第57話:サンの試練

「え!? ええーっ!? いきなりあたしー!?」

「ああ、そうみたいだな」

「嘘でしょ~……こういうのって普通は一番上か、一番下からなんじゃないの~……?」


 五人姉妹の真ん中。


 三女である自分が一番最初に呼ばれるとは思っていなかったサンが、先刻まで眠そうにしていた目を大きく見開いて驚愕する。


「決まった以上は仕方ないだろ。ほら! 頑張ってこい!」

「はぁ……仕方ないかぁ……」


 ブツブツと文句を言うサンの背中をフレイが押して場内へと送り込む。


「俺の教えた事を全部出せば、お前にはどんな試験でも合格出来るだけの力はもう備わってる。しっかりとやるんだぞ」

「サンちゃん、頑張ってね」

「お姉ちゃん……気をつけて……」

「まっ、頑張ってきなさい。でも無茶だけはするんじゃないわよ」


 フレイと姉妹たちが、会場の中央へと歩いていくサンの背中に向かって激励を行う。


「あたしが一番に合格して、みんなに弾みをつけたげる! にしし!」


 大きな歓声と姉妹たちの激励を受け、いたずらっぽく笑いながらサンが会場の中央へと向かって歩いていく。

 展開された魔法障壁の側まで到達すると一辺が音もなく消えた。


「ここから中に入れってことー!?」

「そうだ!」

「りょうか~い! よっ……と!」


 サンが地面を蹴って軽快に跳んで中に入ると、再び魔法障壁が展開される。

 フレイや他の姉妹、外の誰からも手出し出来ない密閉空間にサンは閉じ込められた。


「父様、久しぶりぃ!」


 背後からは四人がその状況を少し不安げに見守る中、サンが久しぶりに会った父親に対して軽い挨拶をする。


「よう、見ない間にちったぁデカく……なってねぇな。相変わらず、薄いというか……」

「何それ……どこ見て言ってんの……父様も相変わらず変わってないね……」


 久しぶりに会った娘に対して、その身体の一部位を見ながら言う父親。

 対するサンはジトっと怪訝な視線で応える。


「お前自身はどうなんだ? この三ヶ月で何か変わった自覚はあんのか?」

「んー……どうだろ、結構強くなったとは思うけどフレイとしかやってないから自分ではあんまり分かんないんだよねー……いつもやられてるし」

「そうかい。まあ、その成果は今から存分に見せてもらうことにするか」

「うん! そんで、あたしは何すればいいの? まさか本当に紙のテストとか言わないよね?」

「そんなこたぁねぇから安心しな。お前への試験はそうだな……まずこいつは見てもらった方がはえーな。おい!」


 魔王が近くに待機していた一人の部下に合図を送る。

 直後、大歓声を割って地の底から響いてくるような低音が場内に鳴り響き始めた。


 聞く者の身の毛をよだたせるようなその音は、魔王たちがいる場所の真下にある門の向こう側から徐々に近づいてくる。


 そして、それが獣の唸り声であることに場内にいる誰もが気づいた次の瞬間――


 堅固な門が突き破られ、吹き飛んだ金属製の門が凄まじい勢いで魔法障壁へと叩きつけられた。

 聞く者の身の毛をよだたせる咆哮と共に一匹の巨大な獣が場内へと躍り出る。


 体躯は巨大な獅子でありながら、その頭部には獅子を挟むようにして二つの全く異なる生物の物が付いている。


 左には悪魔のような角を生やした山羊、右には毒々しい瘴気を口から漏らす大蛇。

 三つの頭部がそれぞれ異なる奇妙な咆哮を上げる。


 それがキマイラと呼ばれる凶悪な魔獣である事を会場にいる誰もが知っていた。


 ただ一人を除いては――


「うわっ! なにこいつ! きもっ!」


 まさしく異形と呼ぶにふさわしい獣を見たサンが驚嘆の声を上げる。

 しかし、座学の知識に乏しいサンは、それが非常に獰猛で凶悪な魔獣であることまでは理解していない。


「なんだ? もう怖気づいたのか?」

「別にそういうわけじゃなくて……ただ、頭いっぱいで気持ち悪いなー……って思っただけ」


 魔法障壁越しにサンがキマイラの姿をジロジロと観察する。

 一方のキマイラも三つの首についた合計六つの目で、自らに差し出された獲物の姿を見据える。


「ねぇ父様、もしかしてこいつがあたしの……?」


 事情を概ね察したサンが、視線を父親の方へと戻しながら尋ねる。


「そうだ! お前の試験はこいつをぶっ倒せば合格! それだけだ! 単純でわかりやすいやつで良かったろ!?」

「こいつを……にゃはは! そうだね! うん、こういうので良かったよ!」


 その単純明快な試験の説明を受けたサンは全く物怖じせずに笑い、その場で準備運動を始める。


「ちょ、ちょっと……あれ本当に大丈夫なの……? あんなに大きいの……流石に危険すぎるわよ……」

「サンちゃん……」


 妹と魔獣を見比べながらその身を案じるイスナとフィーア。

 魔獣の威容に気圧された観客たちも黙り込み、場内が魔獣の唸り声を除いて完全な静寂に包まれる。


「あいつなら大丈夫だ。信じて待ってやれ」


 そんな中でフレイだけがサンの事を信頼し、心配そうにサンの背中を見つめる姉妹たちへとそう言った。


「そんじゃあ……開始だ!」


 魔王の号令に合わせて、両者の間を遮っていた障壁がすっと薄くなって消える。


 直後、キマイラがその巨体からは想像も出来ない程の俊敏さでサンへと襲いかかった。


 一切の躊躇もなく、凶悪な爪の生えた手を小さな獲物へと向かって横薙ぎに振り抜かれる。


「あっ……ぶなっ!!」


 当たれば一撃で終わってしまう攻撃を、サンが軽業師のような軽快な後転で回避する。


 沈黙に包まれていた観客席から再び大きな歓声が上がる。


 しかし、相対するのは正真正銘の獣。

 その運動能力の高さはサンに勝るとも劣らない。


 サンの胴回り以上の太さがある四足と長く伸びる大蛇の頭を巧みに使い、手数の多さで反撃の隙を一切与えない。


「はっ……! よっ……! このっ……! ちょっとは、落ち着け……っての!」


 サンは身体の必要な部分にのみ強化を行いながら、落ち着いて絶え間のない攻撃を躱し続ける。


 魔力の部位移動にはまだぎこちなさが残っているが、それは天性の身体能力と野生の勘で補われている。


 対するキマイラも自らより遥かに小さな獲物を相手取っても一切慢心する様子を見せない。

 その巨体に似つかわしくない小賢しさを以て、じわじわとサンを追い込んでいく。


 まるで宙を舞う木の葉のようにひらりとサンが攻撃を躱す度に、観客たちが何度も沸く。


 しかし、この試験の目的は敵を倒す事であり、防戦一方のままではいつまで経っても終わりは来ない。


「この……デカブツめ!」


 縦に踏み潰すように振られた前足の攻撃を回避したサンが僅かな隙をついて側面へと回り込む。


 即座に魔力を込めた掌打の一撃をキマイラの側面へと叩き込まれた。


 それは全身に鎧を纏った精鋭の兵士でさえ昏倒させる程の一撃。

 だが、キマイラはほんの一瞬の怯んだだけですぐにサンへの攻撃を再開する。


「くっそー! なんで今のが効いてないのー!?」


 渾身の一撃があっさりと耐えられたサンが悔しそうに歯噛みする。


 その疑問の答えは、キマイラの体皮にあった。


 全身を覆っているそれは単に分厚いだけでなく、まるで大きさの合っていない服を着ているかのようにたわんでいる。

 そのたわみによって表面への打撃は力が分散され、有効打となりえない。

 故に打撃を主体にして戦うサンにとって、最悪に近い相性の敵であった。


「サン! 落ち着いて戦えば必ず突破口はあるはずだ! 焦るな!」


 フレイからの鼓舞を受けてサンは冷静さを取り戻す。

 それでも攻撃の主導権はまた完全に握られており、ただ回避に徹することしか出来ない。


「わっ! このっ! あぶなっ!」


 苦戦を強いられながらも敵の攻撃を凌ぎ続けるサン。


 反撃の目処は全く立っていないにも拘らず、その顔に諦念の色は一切ない。

 必ずや訪れる反撃の機会を逃さない鋭い眼光と更なる強さへの渇望だけがそこにある。



 **********



 サンは魔王ハザールの三番目の子として世に生を受けた。


 魔族界東部の大森林地帯にあるエルフの里で魔王の娘として何一つ不自由なく育まれ、周囲の扱いからサン自身も自分にはそうされるだけの力があるのだと子供ながらに理解していた。


 しかし、サンが八歳の時、彼女の思想が大きく変わる転換点となる出来事が起きた。


 いつものように森で遊んでいたサンが遭遇したのは、同年代の女の子が年上の男子たちにいじめられている場面。

 大きな身体を持つ男子たちに囲まれて泣いてる女の子を見て、力のある自分が助けなければとサンはその場に躍り出た。


 しかし、サンが次に気がついたのは温かいベッドの上。


 女の子をいじめていた男子たちは、最近里へと入植してきたばかりの家族の子だった。

 故に乱入してきたサンが魔王の娘である事を知らなかったのである。


 後に真っ赤に膨れ上がった顔の三人が両親と共にサンへと土下座する事にはなったが、サンはそんな彼らの姿をどこか他人事のように眺めていた。


 そして、これまで自分の力であると思っていたものは、父親の力でしかなかった事に気がついた。

 自分は父親に守られていただけで、力のないただの子供でしかなかったという事に。


 その後、二度とあんな悔しい思いをしたくないと考えたサンは、誰にも頼る必要のない個としての強さを求めるようになった。


 だが他人を頼らなくなったことが仇となり、秘めた才能は逆にその真価を発揮する機会を失っていた。



 **********



 しかしフレイと出会い、遂にその真価を発揮したサンはまるで強くなった自分を喜ぶように笑顔で場内を跳ね回る。

 場内にいる観客たちも魔王の娘としてではなく、一人の武道家として戦うサンの姿を見守っていた。


「やぁっ! てりゃぁっ!」


 キマイラの隙を突いてサンが何度も打撃を叩き込む。

 だが、その分厚い皮の前に有効打を通すことはほとんど出来ていない。


 攻撃こそ避け続けているが、その身体には徐々に疲労が蓄積して汗が滲み出している。

 いくらサンが身体能力に優れたエルフ種であるとはいえ、魔獣と体力比べをするのは分が悪い。

 このまま無策で戦い続ければいずれ捉えられる時が来る。


 観客たちがそう考えた次の瞬間――


 キマイラがその爪で下から上に斬り上げるような一撃を放つための動作に入る。

 それを見たサンはこれまでのように左右に避ける動作を見せずに、真っ向から迎え撃つ体勢を取った。


 無謀とも取れるその行動に観客たちからは驚嘆の声が上がる。


「よし、それだ……!」


 ただ一人、サンが持つ逆転の術を知っているフレイだけが、その意図を理解してグっと強く拳を握りしめた。


 キマイラが爪を振り上げる。

 サンは待ってましたと言わんばかりの不敵な笑みを以てその攻撃を迎え撃つ。


 そして、振り上げられた手を踏み台にして高く跳躍した。


 魔獣とエルフの膂力が合わさり、サンの身体は天井近くまで到達する。

 周囲の時間の進みが遅くなったかのようなフワっとした跳躍。


 息を止めて戦いを見守っていた者たちがようやく一息つけるような長い滞空時間が訪れた。

 当然、サンは休憩のために一歩間違えれば大惨事に繋がりかねない行動を取ったわけではない。


「まだ……これだけは結構時間がかかっちゃうんだよねッ!」


 サンは空中でしっかりと姿勢を制御しながら、周囲の魔素を取り込んで呪文を詠唱しはじめる。


 彼女に必要だったのは、切り札である魔法の詠唱を完遂させるための安全な時間。


 サンの体内へと取り込まれた魔素が、結び付けられたルーンによって風の魔力へと変換されていく。


 本能的に脅威を察したキマイラが上空のサンを六つの目で見据えながら大きな唸り声を上げる。

 その爪も牙も空中にいるサンには届かないが、魔獣にも切り札と言える武器が残されていた。


 人が魔法を詠唱するのと同じ様に、周囲の魔素がその巨体へと集まり始める。


 その数秒後、三つの口から同時に火炎が空中にいるサンへと向かって放射された。


 高密度の業火が熱線となり、一直線にサンへと向かう。


「サンちゃん! 危ない!」


 フィーアが障壁の向こう側で戦っている姉妹へと叫ぶ。

 その声がサンの耳に届いた時、既に彼女の詠唱は完遂されていた。


「ぶっつけ本番だけど……いっけぇええええええっ!!!」


 全身に風の魔力を纏ったサンが叫ぶ。

 その身体をまるで一本の槍と化したように、地上にいるキマイラへと向かって急降下させる。


 中間地点でぶつかった業火を一瞬の内に切り裂く。


 その勢いのままに上空へと向けられた三つの頭部の中央にある獅子の額に、サンの細い足が突き立てられた。


 その一撃は硬い額を砕いて獅子の頭部に断末魔の叫びを上げさせる。


 しかし、キマイラの頭部は三つがそれぞれ独立した意識を持っている。

 その一つ倒しただけでは他の二つはまだ健在である。


 残った二つの頭部は、中央の一つがやられたことを気にする素振りも見せずに無防備になっているサンへと挟撃を行う。


「サンちゃん! 横!」


 フィーアが叫び、観客たちも一様にサンの身に迫る危険を前にして言葉にならない悲鳴を上げる。

 サンの放った攻撃の隙は大きく、返しの挟撃を避ける事はまず不可能だということは誰の目から見ても明らかであった。


 しかし、そんな中でただ一人、フレイだけが全く別の事に注目していた。

 それは一ヶ月前にサンから提案され、二人で考案した技の完成度。


『内側から?』

『うん、こうやって木を蹴るじゃん。そしたら外側がバーンってなるじゃん?』

『バーン……?』

『その力をさ、なんて言えばいいんだろう……内側でボカーンってなるように出来たりしないかなー……って思ったんだけど』

『ボカーン……?』

『そう、ボカーン!』

『いやまあ……言わんとしてる事は分かるけど、力を内側に……か……』

『やっぱり無理かなー? なんか朝起きたらピーンって来たんだけど……』

『バーンとかボカーンとかピーンとか本当にお前は感覚派だな……。でも、そうだな……確かどこかの国の伝統武術にそんな打撃の技があったような……』

『ほんとに!? じゃあ! 一緒に考えてよ! あたしの必殺技!』


 一ヶ月前の会話を追想しながら見守るフレイの眼前で、共に考案した必殺技が魔法の力を以て実現される。


 風の魔力による加速力と人間を遥かに上回る天性のバネから繰り出された強靭な一撃。


 その力積が目に見えない嵐となってキマイラの体内で暴れまわる。

 臓器から筋肉に至るまで、体内の組織が逃げ場を失った力によって破壊し尽くされる。


 三つの頭がそれぞれ耳をつんざくような断末魔の叫びを上げ、キマイラは絶命した。


「ほっ……と!」


 弛緩していくキマイラの頭部をもう片方の足で軽く蹴ったサンが、空中で軽やかに一回転して着地する。

 同時にキマイラの巨体が音を立てて会場の床へと沈んだ。


「つんつん……、もう動かないよね? うん、動かない……いぇい!」


 サンが地面に倒れた魔獣の身体をつま先で何度か突く。

 それがもう二度と動き出さない事を確認すると、フレイと姉妹たちの方へと勝利を示す二本指と笑顔を向けた。


 直後、今日一番の大歓声が観客席から巻き起こる。


「うわっ! うるさっ!」


 歓声に応えずに、うるさそうに耳を抑えるサン。

 フレイと姉妹たちは今すぐにでも駆け寄って行きたい衝動を堪えながら、妹が無事に試験を突破した喜びを分かち合う。


「父さん! 倒したよ! どう!?」


 サンが耳を抑えたまま、父の方を向いて歓声にかき消されない大きな声で問いかける。

 魔王の視線は、ピクリとも動かなくなったキマイラを数秒程見据えてから再びサンの方へと向けられる。


「合格だ!」


 そして、一人目の合格を告げる短い言葉がその口から発せられた。


「合格!? ほんとに!?」

「ああ、文句なしだ! やるじゃねぇか!」

「やった! やったー! みんなー! あたし合格だってー!」


 割れんばかりの歓声が続く中、サンはフレイや他の姉妹たちへと向かって大きく手を振り、飛び跳ねながら喜びを表現する。


「よくやったわね! 今回は認めてあげるわ!」


 イスナは歓声に紛れないように声を張り上げながら、素直ではない妹に祝福の言葉を贈る。


「サンちゃん! おめでとー!」


 フィーアも続けて祝福の言葉を送る。

 同じ年の姉が合格したことで、その顔からは会場に来た時と比べて緊張の色が薄くなっている。


「よっしゃー! よくやったぁ! 流石はあたしの娘だ!」


 魔王の隣でこれまでは静かに座っていたサンの母親が興奮して立ち上がり、全身で喜びを表現する。


「まあ、俺はあんくらいの年には古龍をぶっ倒し……痛っ! 何しやがる!」

「あんたは一言余計なんだよ! 素直に喜んでやればいいでしょ!」

「殴るこたぁねぇだろ! この暴力女が!」

「誰が暴力女だ! この馬鹿亭主!」


 サンの母親が、魔王の頭を何度も叩く。


「いてっ! こらっ! 分かった! 分かったからやめろって! さ、サン! お前は一旦戻ってもいいぞ!」

「あ、うん……じゃあ父様、また後でね!」


 母親に叩かれ続けている父親に背を向けて、出発時よりも軽快な足取りのサンが姉妹たちの元へと戻っていく。


「よくやったサン。信じてたぞ」

「うん! 一緒にやった成果! 全部出してきたよ!」

「ああ、俺も誇らしいぞ。本当に見事だった」

「えへへ、そんなに褒められるのって初めてだからなんか照れくさいなぁ……」


 待機所に戻って来るや否や、フレイから過去一番褒められたサンが照れくさそうに笑う。


「サンちゃん、おめでとー、すごかったよー」

「サンお姉ちゃん……まあまあカッコよかった……」

「でしょでしょ~なんたってあたしの必殺技だかんね~」


 続いて祝福の言葉を口にしたフィーアとフェムに対しては得意げにするサン。


「フィーア、フェム、お前たちもサンに続くんだぞ」

「は、はい! 頑張ります!」

「うん……分かってる……」


 フレイが二人に発破をかける裏で、動かなくなったキマイラが魔王の部下であるオークたちの手によって撤去されていく。


 あっという間に場内はサンの試験が始まる前の状態へと戻った。


「よーし! それじゃあ次だ! 次いくぜ!」


 サンの戦いの興奮もさめやらぬ中、魔王が次の挑戦者へと移る言葉を発する。


 ざわめいていた観客たちは次の挑戦者の名前を聞き逃さぬように再び沈黙する。


「次は…………イスナだ! 出てこい!」


 そして、次の挑戦者である次女の名前が発せられた。

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