籠目(かごめ)との対抗戦


 滅亡寸前のヴァンパイア族にとって、ルシファーに忠誠を尽くすこと、それが活力を生み出している。

 初めて上位の相手に出会い、忠誠を尽くすことが恥ずべきことでないと、理解できたからだ。


 八月二十三日……

 惑星ヴィーンゴールヴの学校は、寒冷地ゆえに夏休みは早めに終わる、代わりに冬休みが長いのである。

 二十日にダチア高等女学院は始業式を終え、この日あるイベントを迎えた。


 隣の籠目(かごめ)高等女学校との、対抗戦があるのだ……

 この二つの女学校の生徒たち、なんせ体力においては、女学生とは思えない。

 互いにライバル意識むき出しで、毎年怪我人続出なのである。


 そして競技は……『綱引き』と『騎馬戦』と『棒倒し』と『棒拾い』……

 『綱引き』は高女課程の低学年、つまり一回生から三回生まで、各学年単位で行う。

 『騎馬戦』は高女課程の高学年の四回生と五回生が、これまた学年単位。

 そして『棒倒し』からが、女専課程の六回生と七回生、最後の『棒拾い』が八回生……

 

 この時ばかりは、お淑やかなどと言う言葉は、消えてしまう。


 ポイントは極めて単純で、『綱引き』は一点、『騎馬戦』は二点、『棒倒し』が三点、『棒拾い』が四点、合計十七点、引き分けはありえない。

 勝てば次回の開催権を手に入れるだけですが、異様に盛り上がりる。


 今年の対抗戦は、タナトス・シティの籠目(かごめ)高等女学校で催される、つまり去年ダチアは惨敗した。

 ラダにとっても悔しい思いの、去年の対抗戦だったのである。

 『棒倒し』で、『上乗り』という丸太の上にしがみつき、やってくる敵を蹴り落とす役、学年首位がすることになっている栄光の役目、それを引きずり降ろされたのである……その相手が鈴姫といった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る