始まった。
「えー、それでは価格に関しての交渉などは後日としまして、まずはランクに関してですが」
マシロとクロエの顔と書類を交互に見比べながら職員は幾度が頷きつつ口を開いた。
「報告にあったとおり対象の魔物も偽物でもなく、損傷具合もまぁ規定では許容内と判断。なので今までの実績も踏まえた上でマシロ、クロエ両名を本日付でAランク昇格とします」
その言葉に本人らよりも職員の隣に座ってるヒュプシュさんの方が歓喜を爆発せずにいられない程に笑みがこぼれてる。
当の本人らは前に座る二人が可哀想になるぐらい興味なさげで無感動。別に辞めてもいいと公言しただけあって一ミリも心動かされてない。
気持ち少しは分かるが、頼むから俺に石粒レベルでも気を付けるならフリだけでもしてくださいよマジで。
「王都のギルドマスターからは既に承認を貰っておりまして、冒険者ギルド総本部には私が出立時点で通達をしております。後日改めて現物込みで報告書類の提出がありますが、作成に関しては当地のギルドマスターが行いますので、お二人はそれに署名してくだされば大丈夫です」
「総本部承認も必要となれば、仮決定以上本決定未満ということですかな?」
俺の問いかけに職員は静かに頷いた。
「仰るとおりです節令使様。総本部に近い地域や王都など本部構えてるような所なら即日正式なものになることも不可能ではないのですが、何分遠い所でこの近辺では前例ないとのことなのでやや慎重になってるものかと」
「なるほど。まぁ書類上の仮で実質Aですから気にはしませんがね私も二人も」
「そうですわ。少なくともこの国の本部はお認めになったんですもの。憚ることなくAランク冒険者と名乗って何が問題でしょうか!」
ヒュプシュさんが熱を込めて同意の言葉を紡ぐ。言葉の端から滲む圧に職員もやや押されてる感じだ。
彼女からすれば念願の当地に誕生した地元Aランク冒険者。しかもクラーケンから得られる利益と今後のマシロとクロエの働きも期待出来るとなれば僅かな疑問すらも握る潰す勢いだ。
「あっ、そ、それでは冒険者カードの方を交換させて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
遠慮がちに訊ねてくる職員に大して一つ頷き、俺は隣で欠伸したげな顔してる二人にカードを出すよう促した。
持ってきてないとか落としたとかいうボケかます可能性もあったので、こっちくる前に持たせている。
だからその点は心配ないんだけど。
「はいっ、これねー」
「くくく、投棄投棄」
懐から取り出したそれを無造作に机の上に投げつけ、代わりに進呈された金素材で加工された新しいカードにまったく感激も起こさずさっさと懐に仕舞い込む。無論喜びの言葉など一つもなくだ。
誰がどう見ても無礼千万な態度です。本当にありがとうございました。
やめて!無駄に反感生むのやめて!!立場的に俺が一番貰い事故するんだからこういうの。
頬を引き攣らせて睨みつけるも二人は「もう終わったから帰らない?」と言いたげな顔をしてくる。
幸いにも職員は王都に居た頃の二人の言動を目にする機会あったからか苦笑を浮かべるにとどまり、ヒュプシュさんはこれからの事を想像してちょっとトリップしてるのか一連の流れに対して反応が鈍っていた。
普通冒険者にとってAランク昇格なんて人によっては人生の絶頂イベントもんだよ?なれない人の方が圧倒的に多い高嶺の花よ?
俺の知ってる範囲だとこれほど雑でありがたみのないランクアップのやりとり見た事ねぇんですけど。
世の中の冒険者がこんなの知ったら憤死もんだよね確実に。特にBで足踏みしてそうな人らとかに恨まれそう。
こんな態度が好意的に解釈されるにはSSにでも上り詰めないと無理じゃね?そこまで行けば伝説になりそうだけど未だと普通に糞生意気な餓鬼のイキりだぞ。
でもコイツラならSSにも成れそうだ贔屓目抜きにしても。
そんでもってそこまで上り詰めてもこんな態度なんだろうなぁきっと。コイツらなにやったら、もしくは何与えたら素直に喜ぶんだ一体。
勝手にそんな未来図想像して勝手にげんなりしてしまう俺であった。
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