第95話 美香との出会い(前編)

「明日から授業か・・・」


入学式が終わった夜。俺はこんなことを考えていた。


「大丈夫よ快斗。お母さんが付いていってあげようか?」


「やめてくれよ母さん。この前だって入学式の日に大泣きしだすから俺も恥ずかしかったんだぜ?」


いわゆる子供溺愛ってやつだ。ちなみに俺は反抗期まっさかりだからな?


「快斗。しっかり勉強するんだぞ?」


「わかってるよ。父さん」


父さんは俺にいい高校を成績トップで卒業してほしいんだと。親っていうものは理想を押しつけるのが好きだよな。ほんとに。


「お、お兄ちゃん・・・ が、頑張ってね❤️」


あかりは今5歳。もう計算や漢字の練習もしていて俺より賢い。我ながらすごい妹を持ったものだよ。しかもこの妹がめちゃくちゃ可愛いんだから。


「ああ。頑張ってくるよ」


「もう〜 快斗はあかりのことが大好きね」


「べ、別にそんなんじゃねえよ!」


「私はお兄ちゃん大好きだよ❤️?」


「へ?」


「ほらね?」


「う、うるせえよ!」


「ふふふ。反抗期ね」


「も、もう寝てくるよ!」


ほんとにうちの親はからかうのが好きだ。妹が大好きだなんて、正面から言えるわけないだろ? 恥ずかしいわ。


「はぁ〜 実際は・・・ すごく不安だ」


俺は独り言をつぶやいていた。あの日、梨沙と会わなくなってから友達もいない。まずは友達が欲しい。一緒にしゃべれるような、楽しくなれるような友達が・・・


「よし! 明日は友達作りからだ」


そんなことを夢見ながら俺は眠りに落ちた。


■◆◇


「げっ! や、やべえ。遅刻する!」


朝起きたら8時だった。学校には8時半に行かないといけない。


「くっそ〜 母さん! 起こしてくれよ!」


「ちゃんと起こしたわよ」


「起きれてなかったら意味ねえだろ?」


「はいはい。わかったから。早く用意しなさい!」


俺は慌てて家を出た。うん。走ったら間に合うな。よかったよかった。


「ん? そんなところに公園なんかあるんだ」


俺は走りながら学校までの道のりの景色を観ていたが、行く途中に公園があった。そしてブランコに誰かが乗っている。


「誰だろ? こんな時間に。見かけない子だしな」


俺は走る足を止めてその子を見ていた。か、可愛い💕 長い髪に素直そうな目。そして優しそうな顔。俺はしばらく見惚れていた。


「や、やべえ。こんなことしてる場合じゃねえ!」


俺は慌てて走って学校に向かった。

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