土曜日

 驚くべきことに、つい数日前まで虹色に求愛していたオスたちも、メスの行動に同調するようになった。

 それだけではない。

 彼らは逃げるだけではなく、虹色を外敵のように威嚇し、攻撃している。

 他の昆虫と違い武器は持たない蝶だが、それでも自分や縄張りを守るためなら、体当たりぐらいの攻撃は厭わない。

 この日一日彼らに追い回された虹色は、破れた翅で弱々しく飛びながらねぐらに帰っていった。

 ただでさえ、求愛のために体力を消耗させている身である。

 これでは、どんどん弱ってしまう一方だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る