小間使い 其の二
二人は小間使いとしてお側に侍る……
「侍るという意味は分かっていますね、求められれば差し出すのですよ、嫌なら今いいなさい!」
「ルシファー様に望まれて、そこで拒否などすれば、ルシファー様が許されても私が許しません!」
ジャンヌが怖い顔で云いました。
鈴姫が、
「私はこの日を心待ちにしていました、拒否などという言葉は、ルシファー様に対しては、持ち合わせていません」
ラダはこの時、鈴姫ほどの決意は持ち合わせていませんでしたが、この時、全てのヴァンパイアが大事に持っている物が見えました。
簡易造血装置……
ヴァンパイアにとっては、命ともいってよい装置……
ラダはこの装置を配布され、それがつくる新鮮血液を飲んだとき、陶酔するほど美味しいと思った。
ルシファー様が下さった物……
皆の為に、私は自らを捧げればいいのね……
ラダは口を開きました。
「私も拒否は致しません、簡易造血装置を下さり、私たちに未来を開いて下されたルシファー様、孤児の私で良ければ操でも命でも差し出します」
ラダがこのように返事したとき、鈴姫は一瞬驚いたような顔をしたのですが、ラダはきづかないようでした。
この後、二人は旅行の荷物を買いに、ルシファー・ステーションのショッピング街へ……
チケットを渡され、三時までに一週間分の衣服など一切合財新調することに……荷物を抱えてホテルへ戻ると、風呂へ行くように命じられ、その後は美容師が待っていました。
そして四時半に軽い夕食、その間にまっさらのセーラー服が届きます。
その後こまごまと注意を受け、最後に二人はとんでもない事を聞かされました。
「そうだ、言うのを忘れていましたが、この度のルシファー様のご旅行に同行される方は、惑星アールヴヘイムンの王女であり、案内役のウルヴァシーと言う方」
「もう一人はサリー様、さらにスピンクスという猫がついてきます……スピンクスという猫はあの魔犬を従える猫ですから、注意してくださいね」
二人は驚いた、猫はさておき、ハウスキーパーのサリー様が供をしている……
「一つお聞きしてもよろしいでしょうか……サリー様は、その……夜の事……ご承知なのでしょうか……」
「大丈夫です、先ほどお連絡をいただきました、その時、メイド任官課程の一号生徒二人を、お供に差し出すと申し出てご了承をいただきました」
「勿論メイド任官課程がどのような物か、十分ご承知です、そして一号生徒である以上、多少のフライングがあってもやむおえない、とのお言葉もありました」
「二人ともくれぐれも皆様にご迷惑をかけないように、それから惑星アールヴヘイムンは、情勢が少し悪いかもしれません、だから視察なのですからね」
「とにかく、なにがあってもおかしくない、勿論、ルシファー様に指一本触れることもできないでしょうが、二人は、ルシファー様のお手を煩わさないように働いてください」
「惑星アールヴヘイムンは『人』の星ですから、貴女たちは、十分に対処できる力量はあるはずです」
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