鮮血推戴の彼方
新しい総族長が選出され、一年後、ベルタは佳人になった。
佳人という極めて高い地位のベルタであったが、再び『おばあちゃん』に戻った。
「ねえ、琴音さん、私に抱かせてくださらない」
琴音から奪うように孫を取り上げ、あやしている毎日。
「この子は可愛いわ、ねえ琴音さん、きっと私に似たのよね!男前になるわ、女を泣かすのかしら……でも悪い女に引っかからないように、しっかりと見張っておかなくては!そうよ!」
琴音はあきれるばかり……
『鮮血推戴』の勝者とは思えないような、猫かわいがり……
「お義母様、いいのですか?」
「何がですか?」
「お義母様はフィメール・ドミナンスではありませんか、ヴァンパイア族のハレムの管理を、されているようには思えませんが?」
「ああ、それね、ちゃんと考えているのですよ、ヴァンパイア族のハレムは、とりあえずはカミーラに丸投げしていますから大丈夫」
「それにね、フィメール・ドミナンスは、惑星ヴィーンゴールヴの二つのハレムを統括しているのよ」
「貴女のお友達の鈴姫さん、ラダさんは、評判はすこぶるいいのよ」
「でもモンスター族も、ヴァンパイア族も人口が少ない、当然寵妃の候補者も少ない……だから、量産することにしたのよ」
「これはモンスター族の二人の執政と、協議したことなのだけれど、この地の二つの高女、ダチアと籠目には付属女子小学校があるでしょう?」
「ここからの特別推薦の生徒は、かなり好評でね、もう一つ、メイド任官課程だけの高女を新設することにしたの」
「この高女にも、付属女子小学校があるのだけれど、この付属小学校は、メイド任官課程に直結させるの」
「ロリータ課程という名称なのだけど、良い案でしょう、これでも仕事しているのですよ」
「ロリータ課程ですか? また破天荒な案を」
「篠笛ちゃんを見ていて思いついたの、やはり英才教育した娘さんは違うわ」
「このヴィーンゴールヴの人的資源は優秀と、ニライカナイあたりでは評価が高いのよ!」
「琴音さんも二人目をお願いね、今度は女の子がいいわ、孫娘の為に、ロリータ課程を作るつもりですもの!」
「お義母様、少しばかり公私混同では……」
「いいのよ、私と主人の血筋ですもの、美しくて聡明なのは間違いなし!」
こんな会話でしたが、この新設の高女とロリータ課程の女子小学校が、モンスター族とヴァンパイア族の世界に貢献することに……
ヴィーナス・ネットワークの世界には、ヒューマノイド以外の高等生命体も多く存在しているのですが、そのほとんどには、八年制高等女学校は設立されていません。
その人類以外の人型の種族、デミ・ヒューマンの優秀な生徒を受け入れる、唯一の女学校となったのです。
付属女子小学校から教育するので、ヴィーナス・ネットワークに違和感なくなじめるようになり、そのままマルスの女子大学へも進学できる。
勿論、モンスター族もヴァンパイア族も、一緒に机を並べる。
この新設高女、アングルボザ――北欧神話の女巨人、ロキとの間に三人の子を産む――高等女学園はめきめきと力をつけはじめ、それに刺激されたのか、ダチア高等女学院、籠目(かごめ)高等女学校の二校も力をつけてきた。
もともとヴァンパイア族には美女が多いが、モンスター族も急速に美女化が進んでいる。
化身することが出来る者が多く、その物たちは美女に化身、それを常態とするからだ。
そこへこのアングルボザ高等女学園……
ここには膨大なデミ・ヒューマンの惑星世界から、選りすぐりの少女が留学して来るのです。
当然、美女揃い……
琴音のように、任官拒否するものも出てきた、その中には、モンスター族やヴァンパイア族と結婚するものも……
交雑を禁止していたルシファーも、ついには許可した……ただしヴィーンゴールヴ籍を取ることが条件である……
新しい血が活力を呼び起こす……
ヴィーンゴールヴはついに自力で発展を始めた。
ベルタ・ドンが鮮血推戴で、ヴィーンゴールヴの危機を回避したのを、どうやらルシファーは知っていたようで、その後、ベッドを共にした……
彼女はその後も昇進し、麗人までになった……愛人も夢ではないと、もっぱらの評判である……
FIN
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