ミコの女たちⅡ ヴィーンゴールヴ・マドモアゼル 【ノーマル版】

ミスター愛妻

ミコの女たちⅡ ヴィーンゴールヴ・マドモアゼル 【ノーマル版】

第一章 鈴姫(すずひめ)の物語 乙女の想い

モンスターの新天地


 鈴姫は籠目(かごめ)高女の女学生。

 メイド任官課程の編入試験に見事合格、ちょっと騒々しいお友達も何とかできた。


 ある時、お友達の妹を引き連れ、社会研修旅行の為のお買い物に、繁華街に繰り出したが、そこで妹が行方不明に……

 慌てて探すと、大事な妹は不良に絡まれていた……


     * * * * *


 惑星ヴィーンゴールヴの、モンスター地区の二人の執政、ヴァラヴォルフ族のアンネリーゼ・フリードリヒ・フェルディナントと、ジャンヌ・マルグリット・ブリジット・マリー・ドルレアンは、協議の結果、学校を設立した。

 モンスター地区から『献上品』を拠出する、それが目的なのである。


 地区住民の教養が向上しなくては、『献上品』拠出は不可能に近い。

 その為、住民は一度は学校に通うことになった。

 もっとも大人がかなりいるので、国民学校と呼ばれる基礎教育学校も設立された。

 おいおい教育が行き届いたら、小学校へ統一される方針ではある。


 そして中等教育機関として、中学校と高等女学校、そして高等教育機関として、高等学校と女子専門学校が設立された。


 大学は惑星マルスにある大学都市、男子大学はオックスフォードと日本の帝国大学群、共学はソルボンヌ大学、女子大学は乙女のリング地区にある、セヴンシスターズのどれかに通うことになる。

 全て、マルス文化圏の三惑星は、この大学に通うことになっている。


 惑星ヴィーンゴーヴルのもう一つの地区、ヴァンパイア地区の住民は、曲がりなりにも学校へ通った経験があるのだが、モンスター地区では無学の者がかなりいる。


 二人のヴァラヴォルフ族の執政は、このルシファーから下賜された新天地で、隣のヴァンパイア地区に負けぬ世界を創ろうとしているのだ。


 惑星ヴィーンゴールヴの、モンスター地区移住時に、住民は人型でいる事を誓約している。


 勿論自宅などでは、本体でいるのも構わぬのだが、惑星ヴィーンゴールヴの社会資本が、人用に構築されている事もあるが、『献上品』は人型に近いというのは絶対条件。


 ルシファーの閨の相手が可能であり、ルシファーの価値観、つまりはホモ・サピエンスでの美女が必須なのは、当然だからという理由である。


 ルシファーに、自らの世界から『献上品』を出したい……

 これはヴィーナス・ネットワーク加盟世界の、一致した望みでもある。


 惑星ヴィーンゴールヴは、惑星マルスを盟主とし、惑星テラとともに三惑星で、マルス文化圏というべき世界を構築している。

 そしてヴィーナス・ネットワークに加盟している。


 すこしルシファーの呼称について説明しておけば、ここ惑星ヴィーンゴールヴでは、ルシファーと呼ばれる女は、他の星々ではミコともヴィーナスともそのほか色々な名前で呼ばれている。


 オルメカなどが支配する宇宙からも、膨大な惑星が加盟したが、惑星ヴィーンゴールヴは、直轄惑星という極めて優遇されている地位にある。

 つまり自治が認められ、その住民は通称、『一級市民』と呼ばれるカテゴリーにある。


 申請さえすれば、ヴィーナス・ネットワーク・レイルロードの、公開された路線に乗ることができるのである。

 しかも『献上品』と呼ばれる女を、地区単位で出す権利を保有している。

 この『献上品』のグループをハレム、またはハウスと呼ぶ。

 『献上品』の中から、ルシファーに寵愛されば、『寵妃』と呼ばれ、ヴィーナス・ネットワークを運営する要員になる。

 この『寵妃』は、各惑星の利益を代弁することが出来るし、その義務を負っている。


 つまり直轄惑星になれば、惑星単位ではなく、地区単位でハレムまたはハウスが成立し、『献上品』と呼ばれる人員を拠出できる。

 ヴィーナス・ネットワークを運営する側に位置し、その住民は『一級市民』という名誉と、それからもたらされる果実を手にすることができる。


 事実、隣のヴァンパイア地区は、かなり『献上品』を拠出し、ヴァンパイア族の生存に欠かせない、動物性たんぱく、ホモ・サピエンスのミルク、つまり母乳を惑星フルーツガールから、かなり格安で購入している。


 これはルシファーが、『献上品』の願いを聞き入れ、簡易造血装置を下賜したからである。



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